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僕「小学校で」女「つかまえて」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 10:56:40.97 ID:NIF1gQZhO
僕は大学生だった。

地元を離れて一人暮らしをしながら学校に通う、普通の人間。

少なくとも、はっきりと残っている昨日の記憶の中ではそうだった。

でも、今日の僕は昨日までの自分じゃ無くなっていた。

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 18:24:41.92 ID:NIF1gQZhO
母が違う人物、という事はどうやらないみたいだ。

僕たちはそのまま、話す言葉も無く親に手をひかれながら帰って行った。

……

男「……ただいま」

車に乗せられて着いた家……ずっと変わらない自分の家だ。

環境が変化している感じはやはりしない。

途中、車から見える景色はやはりどこか懐かしく……昔に見ていた自分の町そのものだった。

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 18:29:17.51 ID:NIF1gQZhO
母「お腹すいたでしょ? すぐにご飯作るからね?」

母はそそくさと台所へ向かう。

僕「……」

家の中を一人で歩く。

部屋には懐かしいオモチャや昔持っていた物がやはりそのまま……。

次は居間の窓を開けて外を見てみる。

目の前には小さな畑と田んぼが広がっている、穏やかな田舎の風景があった。

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 18:33:31.75 ID:NIF1gQZhO
スーッと一息、深呼吸をしてみる。

冷たい空気と緑の匂いが体の中に入ってくる……。

何だかその空気はとても優しい気がした。

母「はい、できたわよ」

居間のテーブルに、コトリとオムライスの入った皿が置かれた。

丁寧に、てっぺんに旗までついている……。

母「ふふっ。はい、召し上がれ」

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 18:38:06.86 ID:NIF1gQZhO
子供じゃない、と言い出しそうだったが母の笑顔を見たらそんなのもどうでもよくなってしまった。

目の前にあるオムライスを夢中で食べる僕。

優しくそれを見てくれている母……古いテレビから流れる昔のニュース。

僕(ああ、本当にここは僕の家なんだなあ)

今更ながら、よくわからない安心感が生まれてしまっていた。

昔とか今とかどうでもいい。

僕はそう思った。

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 18:43:05.40 ID:NIF1gQZhO
母がテーブルの上を片付け、僕はボーッとテレビを見ている。

夕飯になるまで自由な時間が出来てしまった。

僕「……女にちょっと連絡してみようかな」

彼女は今何処で何をしているんだろう。

彼女だけはこの地域には住んでいなかったの人間なので、それが余計に気になった。

僕「えっと、携帯携帯……」

いつもの癖で僕は携帯電話を手探りで探していた。

自分のポケットにはそんな物が入っているわけは無いのに。

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 18:47:12.84 ID:NIF1gQZhO
僕「電話は……家から家にかける時代か」

しかし女の自宅に直接電話をかけるとなると、それはそれで面倒だ。

僕は結局与えられた時間をテレビを見て過ごす事にした。

僕「……あ、このアニメ懐かしい。今これやってるんだ」

流れてくる主題歌にワクワクしてしまうのは、僕が子供になってしまったからだろうか。

……

ゆっくりと時間が流れていく。

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 18:49:31.58 ID:8aKZhlUZ0
たしかに記憶そのままで昔に戻ったら不便やな

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 18:52:07.47 ID:FQGvFmAw0
たしか小学校低学年ってプール時の着替え同じ教室だった希ガス
戻りたい切実に

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 18:52:44.87 ID:NIF1gQZhO
僕「懐かしいなあ。でもこれ最終回もどうなるか知ってるからな……」

子供の頃から大好きだった作品をもう一度こうして見る事ができる、何だか変な感覚だった。

時計はまだ夕方五時を過ぎたばかりだ。

僕「小学生って暇なんだな……」

僕はまたボーッとテレビを見始めていた。

何も気にする事なくこうしてのんびりした時間を過ごす事ができる……。

僕「幸せだ……」

僕はもう一度、小学生としてその時間を過ごす権利を与えられたようだ。

僕「ゆっくり……したいな」

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 18:54:37.63 ID:6IbkfSdS0
ーVIPPERで街を作るー
http://vipquality.sakura.ne.jp/town/start.htm
【初心者ガイド】http://vipquality.sakura.ne.jp/town/index.html
【紹介フラッシュ】http://vipquality.sakura.ne.jp/town/flash/viprettou.swf



43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 18:58:37.05 ID:NIF1gQZhO
僕が通っていた大学は、けっして頭のいい大学では無かった。

