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ハルヒ「アナル、いじめ、シュールのSSはここまで来なさい!」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:26:20.27 ID:AOwSWsRV0
・SS投下の際は空気を読んでくださぁぃ。byみくる
・長編は完結できるように、途中放棄した日にはあなたのアナルはいただきますよ!by ふんもっふ
・長編投下はわかりやすいようにトリップや文頭にアンカーを付けなさい!by ハルヒ
・…キャラクターの口調、及びそれぞれの呼称についてはまとめサイトを参照すること。by ユキ
・自分で投下した長編はなるべくWikiで自分で編集したほうがいいと思うぞ。by キョン
・落ちを予想するのはやめ・・うをっ チャック開いてるぞ!by wawawa
・荒らしさんにはスルーなのね。by 阪中
・とりあえず気楽に投下するっにょろよ。by めがっさ
・1レスには最大30行、全角で2048文字、1行全角120文字まで入るのです。by ○
・スレが立ってから8日で落ちるのは……既定事項だ。by P&G
DAT保管庫(停滞中)  http://haruhiss.xxxxxxxx.jp/
新DAT保管庫+SS推薦 http://vipharuhi.me.land.to/
新まとめサイト      http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/
DATうpろだ       http://www.uploader.jp/home/harussdat/
雑談所(避難所)    http://yy42.60.kg/haruhizatudan/
雑談所携帯用      http://same.ula.cc/test/p.so/yy42.60.kg/haruhizatudan/


2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:27:14.29 ID:AOwSWsRV0
=====業務連絡===========

・まとめwikiの管理人さんが忙しいから、せめて長編だけでもSS作者は自分でまとめなさいっ!
・「SS作者だけど自分ではまとめられん!」と言うヤツは「まとめ要請とまとめ人たちの報告スレッド」に
 まとめ要請を書き込んでみるのも一つの手だな。
 まとめ要請とまとめ人たちの報告スレッド
 http://yy42.60.kg/test/read.cgi/haruhizatudan/1196380901/ PC用 
 http://same.ula.cc/test/r.so/yy42.60.kg/haruhizatudan/1196380901/携帯用


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:30:33.32 ID:2zDiryR50


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:31:31.15 ID:schwlmw3P

 *注意書き*

 この物語はフィクションであり、実在する人物、団体、事件、戦友、詠唱、展開、その他の
固有名詞や現象などとは何の関係もありません。嘘っぱちです。
 どっかで似ていたとしても、それはたまたま偶然、他人の空似です。また、逆に似てるどこ
ろか間違っている所があったとしても、それは所謂仕様です。
 それと、特に注意して欲しいのはここからね。
 これから始まる物語は、戦友の作者様に「書いてもいいよ」と許可を受けた別の書き手が書
いた3次創作でしかなく、本編である戦友レベルのクオリティーを求めても時間の無駄。興味
の無い人は早々とブラウザで戻るをクリックするといいでしょう。
 ……もし、ここまでの注意事項を聞いて、まだ興味がある人が居たなら、戦友の作者様がま
た新たな物語を書きはじめるまでの僅かな時間の繋ぎとして、この物語を読むといいかもしれ
ません。
 ……って、ねえジョン。何であたしがこんな事言わなきゃいけないの? っていうより、こ
れっていったい誰に向けて言ってるのよ……。

 *注意書きここまで*


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:32:16.71 ID:AOwSWsRV0
wktkしてみるか

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:33:36.63 ID:schwlmw3P
 結局、この物語はなんだったのか。
 全てが終わった後にそれを推測する事は簡単だが、物語の途中で真実を知る事は難しい。
 何故ならば、だ。
 物語の途中で手に入る情報ってのはあくまで現時点での事実でしかなく、その先には不確定
な未来が待っているという現実がある。
 つまり人は、零れた水がどうなるのか、零してみるまで解らないのさ。
 そこで「また汲めばいい」なんて言うなよ? どうなるのか解らず、とりあえずで零された
方はたまったもんじゃないんだからな。
「あんた、あたしの僕(シモベ)になりなさい!!」
 何処ぞの吸血少女を彷彿とさせる高圧的な口調でハルヒから告げられた提案、それは猛毒に
よって残り僅かな命だった俺には回避出来ない規定事項にしか聞こえなかった。
 だってそうだろ? 身替わりとして探していた勇者は見つかる所か情報すら無く、俺は現在
仲間と連絡すら取れない魔王城に捕われの身。
 逃げる事もできず生き残る道も見当たらないってのに、解ってるのはタイムリミットまで後
五日しかないという事実だけ。
 起死回生の策を考えるだけの余裕もなかった俺は――頼む、これがバットエンドルートであ
ってくれるなよっ?
「……わかった」
 ハルヒの提案に、頷いたんだ。


 ――涼宮ハルヒの戦友どっかーん 第九章 IFルート ――


 涼宮ハルヒの戦友  あなざぁ!



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:35:49.58 ID:AOwSWsRV0
まさかのエロ展開では……

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:36:52.76 ID:schwlmw3P
 例の取引を承諾した後、俺がハルヒに案内されたのは、壁には縦長の窓が並んで日も差しこ
んでいるはずなのに、不思議な程薄暗く冷え切った石造りの大広間だった。
 冷えた床に敷かれた血の様に赤い絨毯の先に、利用者の快適さよりも視覚的な意味で装飾さ
れたとし思えない、登る時に専用のスリッパでも履かなければいけないのではと思ってしまう
様な厳かな祭壇が見える。
 その祭壇の中央、祭壇よりも更に無駄に凝った装飾の「ここに座ってるのが魔王です」とで
も言いたげな実用性無視の馬鹿でかい椅子に座ったそいつは
「なるほど、お前がキョンか。……話で聞いてた通り普通だな」
 俺の顔を見るなり、くぐもった声でそう言ったんだが……えっと。
「おい、ハルヒ」
「……何よ? まだ使い魔になってもいないのに呼び捨てとか慣れなれしいわね……。それに、
魔王様の前なんだからちょっとはしゃきっとしなさいよ? 連れてきたあたしが恥ずかしいじ
ゃない」
 ハルヒ曰く、魔王様らしい男が座る椅子の手前、俺の隣りで膝をつくハルヒは眉をしかめて
小声でそう言うのだが……。
「なあ、まさかとは思うんだが……あの変な仮面の男が魔王様だとか言わないよな?」
 どうやら色々と思う所があるらしく、ハルヒは俺の質問に肯定も否定もしなかった。
 さて、このいかにもってシチュエーションの中で俺が祭壇の上に座るそいつを魔王だと認識
できなかった理由は、だ。巨大な椅子の上に座っていたそいつが、直径は一メートル程、アス
テカかどこかの太陽をモチーフにした様な仮面を被っていやがったんだよ……。
 これが笑う所じゃなかったら、いったいどこが笑う所なんだ? ……あ、どこかで見た事が
あると思えばあの仮面、あれって部室の壁にかかってた奴によく似てるな。
 滑稽としか言えない外見のせいで、視線の先にいるそいつをまるっきり欠片も魔王だと信じ
られない俺だったのだが、
「ハルヒ。お前、この人間を使い魔にしたいんだってな」
「……はい、そうです」
 魔王に対してハルヒの返した声が、酷く緊張していた事に俺は驚いていた。
 おいおい、まさかこの世界のハルヒが怯える様な相手なのか? このどっちかっていうと魔
王より変質者寄りなこいつが?


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:40:40.60 ID:schwlmw3P
「ふむ……」
 魔王(暫定)は暫く何かを考えていたようだったが、やがて仮面の重さを意識しながらゆる
ゆると立ち上がり
「よし、じゃあテストだな」
 仮面から聞こえてきた暢気な声に、ハルヒは体を震わせていた。
「な、なあおい。テストって何なんだ?」
 俺の質問に答える代わりに、ハルヒは立ち上がり魔王に対して深々と頭を下げる。
 その顔色は暗く、
「いい、とにかく生き残るの。不意打ちでも何でもしてもいいから! いいわね?」
 擦れ違い様にハルヒが早口で言った言葉の切実さに、俺はこれが窮地なのだとようやく気付
いた。
 不意打ちって、もう目の前まで来てるってのにどうやれってんだよ? おい?
 椅子の下から出口の扉までを繋ぐ赤い絨毯の上を、俺を残したままハルヒは出口へと向かっ
てゆっくりと歩いていく。
 そして、ハルヒが意味深な視線を残したまま魔王の部屋を出て扉を閉めた時
「やれやれ……肩が凝るな」
 気の抜けた声に振り向いた先、太陽の仮面を重そうに膝に抱え呑気に肩を鳴らしていたのは
――目立った特徴はなく、年齢と不釣り合いに落ち着いた雰囲気。俺を見る目が、妙に優しか
った事を覚えている。
 軽く手をあげて笑うそいつは
「よっ、俺。初めましてってのも変だが……俺が魔王ジョンスミスだ」
 間違いなく「俺自身」がそこに居た。




10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:44:43.66 ID:schwlmw3P
「混乱してるな? まあ、実際に俺もしたから人の事は言えないんだが……悪いが全てを説明
してやるだけの時間はない、すぐにこっちに来てくれ」
 苦笑いを浮かべながらも魔王を名乗ったそいつは羽織っていたマントを慌ただしく脱ぎ捨て、
膝の上にあった仮面を椅子の上に置いた。
 え? 何これ? これがテストなのか?
 いきなり過ぎる展開に呆然とする中、ジョンは椅子の裏に置いてあった段ボールの中身を取
り出し、手早く着替えを終えて北高の制服姿になっていた。
 そして胸ポケットの中にあった生徒手帳の内容と自分の腕時計を見比べ、
「よし、間に合った」
 満足そうに頷き、生徒手帳を俺に差し出してくる。
「……ちょちょっと待てって? いったい何がどうなってるんだ? 何で俺がもう一人居て、
しかも普通に魔王になってんだよ? まあそれはとりあえずいいとしてもだ、何でジョンスミ
スが俺とそっくりなんだ? 同じ顔だったなら何でここまで俺の顔を見て誰も魔王だって言わ
なかったんだ? それに何であんたは普通に制服に着替えてて、間に合ったってのは何の事な
んだよ?!」
 思い付くままに叫んだせいで自分でも何を聞いているのか解らなかったが、ジョンはそんな
俺を見てただ首を横に振った。
「悪いが……正直、お前の疑問はそのまま今の俺の疑問でもある。だから俺がお前にしてやれ
るのは、これだけだ」
 胸元に押し付けられた生徒手帳を受け取ると、ジョンはそれを読むようにと指差してくる。
 手渡されたその手帳は、どうやらかなり使い込んだ物らしく所々擦り切れて、紙も少し黄ば
んでしまっていた。
 これを読めば全てが解るってのか?
 とりあえず適当にページを開いてみると、小さな栞が挟んであったページが開かれ、そこに
は見慣れ過ぎた俺の字で――
『よう、俺。お前がこの手帳を読んでるって事は、残念だがお前は選択肢を間違えたって事だ。
今このページを書いてる俺と同じ様にな』
 マ、マジかよおい! つまり、俺はここで終わりって事なのか?
 ――急いで続きを目で追っ先で俺が見たのは……えっと……これ、今度こそ笑う所だよな。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:47:41.92 ID:schwlmw3P
 壊すつもりだとしか思えない速度で扉が開かれ、勢いよく飛び込んで来る真っ赤な顔のハル
ヒと、その後に続いて穏やかな顔で部屋に入りそっと扉を閉める佐々……スケアクロウの姿。
 腕時計に示された時間が生徒手帳の中に書いてあった時刻と同じだった事に、俺は何とも言
えない溜息をついた。
「ちょっとジョン! あんたまたあたしの使い魔候補を消しちゃったって本当なの?」
 仮面の限られた視界の中でも、ハルヒの顔が怒り狂っているのが解る。
「ああ」
 そいつは嘘じゃない、結果論で言えばだが。
「何で? 何であたしがあんたに似てる奴を使い魔にしようとすると毎回毎回邪魔するのよ?」
 ハルヒのでかい声が仮面の中で反響する中、俺はマントの影で例の生徒手帳を開いた。
「えっと……ハルヒ、お前は姫である以上適当な使い魔を持たせる訳にはいかないんだ」
 多分。
「何それ、またその言い訳?  ちょっと……スケアクロウも何か言ってよ!」
 突然名前を出されたにしては、スケアクロウは落ち着いた様子だった。……多分、こいつも
そうなんだろうな。
「姫の不満は解らなくもないよ。なんせ、これで君の使い魔不採用は十二回連続になる」
 ――あれ、俺の手帳だと十三回目だぞ?
「十七回目よ! ジョン、今日という今日こそちゃんとした理由を聞かせてもらうからね」
 あ、あれ? 予定と違うだと?
 詰め寄ってくるハルヒを前に急いで生徒手帳をめくっていると、
「姫、それは違うんじゃないかな?」
 ハルヒと俺の間に入ってくれたのは、微笑みを浮かべたスケアクロウだった
「違うって、何よ」
「この場合、むしろ可哀相なのは彼、魔王だと僕は思う」
「どうして?」
 不満気なハルヒではなく、俺を見つめたまま
「だってそうだろう? 君は姫でありながら魔王の寵愛は拒否、寛大なる魔王様はそれを許し
てくれているというのに、君は人間とはいえ牡ばかりを使い魔に推薦してるんだ」
 スケアクロウは馴れた口調でそう言い切った。

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:50:19.34 ID:AOwSWsRV0
ループキタコレ

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:51:45.46 ID:schwlmw3P
「……そ、それは。その」
 ふ〜ん、魔王と姫ってそんな関係だったのか。
「しかもだ、君が毎回選んで来るのは魔王様によく似た男。さあ、この場合可哀相なのはいっ
たいどちらかな?」
「だ、だってそれはね? ……それは」
 スケアクロウの言葉に、ハルヒは動揺してそれ以上何も言えないでいる。
 すまん、助かった。
 俺はようやく見つけた目当てのページを開き、そこに書かれていた文字を読み上げた。
「ハルヒ、お前が使い魔を持つのを禁じている訳じゃないんだ。ただ、連れてくる使い魔候補
が弱すぎるだけ。牡でも俺に似てる奴でも何でもいいが、もう少し強い奴を見つけてこい」
 しばしの沈黙の後、
「……わかったわよ。所でジョン、あんたそっくりな人間って何故かよく見つけるんだけど、
まさかあんた人間相手に盛りまくってるんじゃないでしょうね?」
 んな訳あるか。
 これまでの奴はどうなのか知らんが、少なくとも俺は身に覚えがない。時間的に考えて、あ
るはずがないのさ。
「ふん……いいわよ、次こそあんたのテストに受かる奴を見つけてきてみせるから楽しみにし
てなさい!」
 へいへい。
 なるべく早く見つけてやってくれよ? 古泉と違って、俺は演技に自信がないんでな。
 仮面に隠れて溜息をつく俺を睨んでから、ハルヒは部屋を出て行った。
 ふぅ……何とかなったか。
 扉が音を立てて閉められると、スケアクロウは懐から取り出した生徒手帳を俺に見せながら、
意味深な微笑みを浮かべて祭壇へと上ってくる。
 ――さて、この状況についていったいどこから話せばいいんだろうな? というより、正直
自分が置かれている現状を俺は半分も理解できていない自信がある。
 今の俺に解るのは一つだけ。
「……久しぶりだね、キョン」
 俺の座る椅子のひじ掛けに腰を下ろしたスケアクロウに、俺は黙したまま頷く。
 そう、俺は「ジョン」ではなく「キョン」なのだから。

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:55:16.15 ID:schwlmw3P
「ゲームにはよくある話だ、そうだろ?」
 俺に生徒手帳を託した後、魔王だと思っていたそいつは笑いながらそう言った。
『魔王ジョンスミス』このゲームのラスボスにして現実世界へと戻る為の鍵。
 魔王城でハルヒに連れて来られた部屋で会った仮面の男は自分をジョンスミスだと名乗り、
仮面を脱いだ直後に「すまん、あれは嘘だ」とあっさり発言を撤回した。
 そして、意味も解らずただ立ち尽くしていた俺に生徒手帳と仮面を押しつけると
「お互い様といえばそうなんだが……まあ、後は頼んだぜ? ジョンスミス」
 混乱させるだけさせてくれたそいつは、笑いながら光の粒になって消えてしまった。
 魔王の部屋に残されたのは、何も言わない仮面と生徒手帳、そして馬鹿でかい椅子にかかっ
たままのマントだけ。
 仕方なく生徒手帳のメモを読み進めた結果……俺は、あいつが誰で俺がなんなのかを理解し
てしまったんだ。

 よう、俺。お前がこの手帳を読んでるって事は、残念だがお前は選択肢を間違えたって事だ。
今このページを書いてる俺と同じ様にな。

次の魔王へ
 佐々木をスケアクロウと呼ばないと、理由は知らんが怒られるぞ。マジで。

次の魔王へ
 スケアクロウも台本を持っている、解らない事はあいつに聞け。

次の魔王へ
 なるべく早くハルヒの部屋を防音処理してくれ、そのせいで兵に見つかった。

次の魔王へ
 パフェ食いてー。それと、スケアクロウって名前長くないか。


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 15:58:19.57 ID:schwlmw3P
次の魔王へ
 どうやら俺達はジョンスミスじゃないみたいだ。古泉とどうにか接触してみろ。

次の魔王へ
 前の魔王の言っていた意味が解った。本物のジョンは太陽の仮面じゃなく、狐のお面をつけ
ているらしい。どうりで変な仮面だと思ったぜ。

次の魔王へ
 タイムキーパーさんに「ムゲンライオン」ってレアモンスターをプレゼントすると、お礼に
パフェが貰えるぞ。他にも色々イベントがあるかもしれん。

次の魔王へ
 魔王の交代はある意味この世界のリセットらしい。強くてニューゲームの恩恵は台本だけだ。
 ハルヒに歴代の使い魔の記憶があるのは矛盾してる気がするが、インオーガニックによると
これが何度目のリセットなのかを知るための救済措置らしい。
 あと先代の魔王、マジ感謝してる。

次の魔王へっていうか今までの魔王の誰か
 女湯の壁に覗き穴を作ったの誰だ、ありがとう。あとタイムキーパーさんは天使。

次の魔王へ
 現状の情報をまとめてみたから参考にしてくれ。まず俺達はキョンで間違いなく、俺達は選
択肢を間違えた場合、こうして魔王をやらされる事になるらしい。
 ちなみに前の魔王はどうなるかと言えば、また勇者っていうか魔法使いとして最初からやり
直しだ。回避方法は選択肢を間違えない事、だが俺達は記憶を引き継ぐ事が出来ない。だから
魔王である俺達がこっそり暗躍し、正しい道へと導くしかないようだ。


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:00:29.53 ID:schwlmw3P
次の魔王へ
 勇者である俺を導くのに魔王軍は使うな。戦功を狙った馬鹿のせいで、最初の酒場でいきな
り殺されたぞ。頼れるのは自分だけだと思った方がいい。

次の魔王へっていうか今までの魔王、誰だ覗き穴塞いだ奴!

前の魔王へ
 どの魔王のやった事にしろ結局は自分でやった事だろ。

 ……意味がある内容もそうでない内容も含めて、それは間違いなく俺の字だった。
 そして最後のページ、俺が会ったであろうあいつが書いたページには――

次の魔王へ
 スケアクロウと話していたら困った事を聞いた。勇者がもしも正しい選択肢を選び続けてゲ
ームをクリアしてしまった場合は、次の魔王は現れず俺は魔王として倒されて消えてしまうか
もしれないんだそうだ。困ったな。

 困ったな……じゃねー! ……はぁ……これマジかよ。
 生徒手帳のメモはまだ続いているが、今はどうにも読む気になれない。
「何か聞きたい事はあるかい?」
 俺が溜息と共に生徒手帳を閉じるのを見た後、スケアクロウはそう聞いてきた。
「……なあ、お前は以前の記憶があるのか? 先代や、その前の魔王の傍にいた時の記憶も」
 見た感じ、ずいぶん事情に詳しそうだが。
「残念だが継承した記憶は持っていないよ。ただ、僕は君の補佐としての立場があるからね、
それに必要なだけの知識は最初から持っている。この世界の事や、魔王軍についてもね」
 なるほどな。
 って事は、お前にはこれも解るのか?
 手帳の中の俺が消えてしまう事について書かれた部分を指差すと、スケアクロウは首を横に
振って自分も生徒手帳を取り出した。


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:01:36.51 ID:schwlmw3P
私用落ち
30分位に再開しますが、急ぎの人がいたらどうぞ〜

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:05:03.52 ID:AOwSWsRV0
なんというヒキ

19 :再開:2010/05/30(日) 16:24:35.16 ID:schwlmw3P
「申し訳ないが、僕には君の台本は読めないんだ。自分の台本を読めるのは自分だけという事
らしいね」
 台本?
「生徒手帳の事さ。ほら、君にも僕の台本は読めないだろう?」
 スケアクロウが開いた生徒手帳は、俺の目には白紙で何も書かれていないように見える。
「ここには、これまで魔王の補佐として僕が過ごしてきた中での連絡事項が書かれている。君
も次の魔王に伝えたい事があれば書いておくといいよ……まあ、それが無駄になれば一番だと
は思うけど」
 そう言って、スケアクロウは自嘲気に笑った。
 っていうか、無駄になってるってのはつまり、俺が消える事になるのだと思うんだが……そ
れにしてはふっきれた笑い方だな。
 久しぶりにあった旧友の顔は、相変わらず何を考えているのかさっぱり解らなかったよ。
 おかげで、自分が消えるという事について聞くに聞けなくなってしまった俺に頭を軽く下げ、
「さて……質問が無いのなら僕はそろそろ部屋に戻るよ。あまりここに居ると姫が焼きもちを
やくからね?」
 何の事だ? ってそれはいいとして佐々……スケアクロウ。
「何だい?」
 俺はこれからどうすればいいんだ? 魔王として何かやらなくちゃいけないんじゃないのか?
 RPG的に考えて、魔王軍とやらに命令を出したりとか、そんな感じの事を考えていた俺だ
ったのだが……
「僕の知る限り君の役目は、そこに座って勇者の登場を待つ事。それだけだよ」
 リアルで魔王をやるもんじゃないな……マジで。
 しかしそれでは困る事になる、生徒手帳によればこの魔王の交代劇を終わらせるには魔王で
ある俺が暗躍するしかないらしい。となれば、ここで待っているだけでは延々とループするだ
けの結果になるんだろうし。


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:29:17.73 ID:schwlmw3P
「先に言っておくよ。君がもしこの部屋から出たいと言うのならそれ相応の理由が必要だ。魔
王たる者、軽々しく行動すべきじゃない事くらい解るだろう?」
 知らねえよそんな職務意識。
 半眼で睨みつけても、スケアクロウは薄い微笑みを浮かべたまま意見を譲ろうとしない。
 といっても、借りてきた猫状態の俺ではこの馬鹿でかい城から出る事もできないだろうし。
「じゃあ僕はこれで。ちなみにこの部屋は外の世界とは時間の流れが違う、君がすぐに勇者と
会うつもりがあるのなら玉座に座って眠ればいい。そうすれば、勇者か君がこの場に現れるか
リセットが行われるまで時間が進む仕様になっている」
 だからそれじゃ困るんだって! 何か……何か攻略法は無いのか?
 この場にある唯一にして最高の攻略本、生徒手帳の中を急いで調べた俺が見つけたのは――
えっと、本当にこれでいいのか?
 一抹の不安が残る物の、他に選択肢があるわけでもない。
「えっと……スケアクロウ」
「なんだい?」
 なあ、俺よ。本当にこれを言うのか?