理由は単純で、親元を離れ一人暮らしを始めたい、それだけだった。

田舎町の緑が多い風景から、中途半端に汚いビルが立ち並ぶ場所への引っ越し……何もない部屋。

最初は実家が恋しくて少しだけホームシックにもなっていた。

大学一年生の時は時間があったら何かと実家に帰省していた、そんな記憶がある。

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 19:00:17.64 ID:HNu61Mdz0
めてる

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 19:03:22.19 ID:NIF1gQZhO
二年生、三年生と進級するにつれて僕が実家に帰る機会は減っていた。

何となく帰るのが面倒になり、なあなあと夏休みや年末を過ごしていた。

しかし、ビルが並ぶ風景はどうも僕には合っていなかったようで……。

四年生になる頃には、すっかり気持ちも体も疲れていた様子だった。

自分ではそんな意識は無かったけれども。

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 19:09:55.76 ID:NIF1gQZhO
僕は今こうして実家にいる。

二十歳を過ぎた大学生としての僕では無く、小学生一年生の僕として、こうしてここにいる。

僕「……大学の事は、もう自分には関係ないか」

テレビを消して、僕は窓から外に出る。

田舎町らしく、足元には木で作られた小さなベランダが平らに広がっている。

ベランダなんて、似つかわしくない言い方だけれども……他に言い方が浮かばない。

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 19:14:29.87 ID:NIF1gQZhO
外は少しヒンヤリとしている。

夕焼けがちょうど山の向こうに沈む所らしい。

オレンジ色の空、その反対側で薄い紫色のような空が広がっている。

まだ四月だからだろう、夜が始まるのも早いみたいだ。

……相変わらず、ボーッと景色を見ていた。

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 19:19:54.81 ID:NIF1gQZhO
ピーン ポーン

突然、何処からかチャイムのような音楽が流れてきた。

『夕方六時をお知らせします。暗くならないうちに、お家に帰りましょう……繰り返します。夕方六時をお知らせ……』

ああ、そういえばこんな放送もあった気がする。

設置されているであろうスピーカーから、割れた声と不快に響く寂しい曲が流れてくる。

この曲は多分どこかで聞いていた曲……僕はその曲名を思い出す事はできなかったけど。

僕「……」

放送が終わる前に、僕は窓を閉め家に入っていた。

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 19:26:30.72 ID:NIF1gQZhO
僕が戻ると、いつの間にかテレビと電気がついていた。

居間のテレビからは、やはり懐かしいアニメの主題歌が流れていて……それを夢中で見ている女の子が一人。

僕「あ……妹」

妹「ただいま。おーちゃん」

僕には妹がいた。確か歳は四つ程違うはずだから……こうして家にいるのは当たり前の事なんだろう。

妹「おーちゃんも一緒にみようよみようよ」

呂律の回らない口調で妹は僕を呼ぶ。

小さいけれどそれは確かに僕の妹で……面影はやはりある。

僕(……本人だから当たり前か)

ちょこん、と妹の隣に座る。

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 19:31:01.67 ID:NIF1gQZhO
妹「お〜……おおっ」

テレビの中の女の子が動き回る度、妹は合わせて歓声をあげている。

僕も昔は妹と一緒になって騒いでいた気がする。

妹「ふふ〜……あははっ」

無邪気に笑う、とはこういう事なんだろう。

妹は僕には目もくれずにテレビに釘付けになっている。

僕も……妹と仲良くテレビだけを見る事にした。

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 19:35:18.30 ID:NIF1gQZhO
母「僕〜。ご飯にするからテーブルの上片付けて〜」

いつの間にか、母が台所に立っていた。

お手伝いのために僕を呼んでいる。

僕「は〜い」

母「ふふっ、いつもはテレビばかりで来てくれないのに今日は偉いわね?」

昔の僕はそんな感じだっただろうか?

よく覚えていない。

母「もうすぐパパも帰ってくるから、はいこれ。綺麗に拭いてね」

濡れた台布巾をポンッと渡される。

ああ、何だかこんな感じだった気がする。

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 19:40:37.71 ID:NIF1gQZhO
妹は相変わらずテレビに夢中だ。

僕はさっさとテーブルの上を片付けてしまう。

ガチャリ。

……その時玄関が開く音が聞こえた。多分父だろうか?