次の魔王へ
 外に出たい時は「スケアクロウ。久しぶりに会ったんだし、これから一緒にデートでもしな
いか?」と言えばいい。一字一句間違えるな、あと生徒手帳も見ずに言え。これが使えるのは
一代の間で一回だけだって事も忘れるな。

 ……魔王って、思ってたのとは違う意味で大変な仕事なんだな。
 誰に向けてなのか解らない溜息をついてから、俺はその言葉を口にした。



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:34:10.65 ID:schwlmw3P
 結果だけを伝えよう。確かに、生徒手帳に書かれていた事は本当だった。
 俺の提案に頷いてくれたスケアクロウが隣を歩いてくれるのおかげで、俺は誰にも咎められ
る事も、この馬鹿でかい城で迷子になる事も、城の中を歩く柴犬程度の知識しか無さそうな馬
鹿でかいクリーチャーに間違って食われる事もなく済みそうなんだからな。
 ただ一つ、問題なのは。
「……なあ、この仮面って被ってなくちゃまずいのか?」
 俺は頭部に重く圧し掛かる例の仮面の重量に耐えながら、隣を歩くスケアクロウにそう聞い
てみた。
 2〜3キロはありそうなこの仮面、安定感だけはいいんだが肩が凝って仕方がない。
「くっくっく……いくら変わり者と言われ慣れた僕だって、デートの相手に仮面を被っていて
欲しいとは思わないね。まあ、仮面舞踏会に出席するというのであれば別だけど。つまり、君
にはその仮面を脱いでもらうと困る理由があるんだよ」
 ったく、その回りくどい説明と笑い声を聞くのもいつ以来だろうな。
 とりあえず昔を懐かしむのは後にしようか、仮面を脱げない理由っていえば……やはりあれ
だろうか。
「君の考えている通りだと思うよ。そう、君の顔が公表されては困るんだ」
「誰が困るんだ?」
 少なくとも俺は困らないと思うぞ。
「さあ? 僕の生徒手帳にはそこまでは書かれていないね。ただ、君の顔が公なってしまうと
因果律に関わるバグが発生してリセットが起きるらしい。僕や魔姫、後は君が直接洗脳した僕
みたいな相手以外には素顔は隠しておいて欲しい」
 意味が解らんが……まあ、事情が解らない内は大人しくしておくか。

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:36:52.84 ID:AOwSWsRV0
RPG色が強くなってるなあw

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:37:38.77 ID:schwlmw3P
 いくつかの廊下を通り抜け、更にいくつもの階段を降り、ラスボスの住むダンジョンは無駄
にでかくするとでも考えたのであろうこのゲームの製作者を本気で恨み始めた頃、
「やあ、こんな所で会うなんて珍しいね。しかもスケアクロウと一緒なんてさ」
 何の目的でここまで広くしたんだと思う様な城の中庭を通り抜け、ようやく辿り着いた巨大
な門の前に立っていたのは――幼い容姿にあどけない笑みを浮かべた中学からの同級生、だが
この世界では魔王軍の一人。
「魔王様は本日もご機嫌麗しゅう……なんて、こんな台詞言ってて可笑しいよね」
 その笑顔の下にいったいどんな思いがあるのか? 笑顔のまま俺達に向けて明確な敵意を向
ける、国木田の姿がそこにあった。
 って、敵意って何だよ。おい。
 前に船の上で会った時ならともかく、今は仲間っていうか部下なんじゃないのか?
 そんな疑問を仮面の中で顔に表していると、
「じゃ、さっそくだけどごめんね? 余計な邪魔をされたくないんだ」
 意味のわからない国木田の言葉の意味を考えていた時、俺には国木田の姿が不意に歪んだ様
にしか見えなかった。
 それを不思議と思う間もなく、数メートル先に居たはずの国木田が突然目の前に現れる。
 そして音もなく国木田の手に巨大な鎌が現れ、その刃先が尋常じゃない早さで俺の首めがけ
振り下ろさ――恐怖を感じる時間すら無いまま。
 ……国木田の体は、遥か上空までそびえる巨大な城門に叩きつけられていた。
 え? あれ? な、何が起こってるんだ?
 言っておくが、俺は以前の様に呪文を発動寸前にして遅延させておいたなんて事もしてない
し、隣にいるスケアクロウに至っては手を出す所か、退屈そうな顔で余所見していたくらいだ。
 いきなりの事にどう対処していいのか解らないのか、城門を守る大勢の兵士達も困惑顔で俺
達の様子を見守っている。こっちみんな。


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:40:20.67 ID:schwlmw3P
 そんな中、城門の遥か上方――こんなに高い壁を作って何の意味があるんだ? ――見上げ
るような高さに叩きつけられていた国木田の体は、そのまま重力に引き寄せられて力なく石畳
の床に落下した。
 嫌なバウンドをして床に転がった国木田の体は……落下した体制のまま、微動だにしない。
 お、おい。いくらなんでもこれはまずいんじゃないのか?
 慌てて駆け寄ろうとした俺の手を、スケアクロウが掴んでいた。
「大丈夫、彼はああ見えて八柱が第二席『冥王』を冠しているだけの存在。……今のはかなり
効いているとは思うけど、死んではいないよ」
 今のって何だよ。
「おや、気づいてすらいないのかったのかな」
 そう聞き返しながら、楽しそうな顔で佐々木は俺の体を指した。
「膨大な魔力を形にしないまま噴射して、突然向かってきた彼を弾き返した。君と彼とのやり
とりは、僕にはそう見えたよ。ただ、君の放った魔力の量が少し多過ぎたみたいだけどね」
 俺にそんなふざけたまねが出来るのなら、今まで何度も死にかけてきたりしてな……って、
待てよ?
「ステータスウィンドウ、オープン……ジョン・スミス」
 念の為に開いて見たステータス、そこに浮かんだ文字は――
『ジョン・スミス 魔王 レベル99999999999999999999999……』
 え〜、一、十、百、千、万、十万、百万、一千万、一億……数えるだけ無駄だな、これ。
 今時中学生でも設定しない様な無茶な数字が、ウィンドウの横端を振り切って並んでいた。
 呆然とする俺が見守る中、僅かに減っていたMPが理解できない早さで回復していく。
 自動回復まであるのか……どうやら俺は、本格的に魔王って奴になっちまったらしい。
「恐らく、涼宮さんの中ではそれ程魔王が強大な存在に見えたんだろうね。今の君なら、魔王
軍を壊滅させる事ですら児戯に等しい」
 俺のステータスを見て笑いながら、スケアクロウはそう教えてくれた。


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:42:14.28 ID:AOwSWsRV0
まんまチートwww

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:44:27.78 ID:schwlmw3P
 いくらなんでもこの数字は……でもまあ、物は試しか。オチロ=カ=
 試しに慣れ親しんだ初級攻撃呪文を発動手前の段階まで展開してみると、以前は岩を砕ける
かどうかの威力しか無かったはずのその呪文が、凶悪なまでの密度を持ってその場に現れた。
 黄金に輝く光の槍……とでも呼べばいいのだろうか、発動を待つその圧倒的な力の塊を見て、
周囲の兵士達に動揺が走り出す。
 一度は魔法使いとして冒険した俺には解るんだが、もしこの光の槍を適当な城にでも投げ込
めば一瞬でクレーターへと姿を変える事くらい出来るだろう。
 この馬鹿でかい魔王城ですら、半壊くらいはしてしまいそうだ。
 そんなとんでもない破壊力を秘めた光の槍が、今か今かと出番を待ちわびるように揺れる中、
「……ふ〜ん。気絶したふりも効かない、か。魔力を消しても無駄とはびっくりだね」
 その場に似つかわしくない間の抜けた声、それは倒れたままだった国木田から聞こえてきた
物だった。
 何事も無かったかの様に立ち上がって見せた国木田は……どうやら佐々木の言った通り、無
傷とはいかなかったらしく足元がふらついている。
「驚いたなぁ……まさか、結界ごと吹き飛ばされるなんて思いもしなかったよ」
 見慣れた笑顔の国木田は、逃げるそぶりもみせず笑っている。
「思いもしなかったってのは解ったが……この後はどうするつもりなんだ」
 また向かってくるのか? と、身構える俺に向かって
「降参だよ、降参。……そいつを打ち込まれたら抵抗も出来ずに消滅させられるのは間違いな
さそうだし、大人しく謀反は諦めます」
 両手をあげ、ひらひらと国木田は手を振って見せるのだった。
「謀反?」
「そう、謀反。魔王様が強いって事は噂には聞いてはいたけど、実際の実力は誰も知らないま
まだったからさ。一度試してみたかったんだ、運良く勝てば僕が次の魔王になれるかもだし」
 どうやら本気で言っているらしく、軽い口調で言う国木田には僅かな反省も見られない。


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:48:40.98 ID:schwlmw3P
「試しで殺されたらたまったもんじゃないな」
 びびる時間も無かった訳だが、下手をすれば俺は殺されてたってのかよ。
「魔王様は本当に面白いなぁ……まるで、人間みたいな事を言うんだね。魔王軍なんて弱肉強
食の世界でそんな悠長な事を言ってられる訳ないじゃないか。まあ、何をしても僕じゃ魔王様
には勝てないって事はよ〜く解ったからさ。これからはちゃんと忠義を尽くさせてもらうね」
 試しで人を殺そうとしやがった奴を、いったいどう信用しろっていうんだか……。
 ともあれ、戦闘継続って空気だけは消えてくれた事に、俺は正直安堵していた。
 自力でレベルアップした結果ならともかく、普段一緒に弁当を食ってる相手をチート同然の
力でねじ伏せるってのは気が引ける。
「魔王様。国木田への処分は如何されますか?」
 ……やけに楽しそうだな、スケアクロウ。
「そうかい? 多分、気のせいだと思うね」
 俺の頭痛の原因は、この仮面の重さだけ無い気がする。
 もういい、とっととこの城を出たい。
 俺は呪文をキャンセルして光の槍を掻き消した後、
「じゃあ忠義の証として……そうだな、今日から一週間の間、谷口と一緒に城のトイレ掃除を
やっておけ」
 国木田と、ついでに何処かに居るはずの谷口も巻き込んだ適当な罰を言い渡し、俺はようや
くスケアクロウと共に城を後にした。




28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:51:37.76 ID:schwlmw3P
 ようやく城門を超え、無駄に景色がいい山並に背伸びをしていると
「さて……デートの場所何だが、君はまだこの世界の事にそれ程詳しくない様だし、ここは僕
に一任してもらえるかな?」
 城門を出た所でそう聞いてきたスケアクロウ。
「え? あ、ああ。頼む」
 これがデートという名目の外出だという事を忘れいた俺は、とりあえず頷いておいた。
 さて、何とか外に出れたはいいが……どこで何をすればいいんだ?
 現状の目的を整理すると……俺はこれからこの世界のどこかに居るはずのもう一人の俺を見
つけ、更に正しい選択肢ってのに導けばいいのか。特にきついのが魔王軍を使ってはいけない
って所と、正しい選択肢ってのが解らないって所だな。
 いや〜もう笑えてくるなぁ、おい。
 難易度の高いゲームってのは嫌いじゃないが、これは無理ゲーだろ。
 そんな俺の苦悩は都合よく目の前にある仮面で遮られ、誰にも届く事はない。
 故に何故か楽しそうに笑っているスケクロウは俺の苦悩に気付く訳もなく、
「では僕の手を握ってくれ、目的地の傍まで転移するよ」
 差し出された手を握り締めると、暫くの間スケアクロウはじっとしていた。
 …………長いな。指定場所への転移ってのは、そんなに難しい呪文なのだろうか? その割
には詠唱が聞こえないが。
 なあ、この待ち時間も呪文の一環なのか? そう聞こうと俺が口を開いた所で
『……デナイト=ワ=タシコマ=リマス!』
 スケアクロウの詠唱は力のある言霊となり、俺達の体を運び去った。


「イガンテ・ウショエマキエ。通称はエマキエ。昔ながらの商店が立ち並び、その周りに集ま
るようにして住居があるだけの、街道沿いにはどこにでもある小さな町だね」
 ……なあ、スケアクロウ。

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:52:16.84 ID:AOwSWsRV0
谷口とばっちりw

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 16:57:28.36 ID:schwlmw3P
「ここから徒歩で2日程進めば人口も多く交易も盛んな城砦都市トクシンがある事もあって、
今後の発展は望めない環境にある街だけど、のんびり生活するにはむしろ好ましいと言える」
 違う、そうじゃない。
「ああそうそう。ちょうど今は収穫の時期で、今日は年に一度の奉納祭が行われているはずさ」
 いやだから説明はもういいから、おい。
「住人も温厚な性格の人が大半で旅人にも概ね開放的な雰囲気だ。子供も多いし、活気があっ
ていい街だと君も思わないか?」
 スケアクロウ。お前、わざと無視してるな? 
「さあ? 何の事なのか僕には思い当たらないね」
 半眼で睨む俺を、スケアクロウは意外そうな顔で見つめている。
 さて、転移の呪文によってスケアクロウが俺を連れてきたのは――だ。頼みもしないのに延
々と語ってくれた様な街である事に間違いは無い。
 無いんだが――俺の体は今、異様なまでの重さに悲鳴を上げていた。
 何故なら、
「何この変なお面〜」
「マントだマントー!」
「知ってるー! これってコスプレって言うんだよね? ね?」
 大勢の人で溢れる小さな街の街道で、俺は何故か大量の子供に纏わりつかれていた――って、
ええい重い! 登ってくるなっ! 人を指差すな! マントを引っ張るな!
 嘆きにも近い苦情を叫びつつ、マントや足や体に纏わりつく子供共を振り払うと、
「わーい怒ったー!」
「変な人が怒った〜! もう一回やって〜!」
 くそっ、大好評だ。


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:00:40.88 ID:schwlmw3P
「うるせえ! 俺は変な人じゃなくて変な仮面を被った普通の人だっ!」
 それは同じ事なのかもしれんがこれだけは譲れんぞ、これはこの仮面を被って歩く上で俺の
理性を守る為の最後の一線だ。
 蜘蛛の子を散らすようにして逃げていく子供達は、俺の怒声に対する恐怖よりも好奇心が勝
っているらしく、路地の影や樽の裏に隠れて俺達の様子を伺っている。
 ……もう嫌だ、何なんだよこれ。
 いくらなんでも理不尽な展開が続き過ぎじゃないか? ……はぁ。
 辛すぎる現実を前に思わず俺がしゃがみ込もうとした時、隠れていた子供達が一斉に俺目掛
けて走り出したのを俺は見てしまった。
 その狙いが俺の被っている仮面だと気づき、言い様の無い寒気を感じつつ慌てて体を起こす。
 ぎりぎりの所で仮面の下を過ぎ去っていく子供達の手、手、手。
「ちぇーっ! 惜しいー」
「ねえねえ、あの仮面欲しいー」 
 ……危ねえ、瞑王をあっさり凌いでおいて子供に負けたりしたら笑えんぞ。
 肩で息をする俺の後ろでは、
「可愛いね……本当、来てよかったよ」
 スケアクロウは、優しい顔で子供達を見守っていた。
「今の台詞、俺には高難易度すぎてどんな意味の皮肉なのかすら解らないんだが」
 賑やかな民族音楽が響くその街の中、俺の嘆きに答える奴は居なかった。


 えー……エマキエ? だっけ、ともかくその小さな街の中は人混みで溢れ、俺やスケアクロ
ウの様な仮装としか思えない服装も、祭りのせいか仮装に興じた人がいくらでも居たおかげで
目立つ事も無かった。
 むしろ祭りの雰囲気作りに一役買っているとでも思われているのか、親しげに肩を叩いて行
く人も少なくない。


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:04:02.22 ID:schwlmw3P
「僕達の様な服装の人間が普通に行動するには、こんな状況の場所か誰も居ない場所しかない
のさ」
 露店で買った見た事も無いジュースを片手にご機嫌なスケアクロウには悪いが、俺はただひ
たすらにこの状況が不満だった。
 仮面が重いし暑いから? そうだな、それもある。
 だが一番の問題は、
「ええいこのっ! いい加減離れろお前らっ!」
「きゃー!」
「疲れてきてるからもうちょっとだよ!」
 そう、子供達と俺との戦いは未だに続いていたのだ。
 俺とスケアクロウの後に続く何故か俺の仮面とマントを気に入ったらしい子供達、その数す
でに二桁に突入。更に現在も増加中。
 隙あらばマントを引っ張り、踏み、涎を拭き、食い物のソースを零し、よじ登っては仮面に
手を伸ばしてくる小さな脅威を前に、俺は休む間もなく奮戦を強いられていた。
 ああもうソース臭があがってきて腹は鳴ってるのに、仮面のせいで何も食えないしよぉ……。
「そこまで好かれているともはや才能だね、何か子供に好かれるコツがあるのかい?」
 んなもんあるか。
 いくらハルヒが意味不明な奴とはいえ、魔王のスキルにそんな無意味な物は入れてこないは
ずだ。……入れてないよな?
 なあ、今日は久しぶりにあった二人のデートじゃなかったのか?
「僕は君と二人でこのお祭りを楽しむつもりでいたんだけれど、これはこれで悪くはないと思
うね」
 そうだな、確かにお前は悪くないだろうよ。
 何故なら、子供達の狙いは主として俺一人で、同じ様なマントをはおっているスケアクロウ
には興味が無い様だった。
「お前こそ何か魔法でも使ってるのか? 子供払いとか、そんな感じの」
 出来るのならすぐ俺にもやってくれ。
「まさか。そんな事は僕には出来ないし、してもいないよ」
 例え誤魔化しやはぐらかす事はあっても、こいつは嘘だけはつかないはずだ。


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:07:20.78 ID:AOwSWsRV0
どうしてこうなったw

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:07:38.11 ID:schwlmw3P
 となると……本当に何で俺だけ纏わりつかれてるんだよ、おい! だから引っ張るなって!
「きゃー!」
「くっくっくっ……」
 子供相手に苦戦する俺を見て本当に楽しそうに笑いやがるスケアクロウと、人の流れにそっ
て街道を歩いていると――やがて、街の中央に作られた手作りらしい素朴な祭壇が見えてきた。
 そこには収穫を終えたばかりなのであろう作物や果実、葡萄酒と思しき瓶が所狭しと積み上
げられ……あれは何だろう。
 祭壇の中央に設置された台の上に、純白の衣装に身を包んだ小柄な少女が俯いたまましゃが
んでいた。薄いベールで覆われている為顔は見えないが、俺達よりもかなり年下に見える。
「あれはね、花嫁だよ」
「花嫁って……あんな子供がか?」
 俺の周りを走り回ってる子供達よりは年上みたいだが、俺やスケアクロウよりは年下に見え
るんだが。
「人間ではなく神様と結婚する為の花嫁らしいね。この街の古い風習で、その年に12歳を迎
えた女の子の一人が神様に形だけ嫁入りするのさ」
 ふ〜ん、なるほどな。
 祭りに参加する人達から拝まれたり、捧げ物を置かれたりする中、少女は小さなブーケを両
手で支え、微動だにせず祭壇の上でじっとしている。
 ……まさか、あれって長門じゃないよな。
 そんな思い付きから、祭壇の周りを囲む人の中を進んでいると――誰かの手が急に俺の手を
掴んで引きとめてきた。
 また子供かよ? と思って手の主を見てみると……それは、スケアクロウの手だった。
「……お願いだ、少しの間だけこうしていてくれないか」
 俺の視線を気にして、スケアクロウは弱弱しく首を横に振る。
 ついさっきまで確かにそこにあった穏やかな笑顔はいつの間にか消えていて、俺の手を握る
スケアクロウの手が小さく震えている事に気付いた時、
「ま、ま、魔王軍だっ! ついに魔王軍が来たぞー!」
 街道の先から、悲鳴に混じってそんな叫び声が聞こえてきたのだった。

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:11:55.69 ID:schwlmw3P
 その瞬間、街に響いていた民族音楽の音は途絶え、代わりに遠くから圧倒的な何かが押し寄
せるような地響きが聞こえてきた。
 人混みの中に不安と緊張が走ったのは、その数秒後の事。
 お、おい。こんな人混みの中じゃ……。
 その時俺とスケアクロウが居たのはちょうど祭りの中心部で、殆ど身動きできない状態だ。
 更にまずい事に、俺の足元にはまだ子供達がまだついてきている。
 言うなれば、駅に停車した満員電車の中で突然「この電車に爆弾が仕掛けられている様です」
ってアナウンスが流れた様な状況であって、自分の腰ほどの身長しかない子供達にとってみれ
ば――
「おいガキ共! 俺に掴まれ!」
「え?!」
「な、なに? 怖い」
「ふぇ……何、何があるの?」
 ええいくそっ!
「泣いてる暇があったら早く! 急げ!」
 こいつらだけでも何とか守らないと?!
 人混みの中、無理やりにマントを広げて入るだけの子供を隠した後、残った子供を手を繋い
で俺は息を飲んだ。
 一人、また一人とその場を逃げ出そうとする動きが始まり、パニックが起こるかと俺が覚悟
した瞬間。
「魔王軍の狙いはトクシンだ! トクシンから離れる方角へ逃げろ!」
 俺の手を握ったまま、スケアクロウは大声を上げて叫ぶのだった。
 力強いその声に、烏合の衆になりかけた住民達の視線が集まる。
「音が大きいだけで距離はまだある、今なら間に合うからトクシンから離れるんだ!」」
 スケアクロウの言葉に最初は戸惑うだけの住民達だったが、このまま目的も無く逃げるより
はいいと思ったのだろう。
「よ、よしみんなこっちだ! こっちへ逃げるんだ! 小さな子供は担げ、老人に手を貸せ!」
 自警団らしき人達の先導も始まり、どうにか最悪の事態だけは避けられた様だ……。


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:15:34.89 ID:schwlmw3P
 やれやれ、一時はどうなる事かと思ったぜ。
 溜息をつく俺のマントの中では、大勢の子供達が小さくなって震えていた。
 マントの隙間から仮面越しに覗き込み、
「……おい、ガキども。とりあえずもう大丈夫だぞ」
「ほ、本当?」
 もちろんだ。
 そう言っているのに、子供達は中々マントから外に出ようとしない。
 まあさっきのは大人でもぞっとしたんだから解らなくはないが……しゃあない。
「なあ。今出てきたら、特別に俺の体に上がらせてやろう。見晴らしがよくて楽しいぞ?」
 妹の機嫌が悪い時の対処方法その一は、
「え、いいの?」
「本当?」
 見事に子供達の泣き顔を掻き消したのだった。
 ああ、ただし順番にな? それと仮面を外しやがったら魔王軍に向かって放り投げるぞ。
「はーい!」
「やったー!!」
 しかし……妹相手に鍛えられていた事がまさかこんな所で訳に立つとはね。
 左手はスケアクロウと手を握ったまま、俺は右手だけで登ってきた子供を肩まで担ぎあげ、
「よし、お父さんかお母さん。まあ兄ちゃんでも姉ちゃんでもいい。お前を安全な所まで連れ
て行ってくれそうな人の名前を大声で叫べ」
 そう俺が言うや否や
「……おか、おかーさーん! お”か”あ”さ”ーん”!!」
 緊張の糸が切れたらしい子供達は、我先にと泣きだすのだった。


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:18:18.86 ID:schwlmw3P
 ……ま、結果としてそれが良かったんだろうな。
 集団で泣く子供の声に周りは自然と場所を空けてくれたし、鳴き声を聞きつけて次々と現れ
た子供の親や家族によって、俺の周りをうろついて居た子供達は一人また一人と姿を消してい
った。
「変な人またねー!」
 違うぞー、変な仮面の普通の人だからなー、ここテストに出るぞー。
「ありがとう、仮面の変なひと」
 はいはい、今のは中々惜しいな。
「ねーねーその仮面、頂戴?」
 断固断る。余裕だな、お前。
 ――子供達が俺の周りに固まっていたのはある意味幸運だったのかもしれない、もしこいつ
らがそこら中に紛れ込んでいたらと考えると……今更だがぞっとする。
 そして、最後の子供が親の腕の中へと飛び込んで行くのを見届けた後、
「短い時間だったが、お前等ほど俺を苦しめた奴はいなかったぞー!」
 そんな俺の本音に笑顔で笑いながら、子供達は無事に引き取られていった。
 ふぅ、やれやれ。これで一件落着、かな?
「随分……子供の相手に馴れているようだね」
 まあな。
 あの年代の子供の一番の不満は視界なのさ。
 何故なら、人混みでは歩く人の背が高過ぎて、子供は肩車でもしてもらわない限り先が見え
ない。だから混雑する中での肩車は大人気なんだよ。
「くっくっく……まるで専門家の様な説得力だね」」
 ま、科学的な根拠はないけどな。
 妹の相手を子供の頃からさせられてきたし、それは現在進行形で続いてるんだ。現役のベビ
ーシッターにだって負ける気はしないね。


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:21:50.07 ID:schwlmw3P
 街の中を人混みが緩やかに流れる中、俺の手を離したスケアクロウは静かに祭壇へと向かっ
て歩き出した。
 祭壇の前に立ち、魔王軍が向かってきている方向を眺めたまま……そこからスケアクロウは
動こうとしないでいる。
 やがて住民達の姿が見えなくなり、魔王軍の迫る地響きだけが俺達の間に流れ始めた頃、
「……あれくらいは、許されないかな」
 呟くような声で、スケアクロウは言った。
「あれって、さっきの避難誘導の事か?」
「ああ」
「許すも何も、さっきのはいい事だろ。おかげでパニックにならずに済んだんだからな。……
ってまさか、さっきトクシンに魔王軍が向かってるって言ったのは」
「あれは本当だよ。絶対に間違いない」
 そうだよな。……お前がこんな非常時に笑えない冗談を言うはずは……って。
 何も解っていない俺の言葉に唇の端を上げ、静かな笑みを浮かべたまま佐々木は――
「間違えるはずがないだろう? 何故なら、魔王軍をトクシンへと進行させたのは……他なら
ぬ僕なんだから」
 涙を流しながら、そう言ったんだ。
「佐々木……お前、今何て」
 思わず旧友の名を言ってしまった俺を見て、スケアクロウは首を強く横に振る。
「スケアクロウ、僕の事はそう呼んでくれ。……それは君にとって意味が解らない事だと思う。
でも、今の僕にとってそれは全てにも等しい事なんだ」
 止まらない涙を拭おうともしないまま、スケアクロウは続ける。
「僕は君に言っていない事がある、それは僕の……スケアクロウ(案山子)である僕の台本だ
けに許されたもう一つの使い方だ。僕だけは、台本に向かってある呪文を唱える事でそのペー
ジに残された記憶を手に入れる事ができる」
 スケアクロウが台本のページを開いて早口で何かを呟くと、開かれていたページが光を放ち
始めた。


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:25:17.29 ID:schwlmw3P
「……そう、この日、この街で収穫祭が行われる事を僕は知っていた。そこに魔王軍が来れば、
多くの犠牲者が出る事も解っていた。名ばかりの自警団しかないこの街は、魔王軍にとってみ
れば障害にすらならずに蹂躙され……街は地図から消える。トクシンへ向かって逃げる住人が
居れば、進軍を悟られない様にする為に殲滅する。それがシナリオさ」
 ――顔は笑っているのに、声は笑っているのに。
「僕の台本にはこうある。『イガンテ・ウショエマキエには近寄ってはいけない、このページ
の記憶を辿ってもいけない。知れば、僕はシナリオを進められなくなる』とね。これまでの僕
は、きっと自分が起こす出来事の結果を知って……そして、自分の選んだ選択肢の結果に耐え
られなかったんだと思う。でも、それじゃ終わらないんだ」
 ――その眼は、絶望の淵で泣いていた。
「僕の台本にはね、この街に起きる出来事なんかよりももっと辛い出来事が延々と書き記され
ているんだ。そして、僕がそれから逃げれば……また、悲劇は繰り返されるだけなんだ……。
君が居なければきっと、さっきの子供達は逃げまどう住民に踏み殺されるか、魔王軍によって
死んでいた。僕が、殺してしまうはずだったんだ……」
 ――そうか、お前は自分が殺す事になる人達を、自分の目で見ておきたかったからこの街に。
 スケクロウの涙に掠れた声は、もう地響きに紛れて殆ど聞こえなかった。
 それでも、俺は最後まで聞かなくてはいけない気がしてじっとスケアクロウの顔を見ていた
んだ。
「……根本から全てを変えてみようとした事もあったらしい、僕は君に魔王軍を滅ぼす事を提
案して、君は僕に言われるまま魔王軍の全てを消し飛ばした。……それからどうなったと思う? 
台本によれば、その直後にリセットが発動して全ては元に戻ったそうだよ。何もせず、地の果
てまで逃げても無駄、人間と和解の道を選んでも駄目、僕が……自殺しても無意味、シナリオ
は絶対。それがこの世界における唯一の規定事項」
 どこまでも救いがないスケアクロウの言葉に、俺は魔王の間で聞いた台本に書いた事が無駄
になればいいという言葉を思い出していた。


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:28:44.57 ID:schwlmw3P
 いつかきっと、この悲しみの螺旋は終わる。
 勇者である俺が全てを終わらせてくれる――おそらく、魔王である俺の死をもって。
 そう信じなければ、きっとお前はこの世界で生きていく事は出来ないんだろう。
「ねえキョン? 僕はずっと見てきた、スケアクロウとしてこの世界で起きる事をずっと……。
今度こそ、今度こそ君は僕を救ってくれるのかい?」
 ――俺には、言えなかった。
 この太陽の仮面は間違った選択肢の結果で、俺は本物の魔王じゃないんだって事も。
 本物の魔王が現れる方法は、まだ解らないという事も。
 俺には、これからどうすればいいのかさっぱり解っていないという事も。
 なあハルヒ、お前はいったい俺に何を望んでいるんだ?
 過去との決別、自分の気持ちの上書き。
 その目的とこの現実には、いったいどんな繋がりがあるんだよ……。
 この時ばかりは、この無駄に重くて暑っ苦しい仮面がありがたかったぜ。
 どうしていいのか解らずに落ち込んでいる、情けない俺の顔をスケアクロウに見られなくて
済んだんだからな。
 答えを出せずただ立ち尽くしていると、地響きの中に建物が壊される音が混ざり始めてきた。
 ……どうやら、この街が消えるのも時間の問題らしい。
 ともかくここから一度離れよう、そう思って俺がスケアクロウの手を取ろうとした時、視界
の端で白い何かが揺れた。
 今のは、もしかして――
 急いで顔を上げた俺が見たのは、未だに祭壇の上で伏せたままの少女の姿だった。
 何で? みんな逃げたんじゃなかったのかよ?
 慌てて祭壇を駆け上ると、そこに居た少女には意識が無かった。
 両手で持っていると思っていたブーケは、実は両手に縛られているだけ。どうりで祭りの間、
人形みたいに少しも動かなかったはずだぜ。


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:32:51.15 ID:schwlmw3P
 しかしよく眠ってられるな……いや、この大音量でも意識が戻らないってのは薬か魔法のせ
いか?
「その子をどうするつもりなんだい」
「決まってるだろ? 避難した住人の元に連れていく」
 祭壇の下から聞いてくるスケアクロウにそう答えると、スケアクロウは悲しそうに首を横に
振った。
「それでは駄目なんだよ、キョン。彼女は今日、ここで魔王軍によってその若い命を落とす事
になる。その悲劇は、いずれタクシンへと向かう時君の耳に届く。それが……シナリオなんだ」
 な……。
 ふざけんな。
 俺はそう叫びたかった。
 全てをスケアクロウから聞いていなければ、きっと迷う事無く叫んでいただろうさ。
 でも今は違う、そうしなければまた同じ悲劇が繰り返されるだけだって事を俺は知っている。
 ……じゃあ、どうするんだよ? 全てを守る事はできなくて、どうすればいいのかも解らな
くて、この女の子も見殺しにして――俺には、スケアクロウを苦しめる事しか出来ないっての
かよ?
 頼るべき神は居ない。
 俺は魔王で、魔王を助ける神など居ないのだろうから。
 だったら……だったら俺は。


 待て、俺は……俺は「何」なんだって?




42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:33:45.25 ID:oYfi8kGc0
久しぶりに立ってるだと……?

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:35:47.42 ID:schwlmw3P
「……そうか、そういう事なのか」
 その呟きは意図せず漏れた物で、口元に浮かんだ笑みもそれと同じだった。
 まったく、今までの魔王はいったい何をしてたんだろうな。
 無意味なまでに高いレベル。
 スケアクロウには解るのに、俺には解らないこれからの出来事。
 次々と目の前に迫る絶望。
 ――それらが意図する「答え」
 俺はぐったりと動かない少女の体を抱き上げ、祭壇の上に俺は立った。
 階段を一段一段下りる足は、その振動以外の理由でも小刻みに揺れている。
「ふっ……こいつはご機嫌だ。なるほど、考えてみればこれ程お前らしいシナリオは無いよな」
 体を震わせて笑う俺を、スケアクロウが不安そうな顔で見ている。
「急にどうしたんだい」
 まあ少し待てって、笑いが止まらないんだ。
「ハルヒ、お前が望んでいる事の意味がやっと解った。遅くなっちまったが、これがお前が望
んでる選択肢なんだろ?」
 独白の様な俺の呟きは、祭壇へ日を振り注いでいる空へと消えていった。
 ったく……他でもない俺が、何でこんな簡単な事に気付かなかったんだろうな。
 そうさ、こんなのはあいつの傍にいつも居た俺ならすぐに気づけて当たり前の答えだ。
「スケアクロウ、お前は台本の記憶を読める呪文を使えるんだよな」
「……ああ。まだ全てのページを読み取った訳じゃないが……それが?」
 記憶を辿った時の事を思い出したのか、急に顔を暗くしたスケアクロウは
「その呪文を封印しろ、これは魔王としての命令だ」
 俺の言葉に、口を開いたままの顔で固まるのだった。
 お前のそんな顔って初めて見たかもしれないな。


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:40:55.48 ID:schwlmw3P
「だ、駄目だよキョン、それではシナリオがどう動くかまでは解らなくなって」
 それでいいんだ。
「えっ?」
 そうさ。人は絶望を前に、諦めたり、逃げ出したりするものさ。でもハルヒ、お前はそんな
当たり前を他の誰より嫌っていた。
 ――お前が俺に魔王を望むのなら、とっておきの魔王って奴を見せてやるまでさ。
「呪文なしでも何かが起きる場所や時間は解るんだろ?」
 手帳に書かれた情報から記憶を読みとれるのなら、その基準になる概要が書いてなければ役
に立たない。
「それは、解るけど」
「じゃあそれでいい、ここから先は俺の好きにやらせてもらう。なんせ俺は、魔王ジョンスミ
スだからな」
 俺は自分の生徒手帳のページをめくりっていき、ある魔王としての力を探していた。
 この方法をこれまでの俺が書きとめていない訳がない、何故なら俺は――ほらあった、この
方法で生き延びようとしたんだからな。
「キョン……君はいったい何を?」
「違う」
 そいつは俺の名前じゃない。
「え?」
 戸惑うスケアクロウに、俺は仮面を外して手渡した。
 久しぶりに外気に触れた俺の顔を見て、何故か何も言えないでいるスケクロウに、
「ジョンスミス、俺は魔王ジョンスミスだよ」
 その名前を、俺は教えてやった。


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:44:42.55 ID:schwlmw3P
 さ、もうあまり時間もないみたいだし……やるかな。
 ベールで覆われた少女の顔は確認できないが、まあそれは後でもいいか。
 生徒手帳で確認した手順に従って、未だに目を覚まさない少女の首筋に――俺は噛みついた。
 少女の柔らかい肌を犬歯が突き立て、そのまま皮膚を浅く破ると口の中に暖かな血が染み出
してくる。
 穿たれたその小さな穴から俺は、人間ではどうやっても持ちえない程の魔力の塊を注ぎ込ん
でやった。
「……あ、いや。いやぁ!」
 噛みつかれた時ですら目を覚まさなかったのに、強烈すぎるその感覚を前に少女は目を見開
き悲鳴をあげる。白いベールの下で、少女は俺を恐怖の眼差しで見ていたが、ここで止める訳
にはいかないんだ。
 必死で押しのけようとする手を無視して、俺は手順を進める。
 そうしている間も花嫁の純白のウェディングドレスが、俺の口元から零れた彼女の血で赤く
染まっていった。
「やめ……た、助け……たす……――」
 悲鳴と抵抗はすぐに弱弱しくなっていき、やがて途絶える。
 そのまま魔力を注ぎ終え、そっと少女の首から口を離した。
 ……さ、これでいいはず何だが。
 ぐったりとしたまま動かない花嫁を、俺とスケアクロウは静かに見守っていた。
 やがて、魔王軍の破壊音に紛れて、花嫁が小さく何かを呟く。
 その声を聞こうと俺が口元に耳を寄せると、 
「……御機嫌如何でしょうか、魔王様」
 俺の腕の中、幼い顔と神秘的な衣装に身を包みながら妖艶な笑みを浮かべて俺を見ていたの
は――




46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 17:47:25.78 ID:WkPDTMcM0
まさか…の展開に

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:01:14.74 ID:schwlmw3P
「で……あんた、人の使い魔候補を消したその日に、自分は新しい使い魔を作ってきたわけ?」
 俺が城に戻って数十秒後、魔王の間を訪れたハルヒの第一声はそれだった。
 そう怒るなって、こっちは大変だったんだからな。
 ま、とりあえず挨拶はしておいた方がいいだろ。
「ハルヒに挨拶しろ」
 俺は玉座の後ろに立っていた少女に片手をあげて合図をした。蝋燭の光の下に、所々血で染
まったままのウェディングドレスの少女が姿を現すと、
「初めまして、魔姫ハルヒ様。私は魔王ジョン・スミス様の使い魔ミヨキチと申します。今後
とも、どうぞよしなに」
 ドレスの端を指先で掴んで優雅に会釈したのは……驚くなよ? ミヨキチだったんだ。
 実年齢が12歳だとはどう考えても思えない挨拶を前に、ハルヒは不満そうな顔をしている。
 しかし……まさかあそこに居たのがミヨキチだったとはな、助けられたのはある意味偶然だ
とはいえこの偶然を喜ばずにはいられないぜ。
「ふんっ。ジョン、あんたこういう清純なタイプが好きだったの」
 なんだそりゃ。
「別に、格好やタイプで使い魔を選ぶつもりはないさ」
「どうだか……」
 俺の言葉を無視して、ハルヒはミヨキチとスケアクロウへと順に敵意の籠った視線を向けて
いく。
「何だよ、今日はやけにつっかかるじゃないか」
「……あんたね、あたしの使い魔候補を消したのが何時間前の事なのか言ってみなさい」
 さあな、忘れたよ。


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:06:44.84 ID:schwlmw3P
「なんですってぇ?!」
 いつもなら、ここで俺は怯む所なんだろうが……
「つまりあれか、お前は他の女に色目を使ってる暇があったら、自分に向けろって言いたいん
だな」
「な?! ば、ばかじゃないの?」
 俺の言葉に顔を赤くするハルヒは、そのまま数歩後ずさるのだった。
 何だよ、可愛いリアクションをしてくれるじゃないか。ここは内心に浮かぶ悪戯心に任せて、
もう少しくらいからかってみるのもいいかもしれん。
 何せ……そう、俺は魔王様なんだからなぁ。 
「ハルヒ。俺は別に「ここ」で「今から」してもいいんだぜ? 部下の目があるが、それはそ
れで盛り上がりそうだしな」
 そう言いながらマントを脱ぐ仕草を見せてやると、
「ちょっと、え?! あ、あああたし用事を思い出したから帰る!」
 慌てふためいて部屋を飛び出していくハルヒに、俺は口に出さないまま態度で「やれやれ」
と言ってやった。
 ……っていうか、ハルヒが拒否しなかったら俺はどうしたんだろう。まさかこの二人が見て
る前で本当に……?
 この自分の心境の変化に対し、驚きはしたものの思ったほどの抵抗はなかった。意外と俺に
は魔王の素質があるのかもしれん。
「ふぅ……緊張しました」
 そんな俺の隣で、ミヨキチはまだ緊張した顔をしていた。
「お疲れさん、いい演技だったぜ」
 本当に12歳か? 何度も思うけど。
「お兄さんにそう言ってもらえると、凄く嬉しいです」
 そうかい、そいつは良かった。


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:10:41.24 ID:schwlmw3P
 やけに嬉しそうに笑うミヨキチとは対照的に、
「……」
 俺の椅子の肘かけに座ったスケアクロウの顔は、普通に呆れていた。
「何か言いたそうな顔だな」
 多分、俺への不満とかそんな感じの事を。
「……まさか、君がこんな行動にでるとは思わなかったよ」
 ま、確かにな。
 ――花嫁は今日、ここで魔王軍によってその若い命を落とす事になる。
 スケアクロウは俺に、シナリオでそうなるのだと言った。
 だからこそ俺は、
「その場でミヨキチの命を奪い、魔王である俺の使い魔した。場所も内容も間違いないだろ?」
 もしこれで間違ってるってんなら、それはシナリオの方が間違ってると俺は思うね。
「……素晴らし過ぎる発想だが、コメントは差し控えておくよ」
 何だよ、お前は褒めてくれるかと思ってたんだが。
 何故か機嫌を悪くしたままのスケアクロウに、ミヨキチも不安そうな顔で俺を見ている。
「使い魔は従順な僕であり奴隷さ、君の命令には絶対服従。……僕が居ては邪魔だろうし、部
屋に戻っている事にするよ」
 ……なるほど、お前もハルヒと同じ理由で怒ってるのか。
 なあスケアクロウ。
「……何だい?」
「俺って魔王だよな」
「そうだね」
 冷たい返事ってのも嫌いじゃないが、


50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:14:52.01 ID:schwlmw3P
「欲望の権化にして絶対的な破壊者、俺の中の魔王ってのはそんなイメージだ。で、そんな魔
王が……お前みたいないい女が部下に居て、何もしないとでも思ってるのか?」
 言葉ってのは不思議だな、言ってるうちに本当にそう思えてくるんだから。
 俺は椅子の手摺に座るスケアクロウの腰に不意に手を回し、そのまま自分の体の上へと引き
下ろした。
 結果、不安定な態勢で俺の膝に倒れこんだスケアクロウの顔は、俺の目の前で薄赤く色付い
ていて、その口は小さく開いたままになっている。
「スケアクロウ。俺の仮面を外せ」
「……あ、ああ」
 言われるまま俺の仮面に手をかけ、スケアクロウはこの悪趣味な仮面を持ちあげる。
 その下にあった俺の顔を見て、スケアクロウは恥ずかしそうに視線を反らした。
 気を利かせてミヨキチが仮面を受け取るのを横目に、
「そういえば、魔王には部下を労うという大事な仕事があったんじゃないか? 特に、直接自
分のサポートをしてくれる八柱が首席たる存在には念入りな「それ」が必要だと思うんだが」
 わざとらしい口調を装いつつ、半ば本気でスケアクロウの耳元に囁いた。
 その言葉の意味は、スケアクロウだけでなくミヨキチにも解ったらしい。
 目配せし、軽くお辞儀をして離れていくミヨキチに合わせて
「……確かに、それは魔王としての重大な職務だね」
 ようやく余裕と笑顔を取り戻したスケアクロウは、いつになく甘えた声でそう言った。
 俺の意図を察したらしいスケアクロウが微笑む後ろで、ミヨキチが部屋の扉に鍵をかける音
が響く。
 誰も触れていないのに窓のカーテンが一斉に閉まり、祭壇の上の二人はどこまでが一人なの
か解らない一つの影になる中、視界の端にあった太陽の仮面が、怪しく笑った気がした。


 ――これは、勇者と魔王である事を一人の少女に願われた、ごくごく普通の高校生の物語。
 実際の物語では起こらなかった架空の……はずの、物語。


 涼宮ハルヒの戦友 あなざぁ! 〜終わり〜

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:17:31.47 ID:WkPDTMcM0
乙!
なんかうろ覚えだから本家読み直してくる

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:40:37.59 ID:WkPDTMcM0
っと、飯だ

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 18:58:10.52 ID:pCpomfyrO
乙!
俺も本家読まないと忘れてるw

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:16:33.81 ID:ZmQk20LQ0
折角立ったので、他所で投下したものでも、保守代わりに投下します。
クロスSS。およそ90kb。
タイトルは「代物カワリモノ語ガタリ」。

では、お楽しみ頂けたら幸いです

55 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 19:18:17.68 ID:ZmQk20LQ0
『はるひゴッド』

涼宮ハルヒという少女について僕が知っている事はそう多くない。
事情が事情であるからこれは仕方が無い事だと思って頂きたいのだが、それでも彼女と接点を持った僅かな時間で分かった事も幾つかは有る。
とは言っても、それらはほぼ全てが伝聞であり、そしてそれが彼女の本質とはまるで関係の無い話である事を理解して頂きたい。
曰く、容姿端麗。
曰く、成績優秀。
曰く、天真爛漫。
つまり――才色兼備だ。
羨ましい事だと思う。
一物すら怪しい僕にとって彼女のような誇るべき点に困らない人間は嫉妬を通り越して羨望の対象にすら成り得ると言っても良い。
だが。
だからと言って僕は彼女になりたいとは思わない。
彼女に憑り憑いている怪異を知った今となっては、それは決して替わりたいと思う対象ではない。
怪異。
怪異だ。
怪しくて、異なるもの。
県立北高。そこで一等の噂の的である彼女は、彼女の持っている特性とでも言うべきものは、それが全て怪異に因る恩恵である事を思えば。
僕の吸血鬼属性なんて、それこそ生易しいと思わざるを得ない。
「上には上がいる」とはよく聞く言葉。
誰が最初に言い出したかなんて知らないし、その言葉も頂点に上った事のある、ある種選ばれた人間の皮肉だとこれまで僕は考えていたのだが。
撤回する。上には――上には、確かに上がいる。
けれど。
けれど。
彼女の上には上なんてない。
涼宮ハルヒの上位に立つモノなど、この世にはいないのだ。
例えば僕らはそのような存在を、仮にこう定義している。
「神様」と。

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:18:48.87 ID:WkPDTMcM0
本家ktkl

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:20:51.69 ID:schwlmw3P
待っていたよ!

58 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 19:25:39.09 ID:ZmQk20LQ0
神様。なんて陳腐でチープな言葉だろうか。
怪異の専門家である忍野が口に出せばこそ、それでも少しばかり胡散臭さを、怪異に少しばかりでなく縁が有る僕でさえも拭えない言葉。
けれど、僕は知っている。戦場ヶ原の一件で、僕は身をもって体感している。
この世には、神様と呼ばれるべき怪異がいるって事を。
蟹。思し蟹。
けれど、こう言っては戦場ヶ原に失礼かも知れないが、それでも敢えて言うなら、あんな「もの」は神様としても程度が低いと。
涼宮ハルヒに関わってしまった今の僕としてはそう言ってしまえる。
――言わざるを、得ないのだから。
そう。繰り返すが、戦場ヶ原ひたぎを三年もの間苦しめ続けた――救い続けたあの蟹であっても、しかし程度が低いのだ。
怪異としての存在にしても、その引き起こす所の恩恵にしても。
恩恵。
忍野は言う。怪異はただ望まれた通りに与えるものだと。
僕にはとてもじゃないがそんなものはありがた迷惑も良い所だと思うし、それが恩恵だとも思いたくは無い。
しかし、例えば。涼宮ハルヒを知ってしまった今となっては思うのだ。
怪異は、与えるだけだと言うのも満更嘘ではないのかも知れないな、などと。
思ってしまうのは、その恩恵としか言いようの無い特性を与えられた少女を知ってしまったからだろう。
彼女に、自覚は無い。
彼女に、自分が怪異に憑り憑かれたという自覚は無い。
救いが有ると、そう思えるのはその一点だけだ。
一点だけ。
それを除けば、その存在に救いなんて無い。
代用品が、無いだけで。

59 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 19:30:06.16 ID:ZmQk20LQ0
例えば。彼女に代わりとなれる人間がいれば。彼女はあんな怪異に憑り憑かれる事も無かっただろう。
だがそれは、前提からして間違っている。
彼女は「唯一」を願い、そして怪異はそれを叶えたのだから。
涼宮ハルヒが格別に特別であるのは、それこそ当然の帰結であり、そこに疑問の余地を求めるには三年ほど遅い。
けれど、僕は考える。考えて――しまう。
もしも、彼女がそれを訴えたのが七夕でなかったのなら、と。
日が、良かった。星が、良過ぎた。怪異の専門家はそう指摘した。
そしてこうも言った。
打つ手は無い、と。
それは忍野らしい言葉だと言えなくも無い。自覚が無い以上、バランスはとても危ういけれどそれでも取れているそうで。
あの軽薄なアロハ野郎は無関心非接触を決め込んだ。
しかし、その事態の中心。言うなれば恒星の引力に巻き込まれてしまった僕としてはそうもいかない。
なんとか、帰らなければならないのだから。
戦場ヶ原の元へ。僕の居るべき場所へ。
家へ。
さて、そろそろお気付きだとは思うので言っておく。これはカワリモノ達のお話だ。
事態の中心である神様も変わり者なら、それに呼び寄せられてしまった僕なんてのは変わり者で替わり者。且つ、換わり者の代わり者だ。
先に結論から言ってしまえば、これは神様に吸血鬼が説教をするお話とそうなるのだが。どうか笑わないで頂きたい。
果たしてこれは羽川と出合ってからの僕の持論でもあるのだけれど。
この世界には、誰かの代用品となれる代用品なんて居る訳は無いんだ。
そう。僕は戦場ヶ原にも教えられた。
自分を救ったのが貴方で良かった、と。毒舌の嵐の中であっても、そんな事を言って貰えた以上。
僕は誰かの代用品なんて位置に甘んじてはいけないのだとそう思うんだ。

変わり者は、入れ替わり、挿(ス)げ換わり、立ち代わり。その結果として、自分の居場所に、立ち返ろう。
立ち、帰ろう。
歩いて、帰ろう。

僕には、唯一無二の、優しい居場所が有るのだから。

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:32:19.87 ID:tCFWlHzp0
ほう

61 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 19:36:02.46 ID:ZmQk20LQ0
通学路。いつもの心臓破りの坂で、僕は背中から声を掛けられた。
「や、アラララくんっ」
「人の名前を一昔前の漫画のおっちょこちょいな奥さんが言いそうな台詞に置き換えるな。何度も言うが僕の名前は阿良々木だ」
「ごめんよっ。噛んじゃった!」
「違う。わざとだ」
「噛むじゃっちゃ」
「わざとじゃない!?」
「カムチャッカ」
「どっかにそんな名前の国か首都が有ったな」
いつものやり取り。けれどどこか違和感を感じたのは何故だろう。いや、楽しいは楽しいのだけれど。それでもどこかに何か釈然としないものが有る。
……僕が狭量なのか?
「いいや、阿良々木君はどっちかと言えば橋梁だねっ」
「橋!? 今まで自分の事を人間だ人間だと思っていたのだけれど、実は人間どころか有機物ですらなくて、橋だったのか、僕は!?」
「そうなるねぇ」
「謝れ! 僕はともかく僕を産んでくれた両親に謝れ!」
「人と人を繋ぐ架け橋だっ」
ぬぅ……この同級生、中々上手い事言うじゃないか。
「山田君、座布団あげてっ!」
「だが、それを自分で言うのは頂けないな……と。おはよう、鶴屋。奇遇だな」
鶴屋。下の名前は……忘れた。その明るい同級生は後ろから僕の肩をポンと叩いた。
「おはよっ。今日も良い天気だねぇ」

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:38:43.38 ID:8nPWNvMr0
アララっとさん視点かしら

63 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 19:40:32.78 ID:ZmQk20LQ0
「良い天気……ねぇ」
僕は空を見上げた。
「僕の目には雲が立ち込めた生憎の曇天にしか見えないんだが、お前の目には太陽が見えているのか?」
「いつも心に太陽を忘れないのが楽しいハイスクールライフを送る為のコツにょろ」
くっ……まるで僕が楽しいハイスクールライフを送るに人間が不足しているみたいに言うじゃないか。
「いやいや。阿良々木クンにはこのアタシが居るからね。楽しくない高校生活は送らせないよ! じっちゃんの名に賭けて!」
「その台詞は不味い! 登校したらクラスで殺人事件が起こっているフラグだ!」
……ここまで来て本格推理物に方向転換とか、シリーズのファンが怒り出すぞ、マジで。
「『本格推理少女つるや』ってタイトルに今から変えないかい?」
「西尾先生ごめんなさい!」
僕は通学路で土下座した。
「……土下座って久々に見たよ」
「そこは感心する所じゃない! つか、どっちかって言うと土下座しなきゃならないのはお前なんだよ!」
「アタシは死んでも頭は下げない」
かっけぇ。この同級生、かっけぇー。
僕は立ち上がると膝に付いた土埃を払って、一つ咳をした。
「さて、鶴屋」
「ん? なんだい、アライグマくん」
「違う! 僕は檻に投げられたジャガイモを洗う事に一心不乱になるような動物園のマスコットみたいな名前じゃない!」
「ごめんよ、カムチャッカ」
「一足飛ばした!?」
ぬぅ、コイツは侮れない強敵だ。同じネタを繰り返しながらも笑い所を変えてくるとは。芸達者な奴め。
「朝、早いんだな、お前」
前日に戦場ヶ原にみっちりと勉強を教え込まれた疲れで(彼女の名誉の為に言っておくが、ガハラさんは決して教え方が下手な訳ではない。疲労してしまったのは単に僕自身の物覚えの悪さに起因している)、昨晩は早々に寝てしまい、僕は本日珍しく早起きをしていた。
「いやいや、阿良々木くんがいつも重役出勤なだけだよ?」
「僕はいつから重役に就任したんだ? 管理職手当てとか貰った覚えは無いぞ」
「今、流行の『名ばかり管理職』ってヤツさー。いやー、流石流行に敏感な阿良々木クンだよねっ。鶴にゃん、尊敬しちゃうにょろー」
「そんな流行に僕は自分から乗っていかない!」
つか、もう少し頑張れ労働管理局。せめて僕が社会の荒波に立ち向かう頃にはクリーンな労働環境を築いてくれ。

64 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 19:45:43.69 ID:ZmQk20LQ0
「重役と言えば、阿良々木くん。君はSOS団って知ってるかい? 鶴にゃんはそこの重役なんだよっ」
SOS団? いや、寡聞にして聞かないな。なんだ、その名前からして可哀想な集団は。ポ○モンでも強奪してるのか?
「にゃはは。阿良々木くんは本当に流行に疎いなー」
先刻まで流行に敏感な事を褒めてくれていた少女にそんな風に貶された。少なからずショック。
「……悪いかよ」
「いんや、悪くは無いさ。そうさね。阿良々木くんは友達居ないもんねー」
……いや、僕に友達が少ないのは事実だが、しかしこの短い通学時間中にそこまで言われなければならないような狼藉を僕はこの女に働いたか?
「それは違う、鶴屋」
「んにゃ?」
「僕は友達を選別する」
と、僕はキメ顔でそう言った。
「おおー」
「僕はソイツが命を張っている時に一緒に命を張れない関係を、友達と呼びたくないだけだ」
……なんてな。羽川の受け売りだ。だが、今、僕が友達だと思っている彼女達は、結果的にではあるけれどそういう繋がり。
失くしたくない、代え難い、繋がり。
「ふむふむ。信念が有るんだねぇ、阿良々木くんには。いや、若いのに立派だよ」
どこか嘲られているように感じるのは僕の気のせいではないだろうな……。そうだよ。どう言い繕っても僕には友達が少ねぇよ。
「だがな。そう言う鶴屋だってどうなんだよ。なんだっけ。朝……日屋?」
「あ、さ、ひ、な、だよ。みくるだろう?」
「そうそう。朝比奈みくる。お前だってアイツとつるんでるトコばかり僕は見かけるぜ?」
そうは言っても、それでもやっぱりクラスで孤立しているのは、僕ぐらいのモノではあるけれど。 ……いや、ガハラさんと羽川という友達を持っている僕は、今では孤立無援ではないか。
……そろそろ、同性の友達が欲しいか、などと考えてしまうのは、欲が出て来てしまっているのだろうか。危ない危ない。
友達は作るものじゃないなんて、そんな簡単な事は分かっているのに。
縁は、合うもの。結(ユ)うものでは、それは無い。
それを結ぶのだって、神様の領分。

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 19:48:55.95 ID:pCpomfyrO
ありゃりゃぎさんが北学に入学したようです

66 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 19:50:14.07 ID:ZmQk20LQ0
「んー? まぁ、確かにみくるは楽しいからねー」
そう言って鶴屋は若干邪悪な笑みを浮かべた。
「あのおっぱいは凶器だよ」
「お前……クラスメイトに対してクラスメイトの胸の話をするなよな」
まぁ、確かに僕だって朝比奈を思い出す時に名前よりも先にその特徴的な持ち物が脳裏に浮かんだ訳だが。
そこは言うまい。紳士として。
「ぷりちーなお顔よりも名前よりも先におっぱいを思い出すなんて、阿良々木くんもオトコノコなんだねぇ」
「僕のモノローグを読むのが流行の最先端かよ!!」
最近、僕のモノローグはモノローグとして機能していないのはどこに訴えれば良いんだ。プライバシーなんて言葉は所詮幻想に過ぎなかったのだろうか。
「うんうん。青少年いいじゃないか。健全に育ってる証拠さねー」
「僕のプライバシーを侵害した事に対しては何のフォローも無しか……」
「でも、みくるはわたしのものだよっ?」
「僕は一度だって取るなんて言ってねぇだろうが! 大体、モノ扱いとか朝比奈の人権をさらっと無視してんじゃねぇ!!」
背景に百合を咲かせるとか器用な真似すんな。それは神原の領分だろうが。言い間違えを取っておいて更に他のキャラの特徴まで侵害する気か。
何でも有りかよ、この女。
「何でもは知らないよ。知ってる事だけ」
「僕の大切な人まで汚された! 謝れ! 羽川に謝れ!」
今まで余り喋る機会は無かったがこのクラスメイトは中々愉快な性格で有るらしい。だが、それと羽川の台詞を引用しやがったのは別問題。
別問題にして大問題だ。
「なぁ、鶴屋」
「難題、阿良々木くん」
「ひらがなに直せ!」
「ごめんよ、噛んじゃった」
「違う! 故意だ!」
ひらがなにしたらどっちも「なんだい」だし。と言うかよく気付いたな、僕。
「で。なんだい、阿良々木くん」

67 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 19:55:16.21 ID:ZmQk20LQ0
「鶴屋がどれだけ誰かの特徴をパクってもさ」
「オマージュごっこじゃないよ、オマージュだよ、阿良々木くん。オマージュじゃないよ、オマーそのものだよ、阿良々木くん」
「僕の大切な姉妹の口癖までパクられた!!」
芸達者にも程が有るだろ、お前……。
……「オマー」って何だよ……。
「お前の知識は僕の家族にまで及んでるのかよ、鶴屋?」
「いやいや、あたしが特別な情報網を持ってる訳じゃないよ? 栂の木二中のファイヤーシスターズと言えば巷でちょいと有名だったり」
ふむ。確かに僕は友達が少ないせいでその噂は寡聞にして聞かないが、しかし鶴屋ほどの交友関係であればその悪名が届いていても可笑しくはない、か。
……おい、高校にまで名が売れてるってどういう事だ、偽者姉妹。お陰でこれから高校じゃ少し生き難くなりそうだぞ、兄は。
知らなきゃ良かったなぁ。僕、結構繊細な神経の持ち主だし。
「そうだったのか。ところで鶴屋。妹の事は兄貴としてはちょっと気になるところでさ。アイツらのどんな話を聞いてるんだ?」
「んー、いつだったかバス亭近くで高校生相手にリアルストリートファイトをやってた、とか」
その相手、僕だよ!! っつか、あの喧嘩に目撃者が居たのかよ!!
「その後、その高校生と抱き合ってた、とか」
兄妹だから性的な意味は無い!!
「後は最近ドラッグストアで歯ブラシをじーっと選んでる所がよく目撃されてるかなー」
「まだ間に合うから道を踏み外すな、火憐ちゃん!!」
学校までの心臓破りの坂の途中。振り絞った大声で妹の名前をちゃん付けで叫んでいる男子高校生の姿が、そこには有った。
というか、僕だった。
「……えー、こほん。通学中の他の生徒の視線が痛いので話題を戻しますが」
本日二度目の咳払い。必殺、仕切り直し。
「鶴屋。お前、友達居るのか?」
僕の質問に対して少女は少しだけ首を捻った。
「阿良々木くんの友達の定義でいくと結構少ないかな。うん、一人しか居ないかも」
「……ふぅん、それって?」
「君」
重い! 重いよ! 唯一人とか本気で重いから!