父「ただいまあ」

母「おかえりなさい」

妹「おかえりパパ〜!」

テレビをそっちのけに、妹は父に抱きついている。

父「ははっ、ただいま」

僕「うん……おかえり」

父がそこにいた。
やはり少し若いような気がする。
やはり十年以上経てば変わってしまうんだと……少しまた考えてしまった。

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 19:43:23.09 ID:nJ+247C00
昔に戻れたら全力で人生やり直すのになぁ(´;ω;`)


あれ?これなんて代紋TAKE2?

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 19:45:57.44 ID:NIF1gQZhO
父「今日の入学式、格好よかったぞ」

僕「えっ?」

父「バッチリビデオに撮ったからな。後で一緒に見ような僕」

入学式に父親がいた?
帰りは母の車で帰ってきた。父の姿を見えなかったのだけれど。

僕「父さんも入学式に来てたの?」

父「……父さんだなんて。やっぱり学校に入ってお兄ちゃんになったのかな、ははっ」

妹「パパ〜。パパ〜」

思い出した。

いつかの時期までは僕も父の事をパパと呼んでいた、そんな気がする事を。

驚いたような父と母の表情から、その時期が今では無いのだという事だけはわかった。

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 19:50:18.94 ID:NIF1gQZhO
聞くと、父は入学式の後役員会議に出席していたらしい。

記憶を割いても仕方ない事は、やはりあまり覚えていない。

母「じゃあご飯だから……座って座って」

母の顔はすっかり笑顔だ。

優しく家族みんなを見ている。

父も妹も笑っている。

多分その笑顔には何の曇りも考え事も無くて……。

僕だけが何だか嘘の笑顔でここにいるようだった。

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 19:55:56.98 ID:NIF1gQZhO
父「ほら、来た来た。僕がほら! ここ、ここだよ……」

ホームビデオから流れる映像には確かに僕が映っている。
体育館を新入生が歩いている、たったそれだけの光景だ。

母「ふふっ、私も見ていたから知っているわよ」

妹「おーちゃん、おーちゃん!」

その、それだけがみんなにとっては興奮するような出来事らしい。

父も母も妹も、みんな笑ってご飯を食べている。

僕は少し下を向いて、まるで自分のビデオを見るのが恥ずかしいかのように振る舞っていた。

……ご飯の味だけが、懐かしくて美味しかったのを覚えている。

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 20:00:33.57 ID:NIF1gQZhO
みんなで食卓を囲んで笑顔で会話。

テレビではなくて家族のビデオを見て盛り上がり、笑っている。

大学生になってからは、こんな事があるわけもなく……気恥ずかしさがあったのは事実だと思う。

でもやっぱり時間は優しく流れている、そんな気がした。

何も心配する事なく、僕はご飯を食べている。

今日の不安も明日の問題も何も無く、空っぽにお箸を動かしていた。

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 20:03:38.11 ID:3NcznnVg0
やめろ、俺のトラウマを掘り返すな

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 20:04:30.55 ID:NIF1gQZhO
居間の隣にある少し大きな部屋の……僕はその布団の中にいた。

体はやはり子供らしく、九時を過ぎたら急に眠気が襲って来たような気がした。

僕は茶色が照らしている天井を見上げて、ただ眠りに落ちるのを待っていた。

隣からは父と母が話す声と、わずかにニュースが流れているような音が聞こえる。

僕はボーッとそれを聞いていた。

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 20:08:09.05 ID:NIF1gQZhO
あのビデオの中にいた僕……式を受けていた時の記憶は、今の僕には無い。

本当に教室から一日が始まって、こうして今は布団の中にいる。

その理由を少しだけ考えてみたが、頭に何も考えが浮かんで来ない。
やはり眠気があるのだろう。僕はすぐに布団の柔らかさに包まれて……

そのまま暗闇の中に意識を落としていった。

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 20:16:08.88 ID:NIF1gQZhO
次の日も僕は小学校にいた。

元の時間に戻るわけでもなく……今日が来ただけだった。

僕(考えてもやっぱりわからないや)

女「……おはよ」

後ろから不意に声を掛けられて思わず振り向く。

僕「あ、おはよう女」

彼女もそこに立っていた。昨日と何一つ変わっていない。

女「……」

しかし、よく彼女の顔を観察してみると……目の周りが少し腫れている。

その目も、何だか赤かったような気がした。

僕「目、どうかしたの?」

僕は理由を多分知っている。
それでもそれを、あえて彼女に聞いてみた。

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 20:20:53.20 ID:NIF1gQZhO
女「あ、これね。起きたら目の周りにすっごい涙が流れてたの。そのせいでこんな……」