68 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 20:00:49.84 ID:ZmQk20LQ0
「ふふっ、冗談冗談。そうだねー。命を張れるってなったら、うーん、みくるぐらいかなー」
「どっちにしろ愛が重い!」
「でも、あたしの場合、友達の定義っていうのは阿良々木くんとはちょっと違うかもねっ」
「へぇ。ま、確かに僕の定義は極論だと自分でも思うけどさ」
というか「僕の」じゃなくて「羽川の」なんだけど。それは言わない。
パクりとかって、気付かれると途端にカッコ悪いじゃん?
「わたしにとって友達っていうのはだねぇ」
鶴屋は坂をスキップをして登り、そして僕から少し離れた所で振り向いた。一拍遅れで少女に続く艶やかな黒髪に目を奪われる。
「わたしにとって代わりのいない相手の事なんだよ」
少女は曇天を吹き飛ばすように清々しくそう言い切った。
何を間違えたか、八重歯を出して笑う彼女をちょっと可愛いかも知れない、などと僕は思ってしまった。
「代わり……ねぇ」
「そう。言い方は悪くなるかも知れないけれど」
少女は辺りを見回した。
「今、通学してる彼らはわたしにとってぶっちゃけモブじゃん?」
「モブとか言うな」
「いや、言葉の綾ね」
「鶴屋の言いたい事は分からないでもないけどさ」
自分の人生に関わらない人間。人はそういう人に対して徹底的に無関心であろうとする。僕だって、コイツだってそこんとこは例外じゃない。
例えば昨日まで鶴屋が、僕にとって接点の無い「単なるクラスメイト」であったように。
愛の反対は無関心だと、これは誰が言ってたんだったかな。
含蓄の有る言葉だ。個人的にはノーベル平和賞でも贈ってあげたい。
「わたし達の持ってる人と関わろうとする力……臭い言い方をすれば『愛』? うん、それってーのは無尽蔵じゃないと思うんだよねー」
「同意だ」
愛は無限だとか、そんな一昔前のラブソングみたいな事を無条件で信じられるほど、僕は子供じゃない。
大人だとか言うつもりもないけどさ。つまり、微妙な時期だってこと。

69 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 20:07:08.96 ID:ZmQk20LQ0
「だからさ。わたし達はそれを使う場所を自分で考えなきゃいけないんじゃないか、って思うワケ」
「ふぅん。なんか『差別してる』みたいな話だな」
「差別してるんだよ」
さらりと。本当に何でもないかのように。いや、事実、彼女にとっては当然の考えなのだろう。差別している、と少女は言う。
「差別しちゃいけないのなら、あたし達は時間を限られている以上、誰も愛せずに時間が終わっちゃう。そうっしょ?」
「……なるほど。深いな」
というか、僕は通学中にクラスメイトと何を話しているのだろうか。いや、こういう会話は別に嫌いじゃないけれど。
嫌いじゃないから、困りものだ。
「だから、あたしは自分から差別する。大切な人を大切にしたいから、大切な人に時間を割く。関わりあう力を割く。それで良いと思うんだけど、異論有るかい?」
「いや、今の差別に関する考察には何も言う気は無い。完全に同意見だ。だけどな」
だけど、僕はこう思う。
「誰かが誰かの代わりになんてなれる訳無いし、誰かが誰かになれる訳ねぇんだよ。だから、モブって言い方は嫌いだ」
僕達の前後を、同じように連れ立って歩く名前も知らない彼らだって。
「僕が知らないだけで皆、名前はちゃんと有るんだから、さ」

70 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 20:10:25.14 ID:ZmQk20LQ0
隣を歩く、鶴屋が軽快に笑った。いや、僕だって臭い事を言った自覚は有るからさ。そこに塩どころか山葵を塗りこむなよ。
「違う違う。阿良々木くんは今まで余り喋った事も無かったけれど、結構面白いことを言う人だったんだなぁ、って」
「それはこっちの台詞だ」
「格好良い台詞だったにょろよ?」
阿良々木暦は(心の中で人知れず)不思議な踊りを踊った!
「鶴にゃん少し、トキメいちゃったかも知れないよっ」
トキメいた。
……トキメいた……ねぇ。
「冗談でも男相手にそういう気を持たせるような事を言うな。僕だったから良いようなものの、他の奴相手だったら確実に今ので勘違いするぞ」
「ふーん。それが阿良々木くんの手なんだね」
「手、ってなんだよ。人聞きの悪い事言ってんじゃねぇ」
全く。
困ったクラスメイトだ。話してみると面白いから更に性質が悪い。ああ、なんで僕はコイツとこれまで疎遠だったのだろう。
「そう言えばさ」
「ん?」
「なんでお前、僕に声を掛けてきたんだ?」
「あれっ? 声を掛けちゃいけなかった? 歩きながら単語帳を開いていない事は確認してから挨拶したんだけどな」
お前の挨拶は人の名前を噛む事だったのか。
「まだ覚えてたのかい?」
「自慢だが僕は今までどんな風に名前を噛まれたかを全て覚えている!」
「おお、地味にすげぇー」
鶴屋はカラカラと笑った。……地味とか思っても言うな。

71 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 20:15:16.38 ID:ZmQk20LQ0
「僕の友達の小学生がな。よく僕の苗字を噛むんだよ」
つか、小学生の友達とかどうなんだろう、僕。いやいや、八九寺はアイツが嫌だといっても一生構い続けるつもりではあるが。
それでも、クラスメイトに向かって僕の友達は小学生だと言い切ってしまうのは……待て待て。僕はその性別にまでは言及していない。
って事は近所の優しいお兄さん、くらいに思われてるだろうから。よし、セーフ。
「ああ、なるほど。阿良々木くんはロリコンだったのかぁ」
「どこで僕の友達の性別を判断したんだ!?」
「そりゃ、鶴にゃんに興味を持たない訳だよー。よよよ……」
「え!? いつの間に僕とお前の間にフラグ立ってたの!?」
驚愕の事実だ。普通に会話しているだけでフラグが立つのは画面の中だけだと思っていた。
……ギャルゲーって結構現実に即して作られてるんだな。
「でも、家に帰れば妹が居るんだろう?」
「ああ。って、そのどこにロリコン疑惑が絡んでくるんだよ! 僕はロリコンでもシスコンでもない!」
「まぁ、普通に考えればそうなんだけどね。でも、阿良々木くんの場合はその数が半端じゃないから」
「シスプリ自重!!」
十二人も居ねぇよ。
「いやいや、十四人っしょ?」
「火憐ちゃんと月火ちゃんは二次元じゃねぇ!!」
ファイヤーシスターズの噂を聞きつけているんじゃなかったのか、お前は?
「でも、その小学生って女の子だよねっ?」
なんで、微妙に断定口調なんだ? 僕、コイツにそんな風に思われるような発言をこの短い間に一度でもしただろうか。
……記憶に御座いません。
「んー、まぁ八九寺は性別とかそういうのあんまり気にしないけどなー」
「なるほどほどほど。阿良々木くんはショタでも行ける、と」
「どうして僕の言葉を悪い方に悪い方に取ろうとするんだ、お前は! 僕を貶めようとしてるんだなそうなんだな!」
シスコンでロリコンでショタ。
どんだけハイスペックなんだよ。連邦の新兵器か、僕は?

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 20:17:43.84 ID:GiL8FUGt0
クロス元知らないけど面白いなw しえん

73 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 20:20:02.68 ID:ZmQk20LQ0
「いや、ついつい」
「ついついで済むなら『名誉毀損罪』なんてこの国に存在してないんだよ!」
「ぶいぶい」
「言わせるのは中学生までにしとけ!」
「ふいふい」
「もう意味が分からない!」
こんなに面白い登校は久しぶりかも知れないと、そう思ってしまう僕は……いや、決して僕はマゾじゃない!
「どっちかと言うと僕は攻めだぁっ!!」
「何、叫んでるのかな……」
引かれてしまった。なんだろう。どうしてこういう時ばかりモノローグを読んでくれないのだろう。僕の日頃の行いが悪いからか?
「いやいや、人格が悪いんだよ」
「だから、どうして僕はお前にそこまで言われなくちゃならないんだ!」
言葉の警察を今すぐに造れ、日本政府! 今、僕を救わないで日本って国は誰を救うってんだ!
「うーん、何の話だっけ?」
「お前がなぜ、僕に声を掛けてきたのか、って話だ」
脱線はいい加減にしておこう。うん。その内大事故に繋がりかねないからな。
はるひゴッドって副題なのにいつまで行っても肝心の主役が出て来ないとか、看板に偽りが有り過ぎるだろ、マジで。
「ああ、そうだっけ」
「……はぁ……忘れてるなよな」
「いやいや。阿良々木くんとの会話が面白くてねー」
「そうかい。そりゃ結構な事だ。喜んで貰えたのなら僕としては恐悦至極。恐れが多過ぎて山を作っちまうよ」
「イタコ萌えだねぇ」
「今の分かり難いギャグに食い付いた!?」
恐れが山を作って恐山。たしか青森に有る奴だ。
「ふむ。そうは言ってもだよ、阿良々木くん。君はこれまでに食べたパンの枚数を覚えているかな?」
「確かに原作者はJOJOの小説版を書いているけれども!」
DIO様の台詞の引用は少なくとも女の子がする事じゃ無いと思っていた。コイツも僕の中の女性幻想を打ち砕く為に現れた刺客なのか!?

74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 20:24:11.70 ID:8nPWNvMr0
まて、ジョジョは乙一じゃなかったか?
ヤツなら二次創作でも公式でも書いていても不思議ではないが

75 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 20:25:05.50 ID:ZmQk20LQ0
「間違えた。阿良々木くんは今朝の朝食のメニューを事細かに覚えているかい?」
「……ん、トースト二枚とコーヒー」
間違えようが無かった。誰だ、貧相なメニューだとか言った奴は。
「……そこは『え? ああ、そんなの簡単……いや、覚えてないな』と言って欲しかったなー。リテイクしようかっ」
「会話中にリテイクを入れる奴はお前が初めてだよ!」
八九寺だってそんな横暴はした事ないぞ。会話の流れを楽しむ違いの分かる小学生だからな、アイツは。
「ってワケでリテイクっ」
「トースト二枚とコーヒー」
「カーット!!」
僕の頭から良い音がした。一昔前のコメディ番組でよく聞いたような(昔はテレビっ子だったんだよ、僕だって)軽快な音……ハリセンとかどこから出したんだ?
「そりゃあ、鶴屋家の婦女子たる者、いついかなる時も茶目っ気を忘れないようにハリセンとスリッパはデフォルト装備だよ」
「ガハラさんみたいな女だな、お前は」
体中にギャグの小道具を隠している女。ヤバい。ちょっと面白い。萌えないけど。
「流石にイタコは出てこなかったけどねー。タコが限界だよ」
「先刻からずっとなんか生臭いと思っていたのはお前が原因か!!」
「ちなみに板も出せるにょろっ!」
「何、その積載能力!? まさかの四次元ポケットかよ! 未来派気取ってんじゃねぇ!」
閑話休題。
「つまりわたしが言いたいのはだね」
「聞こうじゃないか」
「声を掛けた理由なんて覚えてないんだよね、これが」
理由無き反抗。なるほど。それはこれ以上無いくらい大きな理由だな。
「っていうか、そんなの『クラスメイトだから』ってそれだけじゃダメなのかい?」
「僕が悪かった!」
なんってーか、人間としての小ささを指摘されてる気分。チクショウ。

76 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 20:32:24.19 ID:ZmQk20LQ0
「でもさ。実際、『クラスメイトだから』ってだけで声を掛けられるか? 少なくとも僕は無理だな」
「阿良々木くんは友達作るの下手そうだしねぇ」
「だからなんで事有る毎に僕を傷付けようと……まぁ、良いや」
人間嫌い。それは僕が甘んじて受けるべきレッテルだ。
友達を作ると人間強度が下がるから。
そんな馬鹿な信念を持っていた昔の僕が今の僕に繋がっているのだから、それは仕方が無い。
そんな馬鹿な信念を持っていたから、今の僕になれたのならば。そんな「傷」だって僕は受け入れる。
「それで良いよ。ああ。羨ましくは無いけれど、お前のそのあっけらかんとした性格はなんっつーか、良いな」
「そう正面から褒められると流石の鶴屋さんも照れちゃうんだけどなっ。ああ、そうそう。あっけらかんと言えば」
「言えば?」
「阿良々木くん、涼宮ハルヒっていう名前の女の子、知ってる?」

     代物カワリモノ語ガタリ

                      はるひゴッド

77 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 20:35:12.26 ID:ZmQk20LQ0
「……まぁ、名前くらいは。でも、本当に名前くらいだぜ?」
稀代の変わり者。名前以外にはそんな彼女のレッテルしか記憶に無い。
「……阿良々木くん、本当に友達少ないんだね」
うっせー。ほっとけ。
「二年五組在籍の超美少女!」
僕の耳が浅ましくもピクリと動く。……仕方ないんだ。美少女なんて言われたら、しかもそこに「超」まで付いてしまったならば。
僕みたいな、ちょっと体が丈夫なだけのパンピーがそこに興味を抱いてしまうのは、規定された事項、ってヤツなんだ……。
「……ふーん……興味無いな」
浅ましついでに、浅ましく強がってみた。
「僕の耳が浅ましくもピクリと動く。……仕方ないんだ。美少女なんて言われたら、しかもそこに『超』まで付いてしまったならば。
僕みたいな、ちょっと体が丈夫なだけのパンピーがそこに興味を抱いてしまうのは、規定された事項、ってヤツなんだ……」
「一字一句間違えずに僕の独白をコピー&ペーストとか、お前は超能力者か!?」
「こんなの一般スキルだよっ」
「嘘だ……嘘だと言ってくれ……」
どうやら僕は知らぬ間にサト○レになってしまっているらしかった。だから、それも作品が違うって!
「どんなに気心の知れた仲でもプライバシーって大切だよねぇー」
「お前がそんな事を言っても説得力が無い!」
コイツが男だったら僕は間違いなく殴っていた。うん。その自信は有るし、それだけの事をしても許される深刻なイジメを現在進行形で僕は受けている。
「で、ハルにゃんの話に戻るけどさ」
ハルにゃん……ああ、涼宮なんとかの事か。
「っつーか、いやに親しげに呼ぶじゃないか? 友達か?」
「阿良々木くんの定義で行くとちょっと友達とは呼べないにょろ」
「僕は友達の為に命を張る事をお前に強制した覚えは無い。つか、自分でもちょっと行き過ぎた表現だと思わなくもないから控えてくれ」
「うぃ、むっにょろ」
「むっにょろって何!?」
返す返す、ツッコミ所に困らないクラスメイトだった。

78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 20:38:05.60 ID:8nPWNvMr0
むっにょろ吹いた
しかもタイプしずれー

79 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 20:40:12.14 ID:ZmQk20LQ0
「そのハルにゃんって超美少女がね。超美少女を集めてサークル活動をやってるのっさ! ちなみにわたし、先刻も言ったけど重役。名誉顧問!」
えっへんとでも書き文字が躍りそうに分かり易く胸を張る鶴屋。……歩きながら胸を張るとか、バランス感覚良いな、コイツ。
「超美少女を集めて……ねぇ。眉唾だな」
「むぅ、その顔は信じてない顔だね」
「まぁな。そんなサークルが有ったらガハラさんや羽川が誘われないはず無いだろ? だけど僕はあの二人からそんな話を一度として聞いた事が無い」
彼女たちは僕が言うのもなんだけれど、校内トップクラスの美少女だ。鶴屋の話が本当ならば、彼女達が目を付けられない訳が無い。
彼女達と少なからず交流の有る僕としては、少し鼻が高い。
まぁ、単に二人が僕にそんな誘いが有った事を言わなかっただけかも知れないけれど。
「それに二人から聞かなかったとしても、それにしたって神原がそのサークルを一度も話題に出さないってのはオカしな話じゃないか?」
「みゅ?」
みゅ、ってなんだ。鳴き声か。面白い生態をしてんなー、コイツ。
「ガハラさん、って誰?」
そう言って首を傾げる鶴屋。ああ、そうか。「ガハラさん」は僕と戦場ヶ原にしか通じない呼び名だったか。
「戦場ヶ原のニックネームだよ。って言っても、僕が勝手にそう呼んでるだけだけどさ」
「阿良々木くん」
「何だ、鶴屋?」
鶴屋はいつも通りの快活な笑顔で、それが当然と。まるでそうするのが自然であるかのように、その疑問を僕に投げ掛けた。
「あのさ、戦場ヶ原さん、って誰だいっ?」
「へ?」

『代物カワリモノ語ガタリ』
はじまりはじまり。


80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 20:42:31.97 ID:8nPWNvMr0
ガハラさんの消失!?

81 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 20:47:37.07 ID:ZmQk20LQ0
戦場ヶ原ひたぎ。
僕の恋人だ。唯一にして無二の。代わりの利かない大切な人。
羽川翼。
こっちは僕の恩人だ。これまた唯一にして無二の。僕の第二の母親とでも言うべき大切な人。
でもって神原駿河。
彼女は僕の友人だ。またまた唯一にして無二の。異性の友人という意味では彼女が一番その言葉の意味する所に近いのではないだろうか。
先ほどから「唯一無二」という言葉を乱発している感が有るが、けれどそれは決して安売りしているのではない。
僕にとって彼女達は、それぞれがそれぞれに本気で大切な人なだけで。
阿良々木暦という人間にとって彼女達は、何が何でも失いたくない、そういう存在という意味だ。
何物にも代え難い、と言い換えても良い。
僕が僕である以上、彼女達との縁を僕は手放す気なんて無い。
だってのに。
縁は、いつの間にか切れているもの。
僕は一時間目を欠席して図書室へと向かい、そこで在校生名簿を開いたままに立ち竦んでいた。
「……嘘だろ、オイ」
そこには戦場ヶ原ひたぎの名前も、羽川翼の名前も、神原駿河の名前も、書かれてはいなかった。
それが当然と。名前の無い事が必然であるかのように。
そこに有るべき空白すらも埋められて。
逆に僕の心に空白を産んだ。
「……どういう、事だよ。何が……起こってんだよ」
「どうしたもこうしたも無いわ、お前様よ。あの小僧に聞いたじゃろ。それはそれが当然であるようにそれをそうする、とな。かかかっ」
影の中から、声がした。

82 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 21:00:37.79 ID:ZmQk20LQ0
「お前様が余りに心を乱すものだから、起きてしまったではないか。本来、朝方などは我等が一番嫌う時間であるというのに」
そう言って僕の影の中から「にゅう」と。立ち上がる少女。
美しき鬼の絞りかす。
麗しき鬼の搾りかす。
鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼の為れの果て。
怪異殺しの残滓。怪異の王の残響。
「……忍」
「ほれ、しゃんとせい、お前様よ。心を散々(チヂ)に乱せば、そこを怪異に付け込まれよう」
忍野忍は、そこに超然と泰然と、立っていた。
「……また怪異の仕業、か」
「そう見るのが妥当じゃろうの。ふむ、我が主様はそういったものに余程好かれていると見える」
笑い事じゃないってのに。しかし、忍の笑い声に救われている僕がそこにいたのも事実だった。
「だけどさ、忍」
「なんじゃ?」
「怪異ってのは望みに応えるものなんだろ?」
「そうとも限らんのう」
金髪碧眼の少女は図書室備え付けの踏み台に腰掛けた。今の忍のサイズなら確かにそれは椅子として丁度良い高さではあるな。
「例えば儂が良い例じゃ。お前様はあの時、儂に望んで出会ったか? 違うであろ。怪異とは一概に望みを叶えるモノではないの」
「まぁ、確かに」
言われてみれば、僕は望んでキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードに出会った訳じゃない。
望んでいて出会えるのならば、僕よりも先に羽川に発見されるのが筋というモノだろう。
「そういう事じゃ。願いを叶える、という怪異が多いのは人間共が『そうであれば良い』と願った結果に過ぎんの」
「人間、ってのは強欲なんだな」
「どんな怪異よりも、貪欲なのは人間じゃよ。そこへ見れば儂などなんと可愛らしい事か。のう、お前様?」
悪いが、忍。僕は人間としてその台詞には同意してやれない。

83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 21:03:45.08 ID:YhoIahuC0
おっ、久しぶりに立ったな!

84 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 21:07:10.72 ID:ZmQk20LQ0
「で、だ。話を戻すけどさ。お前にはこれが一体どういった怪異の仕業で、どうすれば対処出来るか分かるか、忍?」
「分からん」
そう言って少女は意地の悪い笑みを浮かべる。
「儂にとって怪異などは食物じゃからの。美味い不味いこそあれ、名や生態などには基本的に興味が無いわ」
「だろうなぁ……」
項垂れる僕。忍だって、自分から進んで怪異の生態を覚えた訳じゃない以上、彼女が知らないと言えばそれは知らないのだ。
「じゃからお前様よ。こういう事はその筋の専門家に聞くのが一番手っ取り早かろう。そも、儂を頼るのが筋違いも甚だしいとは思わぬか?」
「忍野……メメか」
自称、怪異の専門家。傍目には軽薄で汚らしいアロハ服の社会不適合者の事を忍は指したのだろう。
「まぁ、あやつがいなくなっている可能性も捨て切れんがの。かかかっ。それは良い。良いの。あやつは好かん。いっそあやつがいない世界の方が清々するわ」
忍野忍は名付け親を罵倒して、そう笑ったのだった。

結論が出たところで図書室を出ようと、その時だった。部屋に一つしかない扉が唐突に開いた。
「どうも……初めまして」
現れたのは少年だ。それも……まぁ、余り男に対してこの漢字を使いたくは無いのだが、しかし使わないと語弊を生みかねないので苦汁を飲んで使わせて頂くと「美」少年だった。
ちなみに忍は既に影の中に戻っている。コイツは基本、僕以外に姿を見せないからな。
「あ、どうも」
間抜けな返事を返す僕。知らない人間から声を掛けられるというのが元々余り好きではないし、その少年の貼り付けたような営業スマイルも、どことなく胡散臭い。
出来れば他人と接点を持ちたくないという僕のテレパシーは届かなかったようで、少年は僕に対して言葉を続けた。
「ふむ……言葉は通じるのですね」
僕、今何気に馬鹿にされなかったか? と言うかそんな台詞を何の表情変化も無しに言うってのはどんな戦場ヶ原だよ。
「ああ、そうです。お腹は空きませんか?」
「腹? いや、まぁ……空いたと言えば空いたけど、しかし小腹かな」
言うが早いか、どさり、と。図書室の床に何かが投げ捨てられた。それは、透明な袋に入った、赤い、赤い――。
「輸血用ですが、それで我慢して頂ければ助かります。僕は、貴方のおやつになりたくはないもので」
影の中で忍が戦闘体勢を取ったのが分かった。僕も、奥歯を噛み締める。
「……お前は……『何』だ?」
「おや、僕は人間ですよ、貴方と違って、ね。吸血鬼さん。ああ、失礼。自己紹介が遅れました」
そう言って、ソイツは映画でしか見た事の無いような見事なお辞儀をしてみせたのだった。
「僕は古泉一樹と申します。以後、よしなに……阿良々木先輩」

85 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 21:12:24.03 ID:ZmQk20LQ0
その古泉という名の少年は、一般人では有り得なかった。一般人はケータイを取り出すように懐から拳銃を取り出したりは、しないだろう。
「吸血鬼、というのは甚だ不勉強なものでして。銀の弾丸で良かったですかね?」
微笑みを張り付かせたままで、そんな物騒な事を言う少年。
「待て待て待て待て! そんなモンで撃ったら僕は死ぬぞ!」
「ご心配なさらず。吸血鬼を殺す事は初めてですが、事後処理の方は専門ですから」
「そんな事の専門になっている自分を顧みて速やかに更生する事を僕は全身全霊をもって強く勧めさせて貰う!」
「いえ、これでも僕は自分の立ち位置が相当に気に入っていまして」
「もっと高校生らしい楽しみが探せば有るはずだから! 僕で良かったら微力だけど手伝うし!!」
「高校生らしい楽しみ方を僕がするために。貴方には速やかにご退場頂きたいのですよ」
銃を構えた右手は僕の心臓にロックオンしたままで、左手で髪をかき上げる殺人鬼。
「僕が殺人鬼なら、貴方は吸血鬼ですか。ふふっ、皮肉ですね。鬼同士、楽しくやりませんか?」
「楽しくやるのには僕だって吝かじゃないが、しかし僕は人間だ!」
僕は……人間だ。人間もどきの吸血鬼まがいだけれど。
けれど、僕の心は人間だ。
僕は鬼なんかじゃ、無い。
僕の心からの訴えに、ソイツは眉だけをピクリと跳ねさせた。
「ふむ、人間だと。あくまでそう仰るのでしたら……そうですね。証拠を頂きたい」
「僕は日光の下に出ても平気だし、大蒜もあんま好きじゃないけど食べれるし、十字架だって首から提げれちゃうし!」
まぁ、今時十字架のネックレスとかセンスを疑うけれど。
「流れるプールだって楽しめるし、鏡に映せば影だってちゃんと有るし、蝙蝠に変身とか絶対無理だし!」
「……なるほど」
「銀の弾丸で撃たれたら死ぬのは誰だって同じだろ!? 銀じゃなくて鉛であっても僕はきっちり死ねる自信が有る!」
自分で言っておきながら嫌な自信だなぁ。
「……血は、飲むんですね」
「うっ」
「それだけ羅列しておきながら、しかし貴方は一度も吸血鬼のその名前の由来である所の『血を吸う』特性に触れなかった」
少年が目を細める。


86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 21:15:21.06 ID:8nPWNvMr0
ほうほう

87 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 21:20:47.67 ID:ZmQk20LQ0
「そ、それは……」
「後は……そうですね。その犬歯。それだけで吸血鬼と断定するには少し弱いですが……けれど、血を吸うとなればこれはもう確定です」
「それでも、僕は吸血鬼じゃない!」
「血を吸うのに、ですか? それは虫の良い話ですね」
「ミミズって畑を耕してくれるんだぜ!」
「それは虫の良い話ですね」
ヒクリとも笑いやがらない。それだけマジって事か……よ。仕方ない。僕は腹を括った。
「……どうしても、僕を吸血鬼と断定して殺したいのかよ、お前……古泉は」
「はい、阿良々木先輩。僕らの世界の安寧のため、どうか僕に殺されては頂けませんか?」
そのお願いを聞いてくれる奇特な人はそう多くないな。
自殺志願の、吸血鬼であっても首を横に振る。
「嫌なこった……なるほど。僕とお前は、どうやら相容れないらしい」
「仕方有りません。僕は人で、貴方は鬼なのですから」
「いや、僕は人だよ……だからっ!」
僕は跳び出した。少年向けて弾丸のように。そして、少年が照準を定め直すより速く……、
「勘弁して下さい!!」
「は?」
全力のジャンピング土下座を決めていたのだった。
「あ……あの? 阿良々木先輩?」
「すいません! 本当に吸血鬼もどきで申し訳有りません! でも、心は人間なんです! コナンくんくらい心と体がちぐはぐなだけなんです! だから勘弁して下さい!!」
恥も外聞も無いとはまさにこの事で。
以前のガハラさんが見たら嬉々としてヒールで頭をぐりぐりと踏みそうな、それは見事な土下座っぷりだったと、後に忍は僕に語った。
「いや、あの……僕としても無抵抗な相手を撃つのは抵抗が有ると言いますか」
「吸血鬼としての特性を少しでは有りますが持っている事は認めます。しかし、疚しい事は何もやっていません! 羽川に誓っても良い! というか助けて羽川さん!」
「えっと……すいません、羽川ではなく僕は古泉です。あの、取り敢えず顔を上げて貰えませんか、先輩?」
「嫌だ! そんな事を言って顔を上げたら眉間に銃口がジャストミートとかそんなオチなんだろ! 騙されるか! 僕は死ぬまでこの土下座道を貫く!」

88 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 21:27:29.34 ID:ZmQk20LQ0
貫いてしまった。
「どれだけ人間不信なんですか、貴方は」
「うるせぇ! 図書室で調べ物してただけなのに吸血鬼認定された挙句、拳銃突きつけられた男子高校生の気持ちがお前なんかに分かってたまるか!」
今の僕の気持ちが分かるのは僕だけだ!
「えっと……あの……」
「さぁ、バッサリとやれ! その瞬間、お前は無抵抗の人間を撃ち殺したって罪をその背に負うんだ……って違う! 殺さないで!」
趣旨変わってる変わってる。
どうやら、知らない間にテンションが上がってしまっていたらしい。落ち着け、僕。落ち着け。
「あの……阿良々木先輩。貴方は吸血鬼、なんですよね。機関からそう聞かされていましたが、どうも僕には自信が無くなってきましたよ」
言いながらも銃を突きつけられているプレッシャーは拭われてはいない。僕は決して頭を上げず、床に向かって告白した。
「僕は確かに吸血鬼だった頃も有ったけれど、今はどっちかと言えば人間だ」
人間もどきの吸血鬼まがい。
半端者と、称される僕は。
けれど僕が自分を人間だと信じている限り、人間なのだと。そう、僕の恋人と恩人は言ってくれたから。
僕はその言葉を頼りに今も生きている。
「……今は? ふむ、興味深い話ですね。詳しくお話を聞かせて頂けますか?」
「嫌だ」
あの話は。僕の傷の話は、出来るならしたくない、僕の汚点だ。
地獄としか思えない春休みの話。
煉獄としか思わない二週間の話。
「……そうですか。いや、失礼。自分の事を話さないで人から素性を聞きだそうなんて、それこそ虫の良い話でしたね」
「何を聞かされても僕は話さないからな」
「良いでしょう。僕の告白に貴方の素性と交換する価値が無かったら沈黙を貫いて頂いて構いません。ただ、その場合はこの引き金を引かせて頂きますが」
それは取引じゃなくて脅迫って言わないか?
古泉は僕の疑問を知ってか知らずか、一歩こちらに歩み寄ると、唐突に言った。
「僕は超能力者です」
「は?」

89 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 21:32:57.59 ID:ZmQk20LQ0
チョウノウリョクシャって何だ? どんな怪異だっただろうか? 聞き覚えは有るのだが。
「えっと……あのさ、古泉。僕の耳が悪くなったのかも知れないんだが、今お前、なんて言った?」
「ですから、僕は超能力者だと。そう言ったのですが」
超能力者。
……超能力者ね。
…………超能力者か。
「そんなん居るかっ!!」
僕は生きている限り土下座の道を貫く誓いも忘れて顔を上げ、全力でツッコんでいたのだった。
「って事は何か? お前、スプーンとか曲げられんのか? うわっ、ちょっと見たい!」
地味に見たい。
「いえ、曲げられません。またベタな超能力を思い浮かべましたね」
「って事は何か? テレポートとかそういう系統か!?」
そっちでも良い。それも地味に見たい。
「そうですね……例えば貴方のモノローグを読むですとか」
「お前もそっち系か、古泉!!」
と言うかさ。僕のモノローグが見えるのだったら、どうかさっさと僕を人間認定して銃を下ろして貰えないだろうか。
「それとこれとは話が別です」
「都合の悪い所は絶対読まないのな、お前らは!!」
悪質な編集をするテレビ局みたいな仕打ちをされている。こういう時はアレだ。JAROでどうジャロ、ってヤツだ。
……話の都合とかも有るんだろうけどさぁ。それにしたって限度が有るだろ。限度が。
「ああ、全てはこれからだ、ですね」
「それはゲンドウ」
「あの声優さんの起用には正直に言いましょう。驚きました」
「確かにガハラさんの親父さんは原作通り良い声してたよな」
……僕とコイツは間に拳銃挟んで何の話をしているのだろう。少なくとも声優の話をする空気では無いように思う。
……シリアスシーンだよな?
「貴方の居た世界では知りませんが、この世界には神様が居ます」
「それはアニメ監督の上に立つ敏腕振付師の小学生の事か?」
「いえ、そういうメタな話ではありません。と、言いますか。アニメ版の製作総指揮はどちらかと言うと戦場ヶ原さんであったように思いますね」
「戦場ヶ原知ってんのかよ!!」

90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 21:36:39.66 ID:8nPWNvMr0
知っているのか、古泉!

91 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 21:39:18.89 ID:ZmQk20LQ0
「おや、僕とした事が口が滑りました。今の部分、カットでお願いします」
「まさかのお前が監督か!!」
こういうストーリー上の矛盾が生まれるからメタな話は嫌いなんだよ……。
「まぁ、それも原作の味でしょう。話を戻しますが」
「ああ」
「この世界の神様は昔、願われました。宇宙人と未来人と超能力者と一緒に遊びたい、と。それが僕が超能力者である経緯です」
また、面倒臭い神様も居たもんだと思う。いや、神様ってのは基本面倒臭いものなのかもしれない。僕たち人間から見てみたら。
怪異なんてのは、僕たちの都合なんか考えないらしいからな。
忍は例外。
「すまないが、話半分で聞かせて貰っても良いか?」
「ええ。構いませんよ。神様、などと言われても信じられないのが普通の反応でしょうから」
いや、そこは特に僕は疑問に思わないけれど。
鬼。
猫。
蟹。
牛。
猿。
蛇。
蜂。
鳥。
神様にはよくよく縁が有る。
だから、僕は神様を信じている。けれど、縋りはしない。祈りも、しない。
彼らは、ただそこにあるだけ。それで、それだけの認識で良いんだろう。

92 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 21:42:25.42 ID:ZmQk20LQ0
「ある日……ああ、三日前の話なのですが」
「またえらく最近だな」
「その神様が吸血鬼の映画を見まして」
「またえらく面倒臭い神様も居やがったもんだなぁ、おい!!」
よし、話は見えた。もういい。全てとまではいかないけれども、八割くらいは話が読めた。
「えっと、僕の話はまだ続くのですが?」
「もういいよ! 大方、ソイツが『あー、吸血鬼っていうのも一度見てみたい』とかそんな事を言い放ちやがった挙句に僕がこんな目に遭ってるんだろそうなんだろそうだな!!」
「素晴らしい考察眼です」
「小学生でも展開が見えるわ!!」
褒められてもまるで嬉しくない。神原を相手にしている時みたいだ。
「ん? って事は……アレ? なんだ、この制服?」
「気付くのが遅過ぎませんか?」
古泉が溜息を吐く。ソイツはブレザーの制服を着ていた。そして、僕もお揃い。言うまでも無いと思うが市立直江津高校の男子用制服は詰襟であるからして……。
目前の少年は幾分に芝居掛かった口調で、僕にこう告げたのだった。
「ようこそ、県立北高校へ。歓迎しますよ、吸血鬼さん」
そう言って――ガチャリと。その手に持った銃の口が僕の額へ添えられた。

     代物カワリモノ語ガタリ

                      はるひゴッド

93 :クソ垂れ流し大好きロックマンXシリーズのシグマ:2010/05/30(日) 21:43:31.14 ID:/IfVv1hW0
このスレに http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/ghard/1274071545/

下のAAを5回貼って、このコピペを5つ以上の他スレに貼り付けると
明日好きな人から告白され、童貞or処女を卒業出来るわ、宝くじは当たるわ
セックス三昧の日々を過ごせるわ、嫌いな人間が絶対消えるわ、体の悪い所全部治るわでえらい事です
もしスルーしたら、永久に幸せは来なくなってしまいます。信 じ る も の は 必 ず 救 わ れ る



            ・。゚∵        ・゚∴。
          。∴。゚・∴゚      ・゚∴゚。・。
   ・。・    ・。゚・∴。・∴・    ∴・゚∴。・∴   ・゚∴
        ∴。゚∵。・。゚∵・゚・  ・∴。・∴・・∴。
       ・。・∴。  ・∴。・∴ ∴。・∴・∴。・゚。・
       ゚・∴゚・。    ∴。・:∴ ・∴。・∴゚゚・∴。・∴
     ∴。゚∵・゚・    ・∴。・∴゚・∴゚    ・∴。゚・゚。
       ,,------ 、   ・∴。・∴゚
      /: ____▽,,,,,,_ヽ    ゚∴゚          ・∴。
     } i:ェェヮi ト.ェェ:-i { /⌒Y⌒\
     ヾ::/イ__l丶 r'1ノ   ノ     ) ・゚・      マリオ3オススメ♪
      .}::l: ゝ--イ l:: :{^\      |
      ト!;_`二´_,,;!イ|  |    ノ   |     ・∴゚
∴゚・    |  |__三___|  |_/|   |
       |  |      ヽ|  ト'   |   |/^ヽ       。゚
        |  |         |  |_/ ヽ__人_ノ
      ⊆, っ      とーっ

94 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 21:47:23.78 ID:ZmQk20LQ0
……県立北高校とやらでは転入生歓迎の際にロシアンルーレットでもやらせるのだろうか。だとしたらこれも仕方が無い。
「まぁ、銃はリボルバー式ではありませんけどね」
「百発百中だったらロシアンルーレットなんて言わないんだよ!」
「僕の素性は大方お分かり頂けましたか?」
「詳しく聞く気も無いから、もう説明はいいよ」
正直うんざりだった。「orz」って感じ。
土下座してるし。
我ながらぴったりの表現じゃないだろうか。ちなみに、この表現、縦書きの原作では出来ない暴挙である。
「そうですか、でしたら貴方のお話を聞かせて貰えませんかね、先輩」
古泉は引き金に指を掛ける。
僕の喉がグビリと鳴った。
安全装置を押さえ込む、とかがこういった場合のセオリーなのだけれど、生憎僕はガンマニアでは無いので眼前で黒光りする拳銃の、どれが安全装置なのかなんて分からない。
話をしなければ、引き金を引く。古泉はそう言った。
そして僕が睨み付ける先の、少年の目は正気で狂気だ。
この目は躊躇わずに引き金を引ける、そういう人種だけが持つ目だ。
僕は知っている。
ギロチンカッター。
先刻からずっと、誰かに似ていると思ったんだ。そう、古泉の湛える雰囲気はあの狂気の聖職者のモノによく似ていた。
笑いながら、人を傷付ける事が出来る、人種。
断れば「そうですか。残念です」と言って即引き金を引くタイプ。
それが分かった。だから、僕は震える口を開いて、しっかりと言い切った。
「嫌だ」
その瞬間。
――がちゃん、と。
拳銃の上半分が図書室の床に落ちていた。
「なっ!?」
古泉の顔が歪む。僕は床に付けっ放しでそろそろ同化してしまってるんじゃないかと思う手のひらを(幸運にも癒着は免れていた)ぱんぱんとズボンで叩いた。
そして、すっくと立ち上がる。
「事情は分かった。お前の素性について興味は無いけどさ。神様ってのは聞いておきたい」


95 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 21:51:59.79 ID:ZmQk20LQ0
後方に跳んで、僕から距離を取る古泉。プロの動きとかは良く分からないけれど、多分、今この少年が見せたのが多分それなのだと思う。
そう思わせる、俊敏さだった。
「何をしたんですか?」
「いや、僕は別に、何も」
強いて言うなら、きっとどこかに潜んでいる吸血鬼の成れの果てを怒らせたのだろう。
僕の死は、忍にとっての生でもある以上。
自殺願望の有る吸血鬼は、僕を傷付けようとする存在を、許さない。
「嘘を言わないで頂けますか。何も無く、どうして鉛の塊が両断されるのです?」
「それは……ほら、アレじゃないか。そう、アレ」
きっと。
「僕の命と違って、古泉の良心と違ってその銃には代わりが有るからじゃないか?」
「戯言、ですね」
「傑作、だと思うんだけどな、僕は」
原作者オマージュ。……西尾先生、本当に申し訳有りません。
「良いでしょう。確かにその銃には代わりが有りますから」
そう言って。流れるような動作で古泉はブレザーの内ポケットから二丁目を取り出し、バレリーナの動作で無駄無く僕に狙いを定め、手際よく軽やかに発砲した。
言葉を挟む間も与えてはくれない。回避動作を取る時間も与えてはくれない。
次元大介並みの早撃ちだった、と言えば理解に易いだろうか。
当然の帰結として僕には何も出来なかった。反応すら、出来なかった。
が、それでも。
銃弾なんてモノは忍相手には遅かった。遅過ぎた。
腐っても最強の吸血鬼である彼女にとって、それは格好の的でしかない。
弾丸は僕に届く前に空中で二つに分かれた……のだと思う。僕には見えなかったから、推察する事しか出来ない。
けれど、影の中から「またつまらぬものを斬ってしもうた」とか聞こえてきたから多分間違い無い。
忍野……お前、元吸血鬼に何を教えてんだよ。英才教育もここまでいくと軽く虐待入ってるぞ。
「……なるほど、銃は無意味なようですね」
「みたいだな。僕の予想では今頃どっかの子供が悦に入ってるから、次弾以降も残らず両断すると思う」
どうやら忍は五右衛門派らしい。僕は断然主人公の泥棒に肩入れしてしまうのだけれど。
「そして、貴方がその気になっていれば、僕なんて最初からいつでも殺せた、と。そういう事ですか」
「だから今のをやったのは僕じゃないって」

96 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 22:00:42.76 ID:ZmQk20LQ0
「謙遜は止めて頂きたいですね」
……本当なんだけどなぁ。僕自身はただ治癒能力が人よりも少しだけ高いだけの一般人なのだけれど。
「マジですか!?」
「ここに来てようやくモノローグを読むんじゃねぇ!!」
「いえ、失礼しました。なるほど、そういう事ですか。少々お待ち下さい。今から過去ログを読んできます」
「流石に過去ログ読むとかはやり過ぎ過ぎるんじゃないの!?」
やり過ぎ常套やり過ぎ上等が西尾クオリティ。分かっていたけど、過去ここまでプライバシーという言葉に縁が無い主人公も珍しいと思う。
怪異にばっか縁が有っても……そんな縁は要らないんだよ。
「ふむ……ですが……でしたらオカしいですね……なぜ、吸血鬼を望まれたにも関わらず吸血鬼もどきが……」
「人を置いて思索に走らないでくれ!」
「そんな馬鹿な! 八九寺さんのポジションは鶴屋さんじゃなくて長門さんでしょう! 何を考えているんですか、作者は!!」
「メタ発言は慎め!!」
こうして僕は、どうやら一応の危機は免れたらしかった。 人として、大切な何かを引き換えにして、だが。
どうか貴方が優しい人であるならば、モノローグの覗き見、ダメ。絶対。

「アザートス」
街の外れに有った病院の廃墟に忍野メメは当然のように悠然と居た。
「はっはー、これまた厄介な……いや、厄介どころじゃないなぁ。今回ばっかりは阿良々木くん、少し元気が良過ぎたねぇ。何か良い事でも有ったのかい?」
「無ぇよ。元気も勇気も無い。愛と八九寺だけが友達だ」
「おやおや、酷いな、阿良々木くん。僕の知らない内に愛ちゃんなんて子と知り合いになっていたの? 僕にも紹介してくれないかな? 阿良々木くんの事だから、また可愛い子なんだろうねぇ」
「違ぇよ! 愛って人名じゃねぇよ! 大体、そこは『僕は友達じゃなかったのかい?』と来るべきだろうが!」
忍野メメは平然と、超然とそこに居た。

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:02:05.08 ID:pCpomfyrO
もうこいつの血吸っちゃえよw

98 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 22:06:04.80 ID:ZmQk20LQ0
「いや、僕は友情なんてものは一方通行(アクセラレータ)だと思っているからね。だから別に傷付いてはいないよ」
「格好良い事言ってるのに、そのルビのせいで台無しだ!!」
最近流行ってるアニメを片っ端からネタにしていくつもりか、作者は。
「しっかし、アザートス……アザートスねぇ。これまた厄介だなぁ」
忍野はまるで厄介でも何でも無いようないつも通りの軽薄な表情でそう言った。
「一人で納得してないでさ。僕にも教えてくれないか。その、アザ……アザゼル?」
「アザゼルは天使。アザートス、だよ阿良々木くん」
アザートス、ねぇ。どうもピンと来ないな。ソイツ、メジャーじゃないだろ。
「まぁ、こっちの世界ではポピュラーかな。阿良々木くん、クトゥルー神話、って知ってる?」
「クトゥルー神話? いや、聞いた事が無いな」
「ま、そうだろうね。多くの日本人には馴染みが無いだろうと思うよ。なんせ、元々はアメリカのホラー小説だからね」
忍野はそう言ってポケットから煙草を取り出して口に咥えた。いつも通り、咥えるだけ。火は点けない。
「ま、簡単に言っちゃうと『僕の考えたこの世界の成り立ち』みたいなモノなんだよ」
「また軽薄だな」
「うん、始まり自体はとても軽薄なんだ。ただ、それがちょいと面白かったものだから回りの人間がこぞってその二次創作を作りあげちゃった。結果、一大神話体系とも言うべきものが出来上がったんだ」
言われても余りピンと来ないんだが。二次創作、というのが余り上手く想像出来ない。
「だから、型月と同人作家みたいな関係かな?」
うわっ、一気に分かり易くなった!
「僕は流行なんて方向には職業柄てんで無知なんだけれどね。それでも頑張って今風に例えるなら東方の異常な盛り上がりに当て嵌めれば良いのかな?」
「どうしてお前はそう読者を敵に回す方向に話を持っていこうとするんだ、忍野!」
「どうして、って。僕は捻くれ者だからねぇ」
「三十過ぎて自覚が有るなら何とかしろ!!」
全く、どうにかして貰いたい。本気で。
羽川辺りに言えば人格矯正プログラムを……いや、無理か。アイツはどこか忍野を尊敬している節が有るからな。
「で? そのクトゥルー神話がどうしたって?」
「いや、どうもしないよ。たださ。その……ハルヒちゃんだっけ? 聞いてる限りじゃそっくりだなと思った。そんだけさ」
珍しく、忍野にしては歯切れが悪い言い方だった。

99 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 22:10:29.53 ID:ZmQk20LQ0
「アザートスってのはこの世界を造った神様なんだ。いや、言い方が悪いな。訂正して良い?」
「むしろ僕に許可を求める理由が知りたい」
「原作へのオマージュさ。『許可を』ってアレ。好きなんだよね、僕」
「……それで僕は『よし、やっちまえ』とかキャラじゃない台詞を言えば良いのか? そういう小ネタは要らないから説明を続行してくれ」
うん、マジで。脇道に逸れるのは導入部で散々やった後なんだよ。
「阿良々木くん。君は本当に侘び寂びの分からない子だねぇ。僕は寂しいを通り越して呆れてしまうよ?」
怒られた。怒られる要素なんてどこにあったというのだろう。僕にはまるで分からない。
八九寺Pかよ。
「クトゥルー神話ではね。この世界はそのアザートスって神様が見てる夢なのさ」
「夢?」
「そう、夢。ああ、と言っても夢って名前の女の子じゃないよ?」
「そんな取り違えを僕はしないよ!!」
そんな故意の勘違いをするのはお前だけだ。
「どうかな。僕だけじゃなくて、あのエロっこちゃんも間違えると思うけどね。しかもあの子は故意じゃなくて本気で」
「お前に神原の何が分かるってんだよ、忍野!!」
僕の可愛い後輩に更なるレッテルが、知らぬ内に押されていた。神原、そろそろキャラ変更しないと対象年齢の関係で出て来れなくなるぞ!!
「でさ。神様だとして、僕はどうすれば良いんだ?」
「どうすれば? いつも言っているだろ? 人間なんてのは神様の前じゃ下手に出て、丁寧にお願いをする事しか、出来ない」
忍野はそう言うと廃棄されたベッドに寝転んだ。
「ああ、学習机で作ったベッドも悪くなかったけど、やっぱり本物のベッドは寝心地が違うね。僕は繊細だからさ。あの頃は眠りがどうしても足りなかったんだよ」
「……話は終わり、ってか?」
「うん。僕に対処法はちょっと分からないね。ツンデレちゃん……ああ、今はデレデレちゃんか。彼女の時と違ってさ。アザートスってのは」
そこで忍野は一拍矯めた。
「やりにくい」


100 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 22:15:52.11 ID:ZmQk20LQ0
「やりにくい?」
「そ。打つ手が無いのさ。阿良々木くんにはちょっとイメージし難い話かも知れないけどね。神様にはグレードが有るんだ」
「グレード、ねぇ」
「思し蟹なんてのは、その下も下。ドラクエで例えるなら『いっかくうさぎ』みたいなモノだよ」
「そこはスライムで例えろよ!」
どうしてそうマイナーなモンスターで例えようとするんだ。分かり易く話をする気がないのか、コイツは?
「いや、阿良々木くんならきっと分かってくれると信じていたから。信頼のなせるギャグさ」
「褒められているはずなのに貶されてる気しかしない言葉をありがとうよ。で、アザートスってのはドラクエで例えると何になるんだ? 竜王? バラモス?」
「堀井雄二かなー」
「だから分かり難い例えを持ち出すなって言ってんだ!!」
ちなみに。分からない方に対して説明させて頂くと堀井雄二ってのはドラクエシリーズの製作総指揮をやってる人な。
「おー、博学だなぁ、阿良々木くんは。で、なんで堀井雄二かっていうとさ。結局、どれだけゲームをやっても倒せないんだよ。ある意味、アザートスってのは世界の外側に居ると思ってくれ」
「……なるほどな。満更、分かり難い比喩って訳でも無いのか」
「まぁ、僕は専門家だからねぇ。知ってるかい、阿良々木くん。専門家ってのは門外漢に対してきちんと説明が出来る人の事を言うのさ」
忍野にしては含蓄の有る言葉だった。僕は黙り込むしかない。
「以上、話は終わり。さ、分かったら下手に出て、お願いしてこようか、阿良々木くん。神様にさ」
そう言って僕に背を向け、手をひらひらとさせる専門家。
「そうは言ってもな……」
僕には懸念が有った。それは古泉とか言ったか、超能力少年が言った台詞だ。
「戻りたいのは山々だけど、下手に話をしたら世界が崩壊しちまうらしいんだよ」
「そりゃあね。言っただろう。この世界はアザートスが見ている夢なのさ。それが目を覚ませば、世界は終わる。簡潔で、分かり易い話だろ?」
「分かり易くても嬉しくない」
「だから、神様はこっちの事情なんて鑑みてくれないんだって。何を学んできたんだい、阿良々木くん。今更、僕にこんな事を言わせないでくれよ」
そうは言うけどさ……。

101 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 22:20:43.05 ID:ZmQk20LQ0
「寝た子を起こすな。よく聞く話だね。そうだなぁ。今回、阿良々木くんは被害者と言えない事も無いし、一つ僕からヒントをあげようか」
「そりゃ願ってもない」
「眠りから覚める夢っていうのが有るのさ。ああ、これは夢だ。そう気付くと人間は不思議な事に眠りから覚めてしまうんだよ」
「言われなくても分かってるよ、忍野。そうじゃなくて、もっと具体的なヒントをくれ」
「ふぅん。そうだねぇ……じゃ、大ヒントだ」
忍野は僕を振り返り、そして言った。
「代わりなんて、誰にもいないんだよ。君にも、僕にも。そして、この世界から消えた誰かさんにも、ね」

代わりなんて、誰にもいない。
いくら好きでも。いくら憧れても。
誰かの代わりになんて、誰もなれない。
誰かの代わりになんて、僕はならない。

廃病院から出ると、そこには少年が待っていた。
「悪いな、待たせた」
「その様子だと、いらっしゃったようですね。その……忍野さん、でしたか?」
「ああ。忍野メメ。人を馬鹿にしたような名前だが、本人も人を馬鹿にする事をライフワークにしていそうな性格をしてる。ただ、まぁ……頼りにはなる」
癪な話だが。
癪。それは忍野に対してではなく、何か有れば忍野に頼っている僕自身に対する……苛立ちだった。
「そうですか。為になる、話は聞けましたか?」
「かわり、だそうだ」
「カワリ、ですか?」
「ああ。取り代わり。挿げ換わり。入れ替わり。変わり者。なぁ、古泉。一つ聞きたい事が有るんだけどさ」
「はぁ、なんでしょうか?」
僕は古泉の目を見て、質問をする。
今起こっている事件の、そのキーとなるであろう質問を。
「北高から、消えた生徒が居るんじゃないか?」

102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:21:04.28 ID:8nPWNvMr0
邪神さまか!

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:21:46.02 ID:pCpomfyrO
ふんモッコス!