僕「寝てる間に泣いてたの?」

女「多分ね。理由はわからないけど……おかげで変な顔」

彼女のは小さくニコッと笑う。
それでも昨日妹が見せていた無邪気な笑いとはどこか違う……そんな笑い方だった。

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 20:29:08.65 ID:NIF1gQZhO
僕「ねえ、お家どこ?」

女「近くだよ。歩いてすぐ」

僕「昔住んでいた場所とは……やっぱり違うよね?」

女「子供の時の私はアパートに住んでいるはずだから……違うんだと思うよ」

僕「今は?」

女「普通の一軒家だった。母親にそれとなく聞いてみたけど、名義は私たちの所有だったよ」

僕(あ、ちゃんと調べたんだ)

彼女は抜かりの無いしっかりとした人間だ。

テレビを見てご飯を食べていただけの自分が少しだけ恥ずかしくなった。

今は小学一年生だからという言い訳をするのも、彼女の前では何だか惨めに恥ずかしく思えてしまった。

64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 20:37:26.07 ID:NIF1gQZhO
女「僕ちゃんは? 何か変わってた?」

僕「僕の方はは何も……家族も家もそのままだったよ」

女「そう……昔と違うのは私だけなんだね、やっぱり」

短い昨日をもう一度思い出してみる。

家族の姿や周りの様子……慣れ親しんだ地元。

やはり変わっていた場所は見当たらない。

女「ねえ、本当に何も変わってないの?」

彼女はもう一度僕に聞いてきた。
さっきよりも力強い口調。少し強引に僕の記憶を掘り返したい、そんな様子が伺えた。

僕「……無いよ。多分」

女「家族の人はちゃんといた? 親戚は? 家の中の様子とかは?」

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 20:42:24.35 ID:60aplmh8P
しえん

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 21:07:01.66 ID:NIF1gQZhO
僕「あー、そんな事考えて無かったよ」

女「……ふぅ」

ため息一つ。呆れてしまったようだ。

僕「そんな事言ったって、家族はちゃんといたし……」

僕「……あれ?」

僕の家族は確か……

女「どうかしたの?」

僕「そう言えば弟が……いない」

女「弟? たまに僕ちゃんが話していた、あの?」

僕「うん。よく考えたら僕の家は五人家族だから……」

女「……」

女「でもそれ変でしょ?」

僕「え、何が?」

67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 21:15:41.27 ID:FQGvFmAw0
続けてくれよ

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 21:16:33.41 ID:NIF1gQZhO
女「確かに大学で妹ちゃんと弟君の話は聞いた事あるけどさー……」

僕「話したね」

女「その時は妹ちゃんが高校生で、弟君はまだ小学校を卒業する辺りだったじゃない?」

僕「……え〜っと?」

女「今妹ちゃんは何歳?」

僕「幼稚園入ったばかりで……三歳くらいかな?」

女「じゃあ弟君なんて生まれているはずないじゃない!」

僕「あ、確かに」

女「ふぅ……」

ため息二つ。
彼女は本当に白い目でこちらを見つめている。

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 21:25:41.56 ID:NIF1gQZhO
僕「き、記憶が半端に残っているからつい」

女「また言い訳する。僕ちゃんっていつもそうだよね、大学でもおんなじ」

僕(だって今は小学生だから……)

これを言ったら更に怒られるんだろう。
自分でもわかるくらい馬鹿な言い訳だ。

僕(あれ……弟が生まれる?)

女「ちょっと聞いてるの僕!」

僕「……」

女「……僕?」

年下の彼女が僕を呼び捨てにしているのも構わず、考え事に頭を奪われている。

女「ちょっとどうしたの、黙り込んじゃって……」

僕「僕たち……弟が生まれるのを知っている」

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 21:26:22.30 ID:FQGvFmAw0
ちゃんと見てるぞ

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 21:32:22.20 ID:NIF1gQZhO
女「そりゃあね。生まれるんでしょうから」

僕「確かに記憶はあるけど……これから弟が生まれる保証はあるのかな?」

女「……?」

僕「僕が当時と同じように過ごしていたら弟は生まれる……かもしれないけど」

僕「じゃあ僕が……何か未来を変える選択肢をしたら?」

女「そんなの……」

僕「そもそも普通に弟が生まれるかだってわからない。明日がどうなるかだって……!」

思わず声に力が入る。
自分でもなんでこんなに声が荒くなるのか……子供の頭では歯止めが効かないんだろうか?