104 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 22:25:11.07 ID:ZmQk20LQ0
「は? ……え?」
「お前、言ったよな。宇宙人と未来人と超能力者、って」
「ええ、そうですね」
「そこに神様を入れても四人だ。それでSOS団とやらは全員だよな? 鶴屋は顧問で、団員には数えられてない、そうだな?」
少年が、何を聞かれているのか分からないと首を傾げる。良いから黙って僕の質問に答えてくれ。
「そうなります。ええ。四人ですが、それが何か」
「だとしたらさ……オカしいんだよな」
「何が、でしょう?」
「同好会申請は出したんだろ? 先刻生徒手帳を見たんだけどさ。申請を出すのに必要な人数は五人。でも、お前らは四人。だったらさ。やっぱり一人足りないんだよ」
一人、足りない。
この世界から、誰かが消えて、僕が呼ばれた。
そう、この事件は、取り替えられているのだ、登場人物が。巧妙に。
「神様の手によって、その一人が隠蔽されてるんだと僕は思う」
「……なるほど」
「お前は、覚えてないんだろ?」
「ええ。そんな人は、僕は知りませんね。しかし、確かにオカしい。辻褄が、合わない」
「だよな」
古泉は俯いた。僕はソイツには構わず、廃病院の前に停めてあったタクシーの後部座席へと乗り込む。
「待って下さい」
「待たない。僕は、僕の大切な人の元へ、帰るんだ」
「でしたら……僕にも、そのお手伝いをさせて下さい」
「良いのかよ?」
ええ、と。そう言って古泉は……笑わなかった。
「僕は吸血鬼だぜ?」
「ですが、貴方には大切に思う人が居るのでしょう。前言撤回を。ならば、貴方は人間だ」
大切に思う人が居るのなら、ソイツは人間だ。

105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:30:55.56 ID:ZmQk20LQ0
ファーストインプレッションこそ最悪だったが、この古泉という少年は、少なからず人間臭いようで。
こういう人間は、存外嫌いじゃない。
「もしも、この世界と貴方の世界で登場人物が取り替えられたのならば」
古泉はタクシーに乗り込みながら、呟いた。
「貴方が向こうの世界の人を大切に思うように、恐らく向こうの世界の人からも大切に思われているように。僕にとってのその人も大切な人なのではないでしょうか?」
入れ替わりであれば、とそう言って。少年はそこでようやく、微笑みでなく笑った。
「子供みたいな事を言ってますね、僕」
「いや、別に良いんじゃないか」
それはいつか、僕が教えて貰った事でも有るのだけれど。
「大人には、いつでもなれるから」

思い返そう。僕はいつでも誰かを……あまりこの言葉は自分から好き好んで使いたくはないのだけれど……「助けて」きた。
それは忍野に言わせれば、その人が一人で助かっただけだそうだし、僕もアイツの影響だろうかそう思うのだけれど。
助けない。
キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードにかつて僕は宣告した。
僕は、お前を、助けない。
その言葉は裏返せば。
僕は、僕を、助けない。
そうなるのだろう。
結果として僕は人間には完全に戻れなかったし、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードは死ねなかった。
死ななかった、ではない。
死ねなかった。
間接的自殺願望の吸血鬼を僕は、殺す――助ける事が出来なかった。
僕はこれまで誰一人、助けてはこれなかったし、例えば僕に助けられたと言う彼女達は皆、自力で助かっただけだ。
僕は、自分すら助けられなかった。
自分一人で助かることすら、出来なかった。

106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:32:26.53 ID:8nPWNvMr0
いっちゃんめ…

107 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 22:37:19.55 ID:ZmQk20LQ0
そんな僕が。
誰を助ければ良いのかも分からないこんな状況で、どう足掻けば良いのかなんて事は検討も付かない。
それは、溺れている人も見えない暗い海に向かって、救命浮輪を適当に放り投げるようなものだ。
そしてそれは、果たして「助ける」という言葉の意味に適っているのかすらも分からない。
けれど、誰も助けられなくても。
僕は、会いたいのだ。
彼女と、彼女と、彼女と、彼女と、彼女に。
どんな絶望的な状況でも。その先で糸が切れてしまっていたとしても。
それでも僕は自分から、折角繋がったこの縁を手放したくはないんだ。

     代物カワリモノ語ガタリ

                      はるひゴッド

108 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 22:40:28.60 ID:ZmQk20LQ0
「なぁ、古泉」
僕は黒塗りのタクシーの中で頬杖を突いている少年に話しかけた。
「なんでしょう?」
「お前らの言う神ってのは、どんなヤツなんだ?」
「そうですね……とても可愛らしい方です」
「可愛らしい、ねぇ。僕の耳には稀代の変人、って悪名が聞こえてきてるんだけどさ」
少年は笑った。愉快そうに。
「まぁ、間違ってはいません。少々エキセントリックである事は、僕も認めますよ」
「お前はマイルドに言い直したつもりかも知れんが、それでも人に対してエキセントリックって言葉は褒め言葉には成り得ない」
……そう言えば、僕の周りってエキセントリックな人間ばかりだな。
「そうですか? 僕から言わせて頂ければ、抜きん出ている、というのは非常に魅力的だと思うのですが」
「飛び出してる方向性にもよるだろ、そんなの」
神原みたいな方向に飛び出されても困る。ま、アイツは良いヤツで面白いヤツなんだけどさ。
でも、そんな僕の心情をメディ倫は鑑みてくれないからなー。
「エロ方向に抜きん出てて、いざソイツに会おうとしたら規制で会えませんでしたとか無しだぞ?」
やり過ぎ上等は結構だが、それでも出てはいけない枠ってのは有るんだ。
「エロ? いえ、そんな要素は有りませんね」
「法には触れないな!?」
「貴方の危惧は非常に愉快ですが、しかしそういった事は無いかと。僕が保障しますよ」
ライトノベルというのは、案外窮屈ですからと。そう言って古泉は軽々とルールを飛び越えたのだった。
だから、そういう発言は止めようぜ? なぁ?

109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:45:26.80 ID:8nPWNvMr0
ラノベでエロといえば川上御大ですな

110 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 22:46:11.18 ID:ZmQk20LQ0
「……長門、有希」
……。
…………。
………………え、自己紹介終わり?
タクシーの向かった先は少しばかり値が張りそうなマンションだった。
僕を先導する古泉は手馴れた様子で玄関のロックを外し、そして手馴れた様子でエレベーターに乗って、そしてそして手馴れた様子で七階のある部屋のドアを開けた。
その部屋の玄関に、その少女は居た。
黒目がちな大きな瞳も愛らしい、少女だった。
「……あーっと、僕は阿良々木暦って言う。ア、ラ、ラ、ギ。言い難いとは思うけど名前を噛むのは僕の友人の専売特許なので自重してくれると助かる」
「……そう」
……。
…………。
……やりづれぇ。沈黙と間が非常にやりづれぇ。なるほど。これが忍野の言ってたやりづらい神様、とやらか。
納得。僕は隣の古泉を見て頷く。ソイツは頷き返した。
「彼女は宇宙人です」
「そっちかよ!!」
ってか、なんだよ、宇宙人って!!
ファーストコンタクトだよ!!
キャトルミューティレーションだよ!!
八九寺とかキャトられちゃうよ、牛だけに!!
「ところで、キャトるとか凄く動詞っぽいよな」
「いえ、彼女はそういった分かり易い宇宙人ではないので。人は食べません。どちらかと言うと、人を食べるのは吸血鬼である貴方の領分かと」
「だから、僕は人間だよ! 日本人らしく主食は白米だよ!」
納豆超好きだし。
「そうですか。まぁ、貴方の偏食はどうでもいいのですが」
「米と納豆しか食わない訳じゃねぇっ!!」
……古泉。お前も毒舌系かよ。ああ、僕のこのSSでの扱いが分かってきた気がするなぁ。

111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:51:45.90 ID:b2Cc7oCm0
hoshu

112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:54:46.29 ID:pCpomfyrO
私怨

113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 22:54:55.75 ID:pCpomfyrO
そいや

114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:02:04.76 ID:4zvJFkfQ0
C

115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:06:52.61 ID:8nPWNvMr0
へいへいー

116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:12:14.46 ID:pCpomfyrO
吸血鬼的に考えると納豆やばくね?

117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:12:48.84 ID:8nPWNvMr0
アララギ「だから、僕は人間だよ!」

118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:13:25.71 ID:pCpomfyrO
半妖だから大丈夫だよ!みたいなアレか

119 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 23:13:48.73 ID:ZmQk20LQ0
「……吸血鬼?」
少女が僕を見つめる。僕は……けれど頷くのも少し抵抗が有るので曖昧な首の動きを披露してしまった。
「元って言うか、もどきって言うか。うん、まぁそんな感じ。傷の治りが少し早いだけの人間だと思ってくれた方が僕としては助かるな」
そう前置きして。僕は右の人差し指を口唇に引っ掛けた。口の中を。犬歯を晒す。
「後は少しだけ、人よりも犬歯が長い。……それくらいだよ」
忍については……ま、別に話さなくても良いだろ。アイツも、あまり人前には出たくないだろうし。
「以上、僕の自己紹介だな」
「……そう」
……。
…………。
だから、沈黙が一々やりづらいんだよ!!
「おい、古泉! お前も笑ってるだけじゃなくて何か喋れ!」
「そうですね。僕はパン派です」
「聞いてねぇよ!!」
「……わたしはカレー派」
「カレーは主食じゃない!!」
……僕は何をやっているのだろうか。段々不安になってきた。

「わたしはこの銀河を統括する……」
長くなるので省略。僕は一通り長門とやらの話(一方的に並べ立てたものを果たして会話と言うのか甚だ疑問だから「会」は付けない)が終わった後で、出されたお茶を飲みつつ一言感想を述べてみた。
「すまないけどさ……何を言ってるのかサッパリ分からない」
いや、断じて僕に理解力が不足してる訳じゃない! SFの素養が無いだけだ!
「でしょうねぇ。僕も理解には少し時間が掛かりました。分かり易く言い直しますと」
「宇宙人」
真偽は兎も角として電波を受信してる事だけは僕でも理解した。
「分かり易くて結構だ。で……えっと、その宇宙人さんとやらに聞きたいんだけども、さ」
少女は手に持っていた本を少し上げた。なんだろう、その行為は?
「……わたしの身体情報は秘匿事項に該当する」
「僕、いつそんな卑猥な目で貴女を見ましたか!?」

120 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 23:14:43.97 ID:ZmQk20LQ0
と言うか、失礼を承知で言うなら隠すほど有るようには見えなかったんだけどな。
……いや、そんなにじっくり見た訳じゃないよ?
「ああ、それでですか。長門さんの体に先ほどからモザイクが掛かっているのは」
「お前もなにしれっと視覚情報に介入されちゃってんの!?」
でもって、その状態でずっと笑ってられるってどうなの? 度量が大きいの? 馬鹿なの?
「……ん? アレ? でも僕には普通に見えてるんだけど……古泉、お前この子に何かやったのかよ?」
返ってきた言葉は、少女のモノだった。
「違う。わたしは貴方の視覚情報にも同様の操作を施そうと試みた」
……この子は男性不信か何かの心の病気に罹っているのだろうか。ちょっと不安になってきた。
「貴方にわたしは、介入出来なかった。……それだけ」
その返答に、僕よりも隣に居た少年の方がずっと驚いた顔をしていた。というか、驚くポイントが僕には理解出来ない。
「介入出来ない、とはどういう意味ですか?」
「情報統合思念体に、阿良々木暦は観測出来なかった。わたしも、原始的視覚を利用してしか彼を見る事は出来ない」
……なんだろう。宇宙レベルでシカトされているという意味だろうか。僕、宇宙人に総スカンを食らうような事したっけ?
うーん……該当ファイルは存在しません。
「いえ、そうではありませんよ。恐らく、ですが。貴方はズレているのではないでしょうか?」
「ズレてる? いや、地毛だけど?」
「面倒なので乗りません。僕らとは存在する、次元と言いますか……ステージという言葉が一番しっくり来るでしょうか。それが少し異なっているのではないでしょうか」
神様に他の世界から呼ばれた僕は。元々この世界には居なかった人間だから。
「ステージ……ねぇ。言いたい事は分からないでもないけど、だけどやっぱり実感無いな」
「いえ、そう考えないと理解が難しいのです。失礼ながら、あの廃病院で僕は貴方の後を尾けさせて頂きました……が」
そうなのか。僕には足音も何も聞こえなかったけれど。吸血鬼モードの時なら気付いたかも知れないな。
「忍野メメなる人物は、僕には見えも聞こえもしなかった」
……それは、まるで。
八九寺の一件での、僕と戦場ヶ原だ。
僕には見える。
もう一人には、見えない。

121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:17:34.22 ID:8nPWNvMr0
眼を盗まれたっ

122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:18:12.86 ID:pCpomfyrO
ほうほうそれでそれで

123 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 23:20:58.12 ID:ZmQk20LQ0
「ステージが、古泉一樹と忍野メメでは重なっていなかった」
「ええ。僕もそう思いますよ、長門さん。そして、僕達の立つステージと忍野さんの立つステージに重なるように」
……僕のステージが有る。
いや、用意された。
それは何と言うか……怪異に足を踏み入れたかつて一般人であった僕らしい舞台だと、思ってしまった。
間違って、思って、しまった。
「もしもわたしの力が及ぶのであれば、彼を送り返す事が可能であったかも知れない。彼の体に残された残存情報から彼が居た元の世界を割り出し、そこへ送る事も出来た……しかし」
「僕と長門じゃ、チャンネルが合わない、か」
「……そう」
何だ、それ。まるで規格外のリモコンをテレビに向けているみたいじゃないか。
まるで、電化製品みたいだ。この、長門という少女は。
代わりの利く、モノみたいだ。飽きたら捨てられる、電子仕掛けの人形みたいだ。
けれど。
「……多分、それじゃ意味が無いんだろうな。もしも、そんな事が出来たとしても、きっと僕にとってそれは最終手段だったはずだ」
僕にとって、彼女達が大切であるように。
きっと、僕にとってはモノみたいな宇宙人少女であっても、僕と入れ替わった誰かにとっては大切な少女であったのではないだろうかと。僕はそう思うのだ。
思いたい、のかも分からない。
人の形をして、人とそっくりな、少女でも。
きっと、僕と入れ替わった「彼」の事は、それでも大切に思っていたんじゃないかと、僕は願うから。
願いたいから。
人を大切に思っている間は、ソイツは人間だと、そう古泉は言った。
ああ、分かった。誰を助ければ良いか、僕には分からなかったけれど。
今、分かった。
僕が助けなければいけないのは、コイツだ。
人の形をしていれば、セルロイド製であっても、そこには心が宿るのだから。
宿ると、僕は信じたいのだから。
僕は、信じている。
月火ちゃんが、そうであったように。
生きていれば、そこに心は、人形にだって、宿るのだ。

124 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 23:25:00.01 ID:ZmQk20LQ0
「……忘れちまったんだろ、お前も」
僕は長門に向き直った。
「忘却というシステムがわたしには無い。ただ、記録に無いだけ」
「記録、じゃない」
自分の事を、人の形をしていながら、モノみたいに言って欲しくない。
月火ちゃんは、僕の妹は、怪異であったとしても、「物」の怪であったとしても、物じゃない。物なんて呼ばせない。
彼女は、立派に誇れる、僕の大切な妹だ。
泣き、笑い、そしてヒステリックに怒る、正義感に溢れた、本物よりも本物らしい偽者で、ちゃんとした心を持った、人間だ。
カワリ。
代わり。
代理人。
……そっか。分かったよ。
「なぁ、『それ』は記録じゃない。記憶って呼ぶんだ」
僕はなれるはずも無い代わり者になる。
「長門、だったな。僕はお前を――助けてやる」
人に人を助けるなんて出来ない事は分かってる。
誰にも誰かの代わりなんて出来ない事なんて分かり切ってる。
それでも。
そうなろうと努力する事だけは、咎められるべきではないんだ。
「お前を助けてくれる、お前が忘れてる、お前が大切に思う誰かを」
だから、人間もどきは、吸血鬼まがいは、神そのものに挑む。
「僕がお前の元に帰してやる」
心を知らないお人形。彼女は言う。
「……そんな人は、いない」
「忘れさせられているだけだ」
僕は断言する、柄にも無く。そんなもの、別に無くったって良い。元々、キャラ付けになんて興味は無いから。
僕は僕でありさえすれば、それで良い。

125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:28:23.12 ID:4zvJFkfQ0
C

126 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 23:30:33.80 ID:ZmQk20LQ0
「記録に、無い」
「だから、消去されたんだろ。だったら取り返すだけだ。でもって記録じゃない。記憶だ。三度は言わせんな」
「消去されている痕跡が無い」
「神様が隠匿したんなら、宇宙人じゃ届かないんだろ」
少女は本を膝に置き、そしてゆっくりと口から二文字を出した。

     代物カワリモノ語ガタリ

                      はるひゴッド
「なぜ?」
「何が?」
「なぜ、貴方はそう思うの?」
「ああ、それは」
僕は思うんだ。少女が人形なら、どうしてずっとその手から本を手放さなかったのだろう、と。
少女が人形なら、どうして、その本には……。
「栞(シオリ)」
「栞?」
もしも少女が機械人形であるなら、ページ数を覚えているのなんて簡単だろうと推測するのだけど。
だったら、彼女が不思議そうに摘み上げたそれには、きっと何かが詰まっているんじゃないかと、そう思うんだ。
「僕は図書館の貸し出しカードを栞に使うヤツなんて初めて見た」
消されても消えない、大切な何かがきっとそこには有るんだと、そう願うから。

127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:32:48.52 ID:8nPWNvMr0
しおりktkl

128 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 23:35:54.58 ID:ZmQk20LQ0
帰り道。古泉が僕に聞いてきた。
「なぜ……ですか。よろしければ、僕の『なぜ』も聞いて貰えますかね」
「へぇ。ま、家に着くまでなら何を喋ってくれても良いけどさ。暇潰しって嫌いじゃないし」
他人に関わるのは、昔ほど嫌いじゃない僕だった。まぁ、そうは言っても流石に面識の無い相手に自分から話しかける事は出来ないけれど。
「なぜ、貴方だったのか」
なぜ、僕だったのか。
……そんなの、僕の方がが聞きたい。
「考えていたのですよ、ずっと。なぜ、吸血鬼そのものではなく、貴方――こう言っては失礼かも知れませんが吸血鬼もどきが呼ばれたのか」
それは多分、ドラマツルギーじゃ画的にマズかったんじゃないだろうかと考える訳だが。
うん。筋骨隆々の大男は、悪いけれど高校生には刺激が強いだろう。
「ですが、先程。ようやくその謎が解けました」
言って、ニヤリと笑う超能力少年。
「きっと貴方でなければ、いけなかったんでしょう」
「どうしてそう思うんだよ」
「なんとなく、ですよ。そう。なんとなく。分かってしまうのですから、仕方がありませんと。そういった所でしょうか」
超能力者は、超能力者らしく曖昧に、超感覚とやらを披露した。……僕、コイツに小馬鹿にされてないか?
「滅相も無い。言い換えましょうか。僕は、呼び出されたのが貴方で良かった、と。そう思っているのです」
「悪いが僕に男色の趣味は無いぞ」
「僕にだってありません」
そう言って月明かりの下、歩きながら笑う僕達。まるで旧知の仲のように、笑う僕達。
まるで、誰かの代わりみたいだな、と。ふとそう思った。
きっと古泉の親友の、僕は今、代わりなんじゃないかなと。古泉の言を借りれば「なんとなく」そう思った。
「ただの吸血鬼ではいけなかったのです。僕は忘れてしまっていますが、僕の大切な誰かの代わりを務められるのは、貴方でしか有り得なかったのではないでしょうか?」
「なぁ、古泉」
「はい」
「実は僕さ。女の子の友達は結構居るんだけど、同性となると極端に少なくてさ。忍野くらいなんだけど、アイツとも何て言うか『友達』ってのとはちょっと違うんだよな」
「そうですか」
「でさ」
僕は懐からケータイを取り出した。アドレス帳がスカスカな、それでも僕の大切な過去が詰まったソレを。
「……アドレス交換、しないか?」

129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:41:15.21 ID:pCpomfyrO
アッー!

130 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 23:42:15.42 ID:ZmQk20LQ0
まるで告白みたいだな、とそう思った。けれど、古泉は微笑んだだけで。飛んでくるだろうなと覚悟していた皮肉は――無かった。
「喜んで」
その日、僕は初めて同性の友達を手に入れた。

放課後。唐突に唐突で申し訳ないが僕は拉致られていた。ああ、こんな展開前にも有ったな。
少女の細腕の、どこからこんな力が湧いてくるのだろうと、そう思わざる得ない豪腕だった。
念の為に見てみたが腕に包帯は巻いてない。
って事は素でこの腕力かよ。どんなハイスペックだ、などと。僕が心の中で呟いている間にも少女はズンズンと歩き続け、僕はズルズルと引き摺られていた。
……袖が伸びるかも知れないけど、でもこの制服は長く着るつもりも無いから、それを理由に難癖を付けるのもなぁ。
校舎を抜けて渡り廊下を越え旧校舎(通称部室棟)を進み……どこに連れて行かれるのだろうか。気分は子牛だ。ドナドナ。
「見て見て皆! 今日ブラブラ歩いてたら見つけたの!」
バタンと勢い良くドアを開き少女が喜色満面に叫ぶ。
どうやら近所迷惑とか考えない子らしい。チラリと見た扉には「SOS団」と書かれていた。納得。
エキセントリックってのは僕の知る限り『礼を失する』って意味じゃ無かったはずなのだが。
人を何の躊躇も無く物呼ばわりするし。ちょっとこの子の親の顔が見てみたい。
部屋の中に居た古泉が失笑している。笑うな。同じく部屋の窓際に鎮座している長門を見習え。眉一つ動かしてないだろ。
「キ○ロー!!」
「僕はキタ○ーじゃないし目玉だけの生き物なんか飼ってない!!」
近所迷惑も考えず叫んでいた僕だった。
「三年生! アマガミって言ったかしら! みくるちゃんのクラスメイトよ!」
「僕の名前をソフ倫の限界に挑んだ美少女ゲームのタイトルみたいに言うな! 僕の名前は阿良々木だ!!」
「ごめんねっ、噛んじゃった!」
「違う、わざとだ!」
「噛むざった」
「わざとじゃない!?」
「バケラッタ」
「藤子不二夫は好きじゃない! 僕は断然、手塚治虫派だ!」
まぁ、この辺りはお約束。

131 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 23:46:12.59 ID:ZmQk20LQ0
火の鳥全巻持ってるし。
「……で、僕はどうしてHRが終わったと思った次の瞬間に首根っこを引っ掴まれて連行されたんだ? 罪状は?」
「○タローに似てたから」
「そんな下らない理由を何の悪びれも無くむしろ胸を張って告げる女を僕は初めて見たよ!!」
「ま、アタシをその辺に居るパンピーと一緒にしない事ね。何せ、神に選ばれた栄光有るSOS団の団長であるところの!」
少女はそこで制服のポケットから腕章を取り出し、装着すると、矢張り近所迷惑など顧みずに叫んだのだった。
「耳の穴かっぽじってよく聞きなさい! アタシの名前は! 涼宮ハルヒ!!」
諸悪の根源が、そこに百Wの笑みで仁王立ちしていた。
「これからアンタの飼い主になる女の名前よ!!」
「お前にとって団員ってのはそんな位置付けなのかよ!!」
僕が言うと、彼女はニンマリと笑ったのだった。……なんだ、その妙に良い笑顔は。
「理解が早くて助かるわ。そう。アンタにはSOS団の新規団員になって貰います」
ちょ? え? 展開早くない?
「ま、そんな訳だから速やかに入部届に名前書いて。ああ、拒否は認めないわよ。帰宅部なんて青春の無駄遣いに我が部の活動は比べるまでもないもの!」
いや……まぁ、元よりそのつもりではあったんだけどさ。
こっちから神様少女にコンタクトする手間が省けたと前向きに思わないでもないのだが。
にしたって、なぜか反抗したくなるのは僕が捻くれ者だからだろうか。いや、違う。羽川による人格矯正プログラムをこなし切った僕は極めて真人間であるはずだ。
「……いや……まぁ、別に暇だし入部するのは良いんだけどさ。それにしたってもうちょっとこう……やり方が有るだろ?」
これじゃまるっきり拉致みたいじゃ……いや、拉致そのものだろ。
「大体、連れて来られた理由が気に入らない。キタロ○みたいってそんな理由、僕じゃなくても良い顔はしないぞ」
「だったら……そうね。超絶格好良い先輩が居たから居ても立ってもいられなかったのよ!」
「え? そっか。そこまで言われたらしょうがないな。入部しま……違ぇ!! 騙されない! 僕は騙されないぞ!! 常日頃女の子から格好良いとか言われる事の無い純情な少年ハートを弄びやがって!」
魔性の女気取るには十年早いだろう。

132 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 23:52:47.40 ID:ZmQk20LQ0
「ちっ。面倒臭い男ね」
舌打ちして面倒臭いって言った、今!?
「まぁ、良いわ。だったら我が部の素晴らしさをアピールするまでよ!」
いや、最初からそうしろって。力技は最終手段だろ、普通。
「その一! アタシと言う部下思いの素晴らしい団長が在籍してる事!」
……。
……。
……部下思いの上司は自分の事を「飼い主」とか言わないよな?
「あーっと。次、行ってくれるか?」
「その二! アタシと言う超美少女を毎日拝んで幸せな気持ちになれるわ!」
「その一に輪を掛けて説得力が無ぇんだよ!」
せめて性格を直してから、出直して来い。
……理解した。コイツにプレゼンの能力は無い。
皆無だ。
マズいな。この流れでは僕はここに入部する事が出来ない。
神様にお近付きになりたいのは山々なのだけど、しかし僕の中の正義感がそれを許さないっぽい。
神様。
涼宮ハルヒ。
聞いていた以上にエキセントリックな少女だ。そう、例えて言うなら遠くで見ておく分には面白いのだけれど、近くに来たら速攻逃げる的な。
なんだろ。竜巻、って感じ。僕、竜巻の実物見た事無いけど。
「遅れましたぁ〜」
後ろから声がして振り向くと、そこには胸が有った。目が離せない。大きな二つの膨らみが有った。
「……この戦闘力、羽川レベルか!?」
ふよんふよん。
ふにんふにん。
たわわに揺れる双球は僕の心を鷲掴んで離さない。

133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/30(日) 23:56:01.75 ID:8nPWNvMr0
ハルヒ&みっくるんるんktkl

134 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/30(日) 23:58:07.01 ID:ZmQk20LQ0
僕が固まっていると少女は僕に笑い掛けてきた。
「あ、荒巻君。どうしてここに居るの?」
……僕の名前をサイボーグで構成された九課の課長みたいに言うなと。そう言おうとして、しか喉から出てきたのはグビリと言う浅ましい音だけだった。
なるほど、鶴屋は正しい。
これは、凶器だ。

「それでは、これより第一回。SOS団新団員獲得プレゼンテーションを始めます!」

結局、僕は押し切られる形でその部活動への加入を決めた。そして、そこに至るまでの色々で、本日の団活動とやらは終了の時間になったらしい。
「覚えてないのか、朝比奈も?」
「ええっと……はい。すみません」
帰り道。一緒の方向だという事で僕の隣には朝比奈が歩いていた。
僕もこの頃には彼女のご立派な持ち物への耐性が付いて来たのか、特に転ぶ事も無く、前を向いて歩く事が出来ていた。
「その、阿良々木くんとほとんど初対面だっていうのも、ちょっと信じられないかな、って」
「その点は僕も同意だよ。でもさ、これまで僕と朝比奈って接点が無かったじゃんか」
「そうですね。私、ちょっと引っ込み思案で」
ちょっとじゃないな。千石レベルで小動物オーラ放ってるぞ、お前。
「今まであんまり会話とかした事無かったから、その、ちょ、ちょっと緊張してますっ」
「いや、別に取って食べたりとかしないから。僕、彼女居るし。その辺は信用してくれて良いよ」
僕は、戦場ヶ原一筋だ。
というか、浮気したら僕と浮気相手死んじゃうもん。それはもう百%。
嫉妬は愛情の裏返し。
あの女は、情の深い、深過ぎる女なんだ。だから、好きになったのだけれど。知りながら、好きになってしまったのだが。
彼女との事にのみ言えば、後悔なんて微塵もしていない。
「だからさ。あんまり構えないでくれると助かる。僕も早くアイツ……いや、アイツらかな。アイツらの所に帰らなきゃいけないしさ」
隣を歩く、少女がクスクスと笑った。僕、特に今面白いこと言ってないよ?

135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 00:02:24.68 ID:4oct8T67P
追いついた!

136 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 00:02:53.05 ID:Vzop9GjX0
「阿良々木くんって、楽しい人だね。鶴屋さんが言ってた通りだなぁ」
「ん? 鶴屋が僕の話をしたのか?」
人に話したくなるほど特徴的な人間じゃないはずなんだけど、僕。
「うん。打てば響くっていう言葉をそのまま人間にしてみたい、って言ってた」
それは褒め言葉か貶し言葉か……うーん、すごく微妙なライン。
「えっと……阿良々木くんって、その……きゅ、きゅ……」
「きゅう? いや、お灸とかに詳しくはないけど」
「違います。あの……きゅ、きゅうけつき!」
「声が大きい!」
そんな中学生みたいな単語を往来で咽喉から搾り出さないでくれ、朝比奈。思わず周りを窺っちゃったじゃないか。
「す……すいませぇん……」
「そんな目に見えて落ち込んでるのが分かるほどテンション落とさなくて良いって……。頼むから普通に接してくれよ」
まぁ。
目前に居るのが吸血鬼だと知って。
鬼だと知っていて。
それでも普通に振舞えと、求める僕の方が間違っているのかも知れないが、この際それは言わないでおく。
だって、僕は人間だから。
だって僕は、人間だから。
「まぁ、確かに僕は吸血鬼もどきだけどさ。それを言ったらお前も未来人なんだろ? 古泉から聞いたぜ? なんか格好良いな、時を駆ける少女。タイムパラドックス。うん、素直に凄いと思うよ」
「えっと……その事なんですけど……」
朝比奈はどこか言い難そうにしていた。
「その事が、どうかしたのか?」
「えっと、連続している時間平面に、矛盾が発生しているみたいなんです」
……繰り返して言うが僕にSFの素養は無い。どっかの団長さんにプレゼン能力が欠如しているレベルで皆無だと言っておく。
「その、連続している事はしているんですけど、所々抜けているっていうか、まるで二つの時間がせめぎ合ってるみたいっていうか……」
「ごめん、朝比奈。僕はそういう方面にほとほと不得手なのだから、出来れば分かり易く言ってくれると助かるんだよな」
僕、基本的に頭良くないしな。あ、なんか言ってて自分で切なくなってきた。

137 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 00:09:05.41 ID:Vzop9GjX0
ガハラさんに会いたい。
羽川に会いたい。
「ご、ごめんなさい。私、説明とか凄く下手で……」
だから、そう一々凹まれたら僕としても申し訳ない気持ちになるんだって。
千石に似てると思ったけれど、前言撤回。どうもこの少女との接し方が僕には分からない。
今までに接した事のないタイプ。
持て余す形?
「その……僕にはよく分からないんだけどさ。でも、時間何とかの矛盾っていうのは、仕方ないんじゃないのか?」
なぜならば、僕が居る。
なぜならば、誰かが居ない。
もう一つの世界……僕の本来居るべき世界との間で人が取り替えられた。
ソイツが居たと言う時間ごと、まるごと取り替えられた。
「僕には朝比奈とクラスメイトだったっていう記憶がうっすらと有るんだよ。不思議な事にさ。多分、朝比奈も同じだろ?」
「は、はい! 私も、阿良々木くんがクラスメイトだっていうのは分かるんです」
「うん。でも、いざ朝比奈と何か有ったかなーって具体的に思い出そうとするとさ」
出て来ない。
何も。何一つ、出て来ない。
僕は余り周りと関わらないから、それも仕方が無い。なんて事で納得出来るような空白では、それは無い。
授業中、教師に解答を求められている朝比奈の姿すら覚えていないなんていうのは。
そんな僕であっても異常だ。
異常事態だ。
「気付かないとそこに違和感なんて無いんだけどさ。いや、気付いてないから当然なんだけど。でも気付いたらやっぱりそこには違和感が有るんだよ」
制服が違っている事に気付けなかったのは、気付かせて貰えなかったから。
「朝比奈は未来人なんだろ。だったらさ。その辺について、なんか分かるか?」
僕の問い掛けに、彼女は首を振って小さくごめんなさいと、そう言った。
「そっか」


138 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 00:17:47.38 ID:Vzop9GjX0
「力になれなくて……ごめんなさい」
「いや、謝らなくて良いよ。記憶を消されてるんなら、それは朝比奈にはどうしようもないだろうし」
「うん……でも……」
「僕としてはさ」
わざと明るい声を作る。
「美少女とこうして帰宅出来る、ってだけでも僕にとっては結構嬉しい事なんだよ。彼女は居るけど、それとこれとは話が別、みたいな」
「び、びしょ?」
目を丸くして、メダパニでも食らったみたいにアタフタする彼女が面白くて、僕はつい悪乗りを続けてしまう。
「美少女。うん、だからさ。あんまり悲しい顔はさせたくないんだよ。僕は花は摘まずに愛でるタイプなんだ」
摘んだらそこで、僕の人生が詰むし。
実は今も結構綱渡りしてるのだけれど。
彼女の顔を覗き込んで、そこで隠し切れずに笑ってしまった。
そんな僕を見て、少女は頬を膨らませる。
愛らしく、膨らませる。
「もうっ。からかわないで下さい!」
「からかってないって。からかってない。だから、そんな朝比奈の隣に本来居るべきヤツを」
代わりではない、オリジナルを。
彼女が、大切に思っていたはずの誰かを。
「早く取り返さなきゃ、って思うのさ」
本当に。真実、心底から。
僕はそう思うのだ。

     代物カワリモノ語ガタリ

                      はるひゴッド

139 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 00:21:03.96 ID:Vzop9GjX0
土曜日は不思議探索、だそうで。僕は妹達に起こされてグラグラと揺れる頭を引き摺って駅前の公園へと向かったのだった。
少しだけ、僕の凶暴な愛馬がこっちでは復活している事を期待したが、残念ながら赤い隊長機は影も形も居なかった。
……それくらいサービスしてくれても良いじゃん。
ってな訳で今日も今日とて僕は通学用のママチャリだ。朝の風は少しづつ僕の脳に酸素を送り込んで覚醒を促してくれる。
「火憐ちゃんと月火ちゃんはちゃんとこっちでも反映されてるのが、こうなってくるとちょっと不思議だな」
少し不思議。
SF。
まぁ、見知らぬ人間が家族だったりしたら僕はきっと一日でギブアップしてしまっていただろうけれど。
人間は適応能力に優れた生き物だって話だけどさ。いや、無理だって。
僕、火憐ちゃんも月火ちゃんも嫌いだけど誇りに思ってるもん。
「なんてな。ツンデレはガハラさんの領分だ」
僕が率先して侵してはいけないだろう。大体、ツンデレな僕なんてガハラさんはゴミを見る目で見そうだし。
今の彼女は……そんな事は無いだろうけれど。
今の彼女は……僕が僕であるだけで、無条件で愛してくれるのだろうけれど。
朝っぱらからニヤニヤ笑いで頬を緩ませながら自転車に乗っている男子高校生の姿が、そこにはあった。
……デレデレだった。その後、会えない事を思い出して少し涙ぐんだ。

「遅い! 罰金!」
「罰金制度なんて聞いてない!!」
朝も早くから喧々囂々(ケンケンゴウゴウ)。僕と涼宮は火と油みたいに相性が悪い。
「大体、まだ集合時間の七分前じゃないか! 五分前行動という言葉を僕は断固支持させて貰う!!」
「甘いわね! この競争社会をそんな事で生き抜けると思っているの!? いつだって人よりも一歩先を行く。SOS団は未来の日本で活躍出来る人材を育成してるのよ!」
上手い事言うなぁ、この女。っと、何、感心してるんだ、僕。
ガハラさんとのデート資金をこんな馬鹿らしい理屈で失っていいのか!?
いいや、良くない。
「僕は日本を背負うつもりなんて無いし、一人の女を背負っていくだけで満足出来る人間だ! だから、その要求は断固として飲む事は出来ない!」
羽川翼の名に賭けて。僕はNOと言える日本人になるぞ。

140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 00:22:45.09 ID:2+x90fLo0
C

141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 00:22:51.81 ID:yRfYh0k60
しかしまあ程ほどに上手いなあ
西尾調が……じつに、いいね

142 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 00:25:34.05 ID:Vzop9GjX0
「まぁまぁ、涼宮さん。阿良々木先輩はこの団に入って日が浅いのですから、あまり団のルールを強制すべきではないかと。今日の所は僕が奢りますよ」
そう言ってニッコリと笑う優男。チクショウ、コイツ非の付け所の無いイケメンだな。
「阿良々木先輩の新人歓迎も、兼ねてみてはいかがでしょう?」
「むぅ……古泉くんがそれで良いなら、アタシとしては別に良いけど」
しょうがないわねとでも言いたげな涼宮。……コイツ、自分の茶代を払いたくないだけなんじゃないのかと、そう思ってしまったのは僕だけじゃないはずだ。
「では、そういう事で。さて、では喫茶店に入りましょうか」

僕らは古泉の奢りでたらふくスイーツを味わい(僕は甘党だ。男が甘党で何が悪い)そして一息吐こうという所で、涼宮が割り箸の束を僕に向かって差し出した。
……いや、箸を取ってくれたのは嬉しいけど、僕、今から箸を使うようなメニューを注文するつもり無いし。
「違う! くじ引き!」
「くじ引き?」
「そ。午前中の不思議探索で誰と誰が組になるかを決めるの! 五人も居るんだし、二組に分かれた方が効率が良いでしょ?」
そう、涼宮は楽しそうに。とても楽しそうに言って。









次の瞬間、懐かしい声と、知らない男の声が、聞こえた。

143 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 00:30:03.50 ID:Vzop9GjX0
世界を超えて。
やってくるのは。
確かに僕には荷が重いけれど。

「いいえ、六人でしょう。いえ、暦と私が同じ組になるのは貴方達風に言えば『規定事項』なのだから、やっぱりくじは五本で良いのかしら?」

「……やれやれ。違うな。くじは七本だろ。というか俺を除け者にするなんて、ハルヒ。お前、ちょいと薄情なんじゃないか?」

けれど。
いや、やっぱり。
僕は噛ませ犬なのだ。

「暦が困っていたら、いつだって駆け付けるのは、私にしてみれば息をしているように当然の事なのよ」

細い指が涼宮の握った箸の束から二本を抜き取る。そして、その一方を僕に渡した。
その先には、両方とも。
ペアを意味する赤い印が。
平然と。
燦然と付いていた。

144 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 00:31:28.99 ID:Vzop9GjX0
恋をする女にとって。
次元の、時空の、世界の。
一つや二つ違おうと。
そんなものは、きっと障害にすらならないんだ。

偶然、なんて言葉では片付けられない。
阿良々木暦と戦場ヶ原ひたぎの「縁」は必然なんだと、その時僕はようやく知った。

神様にとって縁は、結ぶもの。
運命にとって縁は、合うもの。
そして、僕達にとって縁とは、手繰り寄せるものだ。

振り返る。僕は大好きな彼女をその瞼に焼き付けるよりも先に、意識を失った。
後で古泉に聞いた所によると、その時、そこに矛盾が生じたのだそうだ。
大きな。とても大きな、世界の矛盾が。
僕は、暗い闇の中で、声を聞いた気がした。




「ヒーロー見参」
「ヒロイン推参」




それは、とても鮮やかな。冗談でも比喩でもない、救いの神の声だった。

145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 00:32:40.54 ID:njQt066A0
hoshu

146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 00:33:52.81 ID:2+x90fLo0
Cおやすみー

147 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 00:35:31.78 ID:Vzop9GjX0
     代物カワリモノ語ガタリ

                      はるひゴッド

148 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 00:37:24.48 ID:Vzop9GjX0
「つまりね、阿良々木くん。世界は違ってなんかいなかったの」
数日後。僕は羽川と勉強をしながら、僕が動いていた、その裏側で何が起こっていたのかを聞いていた。
「県立北高校って言われてもたくさん有るから分からなかったけど、でも光陽園って言われたら該当は一つしか無かったの」
……聞いた事有るってか……それ、近所じゃん。
そう言えば鶴屋も「栂の木二中のファイヤーシスターズ」って言ってたっけか。
栂の木二中。
そんなどこにでも無いような学校名。
それはつまり。
地続きの、証明。
一番のヒントは初っ端の会話に出されていた、ってよくあるオチだな。
そして、それに気付かないのもよくある事だけれど。
しかし、納得いかないのも確かで。
「……僕と、えっと『彼』が入れ替わっていただけ、だってのか?」
「うん。そうなるね。キョンくんって言うんだけど。可愛いニックネームだと思わない?」
「いや、どうかな……」
キョン。哺乳綱偶蹄目シカ科ホエジカ属に分類される……シカ。
「僕だったらちょっと傷付く渾名ではあるかも知れない……」
「そう? でね、話を戻すけど。って言うか後は簡単だよね」
「ああ。後は僕らが出没しそうな場所に網を張って待ち構えていれば良いだけ、だろ?」
「そういう事」
「でもさ、ちょっと待ってくれよ。それだと話が噛み合わないぜ?」
そうだ。噛み合わない、どころではない。
忍野が古泉に見えなかった矛盾。
長門が、僕に情報何とかを出来なかった矛盾。
「僕はそこで漠然とではあるけど、立ち位置……ってーか、『世界が違う』って認識したんだけど」

149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 00:39:02.38 ID:yRfYh0k60
おお、キョンきた!

150 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 00:42:15.88 ID:Vzop9GjX0
「だから、世界なんて違ってなかったのよ。地続きだったの。古泉くんの一件は、忍野さんなら出来ない事じゃないと思うし。って言うか、忍野さんって会いたくない人からは徹底して自分を隠匿するような気がしない?」
……うん。
……いや、確かに羽川の言う通りなんだけどさ。
……アイツなら、やりそうなんだけどさ。
事実として昔、学習塾は結界がなんとかって言ってたし。
あの応用で出来ない事では無い気はするけどさ。
「長門の件は?」
「だって、阿良々木くんは吸血鬼でしょう? それも半端な。よく分からないけど、それって人でも怪異でもない、とも言えるんじゃないかな?」
……僕の体質が理由、だってのか?
「ううん。正確な所は私にもよく分からないんだけどね。でも、怪異って言ってみれば幽霊みたいなものでしょう? 流石に宇宙人でも幽霊は専門外かな、って」
そう言えば。
僕は戦場ヶ原に憑り憑いた蟹を見る事が出来なかったように。
戦場ヶ原は八九寺を見る事が出来なかったように。
あの延長上、だと。そういう事か?
「勿論、じゃないかな、って私の推測なんだけど。正確な所は忍野さんに聞いてみた方が良いと思うよ」
「忍野か……」
忍野メメ。
怪異の専門家。
今回の事件に関して、恐らくは唯一全てを知っているだろう男。
「そうだよ! 忍野だよ! アイツは黙っている事は有っても、嘘は吐かない!」
そんな男が、僕に言った。
「ふぅん。なんて?」
「代わりなんて、誰にもいない。君にも、僕にも。そして、この世界から消えた誰かさんにも」
一字一句違わずにコピー&ペーストとまではいかなかったが、確かこんな事を言っていた。
告げた僕に対して、羽川はふうと一つ溜息を吐くと、こんな事を言ったのだった。

「阿良々木くんにとって『この世界』ってどこからどこまでを指すの?」

151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 00:43:28.96 ID:xQq3dfzD0
ガハラさんが頼もしすぎる件

152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 00:52:10.01 ID:xQq3dfzD0
sien

153 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 01:00:24.15 ID:Vzop9GjX0
全く。羽川は何でも知っている。
「何でもは知らないわよ。知ってることだけ」
本家本元は、その切れ味が違った。

図書館が閉館になり、僕と羽川は揃って外に出る。
「阿良々木くんはこの後、予定有るの?」
「ああ、ちょっと」
僕は自転車に跨った。
「神様に苦情を言いに行こうかと思ってさ」
「なるほど。でも、無茶はしないでよね。相手は神様、なんだから」
「分かってる。丁寧に、下手に出て、二度とこんな事が無いように、説教してくるつもり」
そっか、と。羽川は言って僕に背を向けた。
「じゃあ、バイバイ」
後ろ手で、手を振る彼女。
「ああ、また明日な」
そして僕は自転車を走らせ……Uターン。羽川の隣に自転車を付ける。
「どうしたの? 忘れ物? 私、阿良々木くんの参考書でも持っていったかな?」
「いや、そういう物の忘れ物じゃなくてさ。言っておかなきゃいけない事を言っておくのを忘れて」
「ん? 明日、学校で、じゃいけなかったの?」
「ああ。多分、それだと僕の胸につっかえて今晩眠れなくなりそうだから」
僕は、息を吸い込んで、吐き出した。
「今回の件でさ。思ったんだよ。羽川。お前は、僕にとって代わりのない女だ」
「……それだけ?」
「ああ、それだけ」

僕は自転車を走らせる。疾走する。夜の中を、疾走する。
ソイツは、連絡したメールの通りに、一度だけ行ったあの公園の、街灯の下のベンチに座っていた。
「よう」
「遅い」
神様が、僕を睨んだ。

154 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 01:02:37.86 ID:Vzop9GjX0
「九分前。遅くない」
「男だったら、女に待たせるなんて真似させないようにしなさい」
「心に刻んどくよ」
僕は自転車から降りる事無く、ソイツの前を陣取った。
「なぁ、涼宮」
「何よ」
「お前、僕とどんな縁が有って知り合ったか、覚えてるか?」
「え? ああ、そんなの簡単……いや、覚えてないかも」
僕は堪え切れずに噴出した。ここでその台詞が来るとは思わなかったからな。
鶴屋の先見性は、なるほど八九寺の代役だ。
「あははははっ! あはははははははっっ!!」
「ちょっ、何笑ってんのよ! 笑うな! 笑うなって言ってんでしょ!!」
「無理無理! こんな所でそんな伏線消化されるとは思わなかった!!」
僕は、笑った。
笑って、笑った。
笑って、笑って、笑った。
そして、高らかに狂う頭の隅で、コイツは敵じゃないと、そう理解した。
今更。
遅過ぎるほどに今更。
僕はそんな当然の事を理解した。
怪異とは、そこにそう有るだけ。神様だって、例外じゃない。
「お前さ。愛されてるんだよ」
僕はぼんやりと今回の理由に思い当たっていた。
「誰かにとって、代わりがいないと。そう思われてるくらいには、愛されてるんだよ。お前は知らないかも知れないけど、僕は知ってる」
僕を一生懸命探してくれた、戦場ヶ原のように。
あの時、戦場ヶ原の隣に居た彼は。
きっと……いや、絶対。目の前の少女を一生懸命、探してくれていたのだろう。
「臭い台詞」
「かもな。自分でも綺麗事だって分かってるけどさ。でも、知ってるか? 綺麗事ってのはやっぱり綺麗なんだよ」


155 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 01:04:07.04 ID:Vzop9GjX0
「アンタって、変わってる。呼び出して、よく分からない話をし出して」
「変わり者、だからな。でも、僕から見たら涼宮だって相当に変わり者だぜ?」
変わり者。
けれど。
「だけど、僕もお前も。代われる人間なんて、居やしないんだ。僕とお前だけじゃない。皆だ。皆、唯一なんだ」
神様になんて、願わなくても。
産まれてきた時、僕らは一人だった。
唯一、だった。
今だって、ただひとつなんだ。
「……そんな事、分かってるわよ」
自覚がある事も知ってる。
涼宮ハルヒは、ただ、それを確かめようとしただけ。
そう、それだけなんだろう。
そして、それは彼女だけじゃない。
僕も、彼も、彼女も、彼も、彼女も――。
みんなみんな、互いが互いにとって大切な存在である事を確認したいと思った。
――そして、怪異はそれに応えた。それだけ。
それだけの、話。
会えなくなって、初めて気付くとは金言だ。
少なくとも僕は、会えなくなって初めて、僕にとって彼女達がどれだけ大事なのかを気付かされた。
そう考えれば。神様は、敵じゃない。
そこに有ったのは、分かり難い形ではあっても、それでも「恩恵」だったのだろう。
「ありがとな」
僕は自然と、礼を言っていた。
それは丁寧じゃないし、下手に出てもいない。自転車にのったままの上から目線だったけれど。
それでも、僕は心から神様に礼を言っていたのだった。
「……礼を言われる心当たりが有り過ぎて、何に対しての『ありがとう』なのか分からないわ」
「何でもいいさ。ああ、でもな。一言だけ言っておくと、今度からはそんな事、自分の口から聞け」

156 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 01:05:22.32 ID:Vzop9GjX0

 は
  あなた
     に
      とって
         代わり
            の
             利かない
                 人間
                   ですか?

157 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 01:08:32.37 ID:Vzop9GjX0
割と、格好良い告白の台詞だと思う。
「それで、相手がグダグダと返答を引き伸ばすようなら、殴るかもしくは僕を呼べ」
好きだと素直に口に出せない少女の気持ちと、そして僕らの思惑と、どこかの誰かが作った吸血鬼映画が紡いだ縁。
昔の僕ならいざ知らず。
今の僕は繋がった縁は手放したりしない。
それは、代わりの利かないものだから。
だから、僕は友達を友達と呼ぶのに命を賭けようと思う。
全身全霊で、その縁を愛そうと誓う。
そして、縁が合ってしまった以上。
類は友を呼ぶ。
変わり者が気に入るのは変わり者と。
そう相場が決まっている以上。
僕が涼宮を突き放す理由なんてものは、最初からどこにも転がってはいなかったんだ。
「だからさ……っと。あ、時間切れっぽいな」
僕の視線の向こう。涼宮の背後から。自転車が一台やってきた。
乗っているのは……見るまでもない。確認するまでもない。
ここで、この場面で。やってこないのならば、ソイツはヒーロー失格だ。
「邪魔者は退散らしい。馬に蹴られるのは、遠慮したいからな」
それはきっと痛いだろうから。
吸血鬼の僕であっても。それはきっと苦くて痛いだろうから。
「ちょっと、どういう意味よ、それ?」
「ああ、僕はお前と違って優しいからな。一つだけアドバイスしてやるよ。どんな恋でもたちどころに叶うおまじないだ」
どうやら、彼女が望んでいたのは吸血鬼じゃなくて、恋を後押しする魔法使いらしい。
……分かり易く恥ずかしい、そんな神様も一人くらいなら友達に居たって良いさ。

158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 01:09:08.87 ID:oAvBLk2H0
てst

159 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 01:12:20.82 ID:Vzop9GjX0
「目を瞑って、会いたいヤツの顔を思い浮かべながらゆっくり三つ数えるんだ。その後で目を開けて『自分はあなたにとって代わりの利かない人間ですか?』と呟いてみな?」
「あ、アタシは恋になんてうつつを抜かしている暇は無いのよ!」
「まぁ、騙されたと思って。馬鹿馬鹿しいと思って。実践してみろって。苦情なら受け付けるからさ」
言って、僕は自転車に跨り直す。さて、僕の出番はここまでだ。
後はニックネーム以外には何も知らないヒーローと神様ヒロインの二人舞台。
逃げろや逃げろ。巻き込まれては適わない。
巻き込まれては、叶わない。
自転車を発進させる、その前にチラリと少女を見ると。
……へぇ。
意外に素直じゃん。
そして僕は漕ぎ出した。目を瞑る、彼女を背にして。
遠くから、声が聞こえた気がした。
「自分はあなたにとって代わりの利かない人間ですか?」
その問い掛けに対する返答は聞かなくても分かったから、僕は敢えて聞かなかった。
魔法使いは、去り際を心得てるものなのさ。

     代物カワリモノ語ガタリ

                      はるひゴッド

160 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 01:14:48.92 ID:Vzop9GjX0
後日談。と言うか今回のオチ。
朝、目を覚ました所、僕のベッドを取り囲むような配置で目を瞑っている妹二人を発見した。
家を出た所で僕は目を瞑っている神原に遭遇した。
クラスに入ったら羽川が僕の机の前で何かを念じているように目を瞑っていた。
帰りの校門には千石が目を瞑って誰かを待っているようだったのでそっとしておいた。
下校中に目を瞑っている八九寺を見掛けたのでそっと近付いて取り敢えずスキンシップをしてみた。

そして――そして。
僕は放課後、民倉荘で、ガハラさんに勉強を教えて貰っていた。

「……また、ね」
どうやら彼女は怒っているらしい。というか最近では至極珍しいツンモード入っているのが空気で読めた。
誰だ、僕に空気なんて読めるはずが無い、と言っているのは。
「……また、他の女の匂いをさせているわね、暦」
ヤバい。僕、死ぬ。否、死んだ。
「まぁ、いいわ。身の程知らずな泥棒猫には、私が自ら手を掛けるまでもないでしょう。幸運にも、と言うべきなのかしら。私の言う事ならば、例え『死ね』という命令であっても喜んで実践してくれそうな可愛い後輩が居るし」
「待て! お前は神原を飛び道具か何かと勘違いしてるんじゃないのか!?」
神原を解き放て! 神原は人間だぞ!?
「いいえ、飛び道具ではないわ。一度しか使えないから、切り札ね」
「一回しかって……全員を手に掛けさせた後で実行犯に自殺を強要するつもりだなそうなんだな!!」
僕は断固として後輩を守るぞ、戦場ヶ原!
「……助けるべき相手を間違えない事ね、暦」
「神原の名台詞が!?」
それは、それでもいつも通りの楽しいお喋りだった。
けれど、やはりガハラさんの機嫌が悪いのは僕の勘違いでは無かったらしい。
「暦。私はね、貴方がいない間、眠れなかったのよ」
「……そりゃ……すまなかったな」

161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 01:15:55.89 ID:xQq3dfzD0
デレデレモードかっ

162 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 01:18:21.51 ID:Vzop9GjX0
「そんな事を言って、申し訳無さそうな態度を見せて、でも裏では『そこまで僕に依存してるのかこの女は本当に仕方が無ぇなぁフヒヒヒヒ』なんて考えているのでしょう?」
「お前は彼氏が『フヒヒヒヒ』とか言っていても許せるってのか!?」
「お見通しよ」
「見通せてないよ! 千里眼が全然見当外れの方向向いちゃってるよ!」
それでも、ガハラさんが憔悴しているのは、嘘でも何でも無いのだけは分かった。
「眠れてないのよ」
「そうか。僕の勉強なら自分で出来る範囲をやっておく事にするから寝てくれて良いよ、ガハラさん」
「……鈍いわね、暦は。本当に」
そう言うと、彼女は押入れを開いた。そこに有るのは、当然だけど布団。
「この狭い室内。けれど私は繊細だから布団を敷いて眠りたいの。卓袱台は邪魔なのよ」
……えっと、退散しろ、ってそういう事?