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 21:38:48.84 ID:NIF1gQZhO
「お、僕と女が夫婦喧嘩してるぞ〜!」

「またかよ、仲いいなあ〜!」

また周りが僕たちを囲み囃し立てる。
うるさいな……なんでこんなに他人に構う事ができるんだ。

僕(子供は苦手なんだよ……)

僕はサッサと教室を出て行ってしまう。
静かな場所で頭を冷やさないと……

「僕が家出したぞ〜!」

「女と離婚だ離婚だ〜」

僕「……ああっ、もう! 来い女!」

グッと彼女の手を掴み教室を飛び出してしまう。

後ろから聞こえる小うるさい声はもう関係無かった。

73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 21:40:51.46 ID:60aplmh8P
si

74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 21:43:01.79 ID:NIF1gQZhO
僕「まったく……うるさいよな」

女「……」

僕「他人の事なんて放っておいて欲しいよ」

女「っ……ひっく……」

僕「お、女?」

あれ、泣いてる?

僕「どうしたんだよ……」

女「ご、ごめんね……ごめん……」

僕「お、落ち着いて。えっと……その」

記憶はあっても、女の子を慰める手段までは覚えていないらしい。
いや、元からそんな物は無かったと言うのが正しいか。

とにかく今は彼女を慰めないと……

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 21:49:26.37 ID:g5Wpm0cF0
続いてたのかこれ

ヽ(´・∀・`)ノ ファイトー

76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 21:49:52.99 ID:HNu61Mdz0
なんか女が全然意味わかんないんだが?

77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 21:50:31.29 ID:NIF1gQZhO
女「……あははっ、ごめんね。もう大丈夫だよ」

僕「あらっ?」

女「取り乱しちゃってごめんね。知らない人から攻められるのって……やっぱ恐くて……」

僕「……」

そうか……。
僕にとっては昔から知っている友人たちだ。

でも彼女にとっては……それこそ一年生が初めて顔を合わせるような気持ちでいたんだろう。
女「……もう大丈夫だから、ね」


78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 21:57:38.02 ID:NIF1gQZhO
僕は彼女のその性格を知っていたはずなのに。

大学で初めて彼女と出会った日……。

女「なんか、僕先輩って話しかけやすいんですよね!」

どういう会話でこうなったかは忘れたけれども、確かに彼女は言っていた。

人見知りな性格で、あまり騒がしい場所が苦手だと。

それでも、やはり彼女はしっかりしていた。
人前ではなるべく明るく振る舞い、不安な様子など殆ど周りに見せる事も無かった。

僕も長い時間一緒にいたせいで、彼女の弱い部分を忘れてしまっていたみたいだ。

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 22:04:45.51 ID:NIF1gQZhO
僕「……」

女「教室戻ろう。もう先生来ちゃうよ?」

彼女の体はもう震えていなかった。

僕「大丈夫?」

女「うん、大丈夫!」

こうして明るく返事をしている彼女が、本当なのか嘘なのか僕にはわからない。

……僕たちには、教室に戻るしか選択肢が無かった。

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 22:10:31.79 ID:NIF1gQZhO
僕(今日も学校は午前で終わりか〜)

僕(どうしよう、この後女と帰ってさっきの話の続きをしようかな……女の家の事も少し気になるし)

そんな事を考えたのもつかの間。

先生「今日はみんなでお家に帰りますよ〜」

俗に言う、集団下校というやつだっだ。

先生「じゃあお家が近い人でグループを作って……」

女は学校の近く、僕は学校から遠いので同じグループになるはずは無く……。

僕(どうしよう。声だけかけてみようかな?)

81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 22:11:42.64 ID:60aplmh8P
しゑん

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/01(日) 22:16:19.15 ID:vYP06l4jO
僕「ねえ女?」

女「ん、なーに?」

僕「えっと……今日遊びに行っていい?」

女「家に?」

僕「ちょっとお話したいから」

女「……」

僕「ダメ?」

女「いいよ。じゃあ一時間後に学校集合でいい?」

僕「それで大丈夫」

約束をして彼女は外に出ていってしまった。

赤いランドセルを背負いながら、他の女の子と仲が良さそうに歩いて行ってしまう。

さっきの様子で少し心配したが、友達がいないというわけでは無いみたいだ。

僕は少しだけ安心した。

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