「抱き枕に、なりなさい。そう言っている風に、聞こえなかったのかしら、暦には?」


163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 01:23:10.19 ID:l2ZCtPn7O
ゴクリ…

164 :代物カワリモノ語ガタリ:2010/05/31(月) 01:23:21.58 ID:Vzop9GjX0
彼女は目を瞑る。
僕らは抱き合う。
僕も倣って目を瞑る。
そして。
たっぷり三つ数えた後で。
僕の恋人は言うんだ。
「私はあなたにとって代わりの利かない人間ですか?」
そして。
たっぷり三つ数えた後で。
彼女の恋人は言うんだ。
「僕はお前にとって代わりの利かない人間か?」



僕は、人間もどきで吸血鬼まがいのこの僕は。
けれど彼女が僕をただひとつだと感じてくれている限り、人間だ。
代わりの利かない、人間なんだ。
変わり者でも、代わりはいない、変わり者なんだ。

「キスをしましょう」


『代物カワリモノ語ガタリ ―はるひゴッド―』
めでたしめでたし。


165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 01:30:51.75 ID:l2ZCtPn7O
終わったか!
GJでありんす
ハルヒとキョンもフロイト先生と化してたんじゃろうかw

166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 01:31:37.39 ID:G46OPAuS0
言い回しが上手いね
GJでした

167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 01:43:43.48 ID:G46OPAuS0
改めてざっと読んで……
「キスをしましょう」
でEDが脳内に流れてしまったんだぜ

168 : ◆.vuYn4TIKs :2010/05/31(月) 02:00:12.32 ID:Vzop9GjX0
誰にも代わりなんていない。

以上。
結局書いてる本人が「それ」をただ再確認する為だけの。
変わり者プレゼンツ
変わり者だらけで換わり者入りの替わり者付きの
けれど、代わり者なんて出て来ない
タイトルに偽り有りな
代物カワリモノ語ガタリ
でした。




目を瞑って
会いたいヤツの顔を思い浮かべながらゆっくり三つ数えて
目を開けて
「自分はあなたにとって代わりの利かない人間ですか?」
そう呟いたら
ねぇ、気付くでしょう?

僕だって、君だって、代わり者なんかじゃないって
代わりなんて、いやしないって

169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 02:31:21.44 ID:G46OPAuS0
乙でした

170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 03:04:11.51 ID:4oct8T67P
4時まではまかせろ

171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 04:09:40.41 ID:iJa//Qr80
ぬるぽ

172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 04:31:47.55 ID:4oct8T67P
がっ
寝ます

173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 05:38:49.25 ID:bUr7+GVR0
さて、今日も閉鎖空間を処理したらこの時間ですか。
さすがに赤子の夜泣きじゃないですがこうも頻発されると堪えます。
とりあえず、仲直りしてもらわないことにはどうにもなりませんね。

と、SS書けないおれはこの時間に保守する

174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 06:38:04.49 ID:6w2oYU8sO
風邪ひいちまった

175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 07:13:45.01 ID:4oct8T67P
おはよう

176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 07:24:35.30 ID:uv2GVtJZ0
長門「バカがひく夏風邪ですね、わかります」

177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 09:02:21.35 ID:l2ZCtPn7O
( i_i)\(^_^)

178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 09:02:32.13 ID:0OgXnEci0
おはやう

179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 09:58:30.82 ID:4oct8T67P
おやすみ

180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 10:46:21.89 ID:4oct8T67P
眠れない

181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 11:12:18.55 ID:G46OPAuS0
寝れ!

182 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 12:08:31.34 ID:G46OPAuS0
飯!

183 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 12:23:16.87 ID:G46OPAuS0
旨!

184 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 12:39:07.13 ID:2+x90fLo0


185 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 13:11:51.60 ID:iJa//Qr80
ハルヒ「ねぇキョン」
キョン「なんだ?」
ハルヒ「このしゃべルーピーって売れるのかな…」
キョン「…無理だろ」
ハルヒ「だよね…」


喜緑「このしゃべルーピーって不思議な物ですね」
会長「どうしたんだそれは」
喜緑「長門さんから貰いました。会長にって」
会長「そ、そうか…」
しゃべルーピー「会長という物がなんだかよくわからない」
会長「!?」
喜緑「ボタンを押すと100種類の内からランダムで喋るみたいですね」
会長「さっきのは絶対中身弄った奴だろ」
喜緑「どうでしょう」カチ
しゃべルーピー「不思議と言うものがなんだかよく分からない」

長門「ユニーク…?」

186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 14:08:27.07 ID:l2ZCtPn7O
うむ

187 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 15:08:23.60 ID:iJa//Qr80
久しぶりにお題くださいな

188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 15:18:35.02 ID:l2ZCtPn7O
背中

189 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 15:31:51.51 ID:iJa//Qr80
>>188
了解、書いてくる

190 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 16:01:15.73 ID:l2ZCtPn7O
wktk

191 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 16:37:33.76 ID:iJa//Qr80
「悪いけど背中かいてくれない?」
部室に入るなり突然、俺のネクタイを絞め殺さんばかりに引っ張るハルヒ。死にそうなんだが?
ハルヒの細い腕を軽く叩くと息が出来ていないことに気が付いたのか引っ張っていたネクタイから手を離した
で、なんだって?

「だから背中をかいて欲しいのよ!」
じゃあ紙とペン貸せ
「誰が背中を書けって言った?ボケてるつもりなんだろうけど今はそれに突っ込む余裕は無いの」
相当痒いのか、ハルヒはそわそわしながら睨みつけてくる

「はいはい…じゃあ背中向けてくれ」
俺の言葉にハルヒはすぐに背中をこちらに向けて制服を捲くって背中を見せてきた
おいおい、服の上からで良いだろう?
「制服にシワが出来ちゃうし、その方が効くと…良いからかけ!痒いのよぉ!」

「わかったからジタバタするな、んーここか?」
「もうちょっと上」
「この辺か?」
「ん…そこ…あっ…く、くすぐったいからもう少し強く!」
おう?今の声はちょっと可愛かったぞ。もう一回やってみるか

「んあっ…ん…強くやれって…言って…」
いかん、背中を仰け反らせたり身体をよじらせて、甘い声を出しているハルヒを見てちょっと興奮してきた
これ以上は俺がヤバイから(二つの意味で)真面目に…
そう思った瞬間、ハルヒが背中を丸め、間の悪い事に俺の指がハルヒのブラに引っかかる
プチっという音と共にホックが外れ、床に薄ピンクのブラジャーが落ちる


192 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 16:38:16.06 ID:iJa//Qr80
>>191
机に突っ伏すようにもたれかかったまま動かないハルヒ
怒ってる?あれ?もしかして俺死んだ?

「ハル…」
俺がハルヒに声をかけようとした瞬間、ガチャという音と同時に部室のドアが開いた
ドアの向こうから現れたのは俺のマイ天使の朝比奈さんと古泉だった

「遅くなってすみま…せ…あわわ!」
「おやおやこれは…」

机に突っ伏して動かないハルヒ、その後ろにいる俺、そして床に落ちるブラジャー

「えええエッチなのはいけないと思いますぅ!!」
朝比奈さんは顔を真っ赤にして叫んぶと走ってどこかへ行ってしまった
「まぁ、二人とも健康な男女ですからそういう事もあるかと思いますが時と場所は選んで貰えるとありがたいんですが」
どういうことだよ
「あと避妊はしっかりお願いしますよ?では邪魔しては悪いので僕は帰ります」
ちょっと待てコラァ!勘違いするな!

俺が事情を説明する間もなく二人は去ってしまった。さてどうしようか…
「キョン…」
背後から聞こえたハルヒの声に振り向くと、両手で肩を抱き、前かがみになったハルヒがこちらを見ていた
怒りに鬼と化したハルヒを想像していただけに拍子抜けだ
「アンタのせいでみくるちゃんと古泉君に変な勘違いされたじゃない」
すみません…
「罰として暫く絶対服従よ!取り合えず着替えるから出て行きなさい」
調子に乗った結果がこれだよ…終わったら呼んでくれよ
「あと今日は一緒に帰るわよ…」
仰せのままに団長様

193 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 16:39:01.00 ID:iJa//Qr80
変な終わり方でごめん
久しぶりに書いたけどダメだな…

194 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 17:01:54.58 ID:G46OPAuS0
いいドタバタネタだ

195 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 17:18:54.27 ID:EIwAEzsw0
まさかハルヒと化のクロスをここで見るとは
しかもけっこう上手い
乙ですだよ

196 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 17:32:38.64 ID:2UWeRIZw0
うむ、よかった

197 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 18:33:55.31 ID:/VXnGsGC0
うむ、乙!

198 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 18:42:23.41 ID:EIwAEzsw0
せいっ!

199 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 19:00:30.17 ID:4oct8T67P
まだまだ

200 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 19:31:38.31 ID:l2ZCtPn7O
>>193
乙だっぜ!

201 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:02:10.29 ID:l2ZCtPn7O


202 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:31:04.10 ID:l2ZCtPn7O


203 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:47:15.10 ID:Y6WwsKGJ0
長門さんは全部横から見ていたと

204 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 20:49:37.01 ID:pN0NG/j30
人数少なそうだな…

205 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:30:07.24 ID:/VXnGsGC0
確かに…

206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:33:10.41 ID:4oct8T67P
じゃあ賑やかしに何か書いてくる

207 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 21:52:25.21 ID:4oct8T67P
お題くださいな

208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 22:08:12.39 ID:Y6WwsKGJ0
>>207
つぶやき

209 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 22:12:05.06 ID:4oct8T67P
>つぶやき
頂いていきます

210 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 22:32:35.29 ID:njQt066A0
hoshu

211 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 22:53:29.98 ID:Nvb3SoBL0
おお久しぶり

212 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 23:19:19.92 ID:2+x90fLo0
保守

213 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 23:21:16.95 ID:4oct8T67P
>>208


 それは、いつもの放課後の事だった。
 別にこれが日課って訳じゃないんだが、俺がいつものように古泉を相手に打ちがいの無い将
棋をしていた時、
「ねえキョン」
 ん。
「……あたし思ったんだけど、やっぱりコーラより紅茶の方がカロリー低いわよね」
 ついさっき俺が買ってきた、というか買ってこさせられた炭酸飲料水を手に、我らが団長様
は不満そうな顔で俺にそう言った。
「多分な」
 北高の自販機にあったのは普通の赤い缶のコーラだったから、カロリーオフとかそんな概念
のせいで味を劣化させている商品では無かったはずだ。
「だから、あんたが飲んでるその紅茶と変えなさい」
 は?
「コーラが飲みたいから買ってこいって言ったのはお前だろ」
「いいから。キョン、あたしは今紅茶って気分なの!」
 相変わらず横暴なハルヒ発言に対し、盤上の向こうから古泉が申し訳なさそうな顔で俺を見
ていた。
 解ってるよ、120円とお前のアルバイトじゃ等価って訳にはいかないよな。
 男尊女卑、何て言葉が既に過去の物だって事は知ってるつもりだが、ハルヒを見ている限り
女性の立場を向上させるって発想はどうかと思うね。これ以上持ち上げたら成層圏に達すると
思うぞ。
 へいへい、仰せのままに。
 多少の皮肉を込めた返答を返しつつ、俺は勝負を中断して席を立ち部室のドアへと向かった。

214 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 23:23:09.74 ID:4oct8T67P
 が、
「……え、ちょっとキョン。どこに行くのよ」
 どこって。
「自販機だが」
「何で?」
 いや、何でって。
「紅茶が欲しいんだろ? 俺の紅茶はこの通りもう空だ」
 俺はさっきまで自分が口にしていた缶を、ハルヒに見えるように左右に振って見せてやった。
「あ……」
 重量を感じさせない缶の動きに対し、何故か絶句するハルヒ。
 ふむ、相変わらずよく解らん奴だ。
 

 さて、と……結構自販機まで遠いんだよな。ここからだと。
 俺が部室棟の廊下に出て歩き始めた時、背後でドアが開く音が聞こえた。
 そこに居たのは
「あの! キョンくん」
 片手で空き缶を抱えた上級生、朝比奈さんだった。
 ドアをあける為に片手を使っていたのだろうが、朝比奈さんの腕の長さに対して空き缶の占
める面積は広すぎたらしく、
「あっわぁわわ!?」
 俺が駆け寄った時には既に遅く、木の廊下に甲高い音を立てながら空き缶が踊っていた。
 この、あまりに朝比奈さんらしい結果に対して、微笑ましいと思ってしまうのは失礼なのだ
ろうか。

215 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 23:27:09.69 ID:4oct8T67P
「捨ててくればいいんですよね、これ」
 廊下を転がっていく缶を拾いながらそう聞いてみると、
「いえ、わたしが捨てて来ますから」
 いえいえ、そんな。
 これがハルヒに押し付けられた事なのか朝比奈さんの自発的な天使的行為なのかは知りませ
んが、空き缶ごときにその豊かな胸の感触を味あわせるのは勿体無い――じゃなくて、制服が
汚れてしまいますから。
 拾った空き缶を手に拒否のブロックサインを送ると、
「……じゃあ、手伝ってもらってもいいですか?」
 選択肢が一つしかない質問が返って来た。
 いいですとも。


 と、いう経緯によって、今日の放課後は何気ない一日から俺的ハッピーデーへと格上げされ
た訳であり、それは現在進行形でもある。
 俺は今、朝比奈さんの足のコンパスに合わせ、距離を縮めた歩幅で部室棟の廊下を二人っき
りで歩いている。二人っきりで、な。
 この喜びを表情に出さないようにと苦心しつつ歩く俺の隣では、
「……」
 時折、ちらちら視線を向けながら歩く朝比奈さんの髪が揺れている。
 いかん、幸せ過ぎる。

216 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 23:31:06.04 ID:wYnhcNDo0
投下キテター

217 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 23:33:13.05 ID:4oct8T67P
「……あの、キョンくん」
 何ですか?
「えっと、あ……キョンくんは、お花って好きですか?」
 ふむ、可愛い事を聞かれてしまった。
「そうですね、名前とかは全然詳しく無いですが好きですよ」
 タンポポとヒマワリの違い位なら解りますけど。
「あ、わたしも好きなんです!」
 俺の視界では、今貴女の後ろに満開の花が咲いています。
「……そっかぁ……」
 何故だか幸せそうな朝比奈さんを見ていると、俺まで幸せになってしまうのは何故だろう。
 世の中の戦争を全て無くすには、朝比奈さんの笑顔を写真に撮ってそこら中に貼りつければ
いいんじゃないかと考えている内に、中庭にある自販機の前に辿り着いていた。
 さて、と。紅茶だったな。
 空き缶をゴミ入れへと入れ、自販機の前に立った時にふと思い立った。
「そう言えば、朝比奈さんって俺より年上なんですよね」
 たまに忘れそうになりますけど。
「え? そうですよ。キョンくんよりも一つお姉さんです」
 すみません、今もまた忘れそうになりました。
 目尻が下がるのを堪えつつ、
「じゃあ何で俺や古泉は君付けで、ハルヒや長門はさん付け何ですか?」
 ついさっき思いついた疑問を投げかけてみた。
「えっ……えっと」
 俺としてもそれは朝比奈さんらしいとは思うんですが、
「ハルヒには、その、事情があるんでしょうけど。俺や古泉はあだ名とかで呼び捨てでもいい
んじゃないですか? ハルヒや鶴屋さんみたいに」
「あだ名……ですか」
 顔に疑問符を浮かべる朝比奈さんと一緒に、俺も何となく考えてみた。

218 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 23:36:11.81 ID:4oct8T67P
 長門っち……は、鶴屋さんだからこそって感じの呼び方だよな。
 ハルにゃん。ふむ、意外にいいがこれもちょっと。
 いっちゃん。思考中止、不意に殺意が浮かんだ。
 自分の想像の中の事とは言え、朝比奈さんが古泉に対して親しげに話しかける姿ってのは精
神衛生上、非常によろしくない。
 脳内に浮かんだ想像を振り払おうと顔を横に振っていると、
「あの……じゃあ、ちょっとだけ……呼んでみてもいいですか?」
 それまで俺の隣で視線を逸らせていた朝比奈さんが、顔をあげて聞いてきた。
 ええ、まあ。
 何を呼んでみるのかは解りませんが、はい。
 我ながら優柔不断な返答を返すと、少し赤面していた朝比奈さんは口を横に結んだ後、顔を
伏せて固まってしまった。
 ……えっと、どうかしたんですか?
 何か俺、変な事言いました?
 不安な気持ちを抱えつつ、そんな朝比奈さんの事を見守っていると、
「……キョン……………」
 薄赤い顔、何かを言いたげな眼差し。そして、妙に色っぽい小さく開いたままの唇。
 顔を上げながらそう呟いた朝比奈さんの言葉は、俺を完全に静止させるのに十分だった訳で。
「……くん。あ、あの……あはは! あ……やっぱり変ですよね、その、えっと」
 慌てて付け加えた朝比奈さんの言葉は耳には入らず、数秒前の朝比奈さんの呼びかけが延々
と俺の中でリフレインしていた。

219 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 23:38:19.32 ID:4oct8T67P


 ――その後、結局紅茶を買い忘れてハルヒに怒鳴られたとか、今度は一人でもう一度買い出
しに行かされたとかあったはずなんだが……どうにも記憶に残っていない。
 覚えているのは朝比奈さんのあの呟きだけ。
 ただ、いずれあの呟きを耳元で囁かれる事になる奴が出てくると思うと、どうにもやるせな
い気持ちになるのは否定できそうにない。
 ……はぁ、いったいどこのどいつなんだろうなぁ……その幸せ者は。


 「つぶやき」 〜終わり〜


220 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 23:40:16.53 ID:EIwAEzsw0

お早い仕事だぜ

221 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 23:57:57.92 ID:EIwAEzsw0
そして俺は風呂!

222 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/31(月) 23:59:04.21 ID:2+x90fLo0
乙!
くそうかわいいなぁ

223 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 00:34:26.82 ID:HkMXrul80
保守

224 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 00:43:55.86 ID:vyzRhfjM0
ハルヒ「あら?有希、メガネに戻したの?」
長門「そう」
ハルヒ「やっぱりそっちの方が有希らしいわ」
長門「彼がメガネ属性無いから?」
ハルヒ「へ?」
長門「私が来る前に部室で彼と抱き合いながらキスしていた」
ハルヒ「な、何でそれを!」
長門「なんでもお見通し、金曜日は休みと言っておいて二人で部室で…」
ハルヒ「あーーあーー!言っちゃダメェ!!」
長門「今後こういうことが続くと生徒会に報告する」
ハルヒ「嫌!ナマコやワカメで拷問されるのはもう嫌!」
長門「じゃあ止めて」
ハルヒ「分かりました」

中庭
みくる「恋人が出来て頭が春真っ盛りな奴は燃えれば良いと思うんですよ」
古泉「はぁ…?」
キョン「朝比奈さんの目が死んでて怖いぞ古泉」
古泉「貴方達のせいでしょう?巻き込まれる僕の身にもなってください」
みくる「人の話、聞いてますか?」
キョン「聞いてます、聞いてますよ」
古泉「はぁ…帰ったら森さんのグチも聞かなきゃいけないのに…」

寝ますん


225 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 00:58:13.85 ID:iv0GKvofP
おやすみ

226 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 01:27:37.12 ID:v4gSkasF0
俺も寝る

227 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 01:28:49.91 ID:VQfWZXpi0
   . ______
    |       .| 須田浩章(30)
    |   _    |./⌒ヽ
    | ..'´  `ヽ (゚ν゚ ; )
    | | トレノノノ゙i.} /⌒ヽ<_     
    | 州(l ゚ -゚从./ / ハ ヽ      
    | c-、ii__i;i./ /   イ )   
   ヾ.__,、____,,/   //
    |   く/_l_| /   //
    |  〈_,八_〉/   〈〈
  r'" ̄ ̄ ̄ ̄    / )  ピタッ
  i  ー--....,,,,___,,ノ /
  \| .男    | /            
    |______.|'"


228 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 02:01:08.35 ID:5mXigy81O
……

229 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 03:50:22.41 ID:iv0GKvofP
おはよう

230 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 04:35:20.45 ID:iv0GKvofP
眠い

231 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 06:36:08.73 ID:iv0GKvofP
寝ます

232 : 【大吉】 :2010/06/01(火) 07:34:14.39 ID:W3QZTu4B0
橘「妊娠した」

233 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 08:04:14.35 ID:ScCVDbgu0
kitaku

234 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 09:18:17.57 ID:5mXigy81O
おはようなー

235 : 【大凶】 :2010/06/01(火) 09:45:56.42 ID:okNx2Zio0
さて、と

236 : 【大吉】 :2010/06/01(火) 09:46:31.61 ID:okNx2Zio0
天中殺

237 : 【吉】 :2010/06/01(火) 09:48:46.68 ID:Yh90QpSy0
乗るしかない!このビックウェーブに!

238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 10:48:02.96 ID:iv0GKvofP
暑い

239 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 11:05:53.23 ID:Lzk9Us9K0
確かに暑い

240 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 12:00:23.40 ID:5mXigy81O
ああ

241 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 12:39:09.75 ID:5mXigy81O
昼だー!

242 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 13:31:56.68 ID:hzBJytXj0
ひるだーっ

243 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 13:32:14.22 ID:5mXigy81O
飯だー!

244 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 14:15:49.26 ID:hzBJytXj0
カレーだー!

245 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 15:05:19.00 ID:Ez+xTid80


246 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 15:18:25.39 ID:HkMXrul80


247 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 15:30:53.81 ID:E2pQa50z0
夜まで残っててくれ…

248 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 15:56:27.94 ID:HkMXrul80
ほしゅ

249 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 16:32:17.45 ID:HkMXrul80
保守

250 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 17:05:06.29 ID:Ez+xTid80
ほしゅ

251 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 17:27:43.68 ID:iv0GKvofP
今日はラーメン

252 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 18:05:56.91 ID:HkMXrul80
ほしゅ

253 :にぎやかしに2+1レス位:2010/06/01(火) 18:12:58.84 ID:Ez+xTid80
 朝比奈みくる。未来から来た涼宮ハルヒの監視員。
 SOS団においては、涼宮ハルヒの命に従いメイド服を始めとする様々な衣装を着用し、
主に給仕の仕事を行っている。
 部内における位置付けは、涼宮ハルヒ曰く萌えマスコットキャラ。「彼」曰く癒し。
 彼女は表情豊か。しかし表示した感情及び意思により他人を攻撃することは稀である
ので、性格はきわめて温厚だと言える。
 その内面と外見――外見とは同世代の日本女性における平均より大きな胸部や、逆に
幼い顔立ちの事――の融合が涼宮ハルヒの言う萌えというものを体現しているらしい。
 そして、萌えや癒しは対人的に好印象を与えるものと聞いた。実際彼女の対人関係は
部内に限定しても良好と言えた。
しかし……

「ふぇ」
 今、目の前に立つ朝比奈みくるは、「困惑」「怯え」の感情を含む表情をしている。
 これは、わたしに対しての表情である。
 SOS団が立ち上げられた直後と比較すれば、朝比奈みくるがわたしに対しその表情を
することは格段に減少してはいた。
 しかし、彼女がわたしにその感情を向けることは変わらない事実。
 そして、わたしはそれを好ましくないと思い、この状況を脱したいと考えている。
「長門さん、どうしたんですかぁ……?」
 朝比奈みくるが口を開いた。中身はわたしに対する質問。
 “どうしたのか”……おそらく、“あなたはわたしにどのような用件があるのか”と聞いて
いるのだと思われる。
 しかし、わたしが朝比奈みくるを見ているのは“どうすれば彼女と仲よくなれるのか”の
考察を行っていたからであり、現時点で朝比奈みくる自身に働きかける事項は存在して
いない。

254 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 18:14:30.40 ID:Ez+xTid80
「なにも」
 わたしがそう答えると、朝比奈みくるは「はぁ」と生返事をした。
 このような返事をするということは、おそらく朝比奈みくるは納得していない。あるいは
疑っている。簡潔な言語に換え表現すると、腑に落ちていないのだと思われる。
 ……誤解は人間関係において、往々にして良くない作用をもたらすと本にあった。
 その可能性は排除すべき。
「あなたは」
「は、はいっ」
「勘違いをしていると思われる」
「えっ? ふぇ……?」
「わたしという個体には、あなた個人に対し隠し立てする事柄は存在していない」
「? ……えっと、……わかりましたぁ」
 朝比奈みくるは戸惑ったようだが、しっかり答えた。
 どうやら無事、理解してもらえた模様。
 わたしは満足して朝比奈みくるの観測に戻る。
 仲が良くなるには、彼女の趣向のリサーチも大切。
 これまでのわたしは、涼宮ハルヒと彼の観測・保護という役目のみに従事するあまり、
その役目と本以外の他の事へは関心を払わなかった。
 今はそれを悔やんでいる。
 もっと早いうちから関心を抱いていれば、わたしの朝比奈みくるに対する理解はより
深いものだったはず。
 その分は取り戻す必要がある。これはわたしがわたしに課した義務。
 わたしは、お茶、編み物、教科書、制服、衣装、また編み物……と色んなものに手を
つけては落ち着きなく次へと移動する朝比奈みくるを見つめている。

255 :おまけの蚊帳の外。これでおしまい:2010/06/01(火) 18:16:22.37 ID:Ez+xTid80
「ねえ」
「どうした? ハルヒ」
「今日のみくるちゃん変ね」
「長門さんに見つめられているからではないでしょうか」
「え? そうなの? 古泉くん」
「ええ。今日は一段と熱心なご様子で」
「長門は仲良くしたいんだろうが、あれは逆効果だよな」
「僕としては、長門さんがお考えになっているであろうことをもう少し仰れば、
 状況も変わるのではないかと考えているのですが」
「いやいや。それこそ逆効果だろ。朝比奈さんが長門の勢いに圧されるだけだ」
「そうね、有希って普段無口だから積極的に口を開くと驚いちゃいそ……
 ってあんた達協力してあげないの? 薄情ね」
「それじゃ長門の成長に繋がらんだろう」
「それはそうだけど、でも……」
「ふふ」
「……なんだ古泉」
「おっと。いえ、なんでもな」
「そうよ古泉くんも! 何で静観してるのよ」
「ええと……、実は先日、なし崩しに試みることになったのですが、
 長門さんににらまれちゃいました。なので、僕からの協力は難しいと思いまして」
「……単に二人の間に割って入ったとかじゃないよな?」
「状況としては、そうなります」
「まさか古泉くん、みくるちゃんをかばったの?」
「そういう形になりますね」
「邪魔するからよ」
「邪魔するからだろう」
「はは、それ以来、長門さんの目がきつい気がするのは」
「当然ね」
「嫌われたな」
「……やはり、そうですよねー……」

256 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 18:46:58.56 ID:pUgeUeE3O
おっおっおっ

257 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 19:00:43.59 ID:fHxICzZ50
古泉のやろう!
嫌いの反対は好きっていう心理を逆手にとったフラグを立てる気だな!ゆるさん!

258 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 19:30:00.55 ID:MnL0uV1W0
なんと…

259 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 19:51:08.14 ID:Ez+xTid80
保守

260 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 20:31:24.19 ID:nbkteGso0
風呂いってくるぜ

261 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 21:01:57.84 ID:pUgeUeE3O
腹減った

262 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 21:29:30.49 ID:nbkteGso0
上がったぜ

263 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 21:55:02.46 ID:muTFGz5v0
誰か書き手がいるのかだぜ

264 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 22:20:38.87 ID:HkMXrul80
保守

265 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 22:24:30.04 ID:nbkteGso0
書かない書き手なら居るぜっ

266 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 22:32:28.09 ID:vyzRhfjM0
SOS団部室

会長「胸が大きい女子を見ると普通の女子はどんな気持ちになるんだ?」
長門「…」ピキピキ
ハルヒ「それを聞きにわざわざ来たの?」
会長「男からすれば立派な不思議だ」
キョン「不思議だな」

ハルヒ「うーん、どうなんだろ」
鶴屋「触りたくなるね」
朝倉「大きいなって位しか感じた事ないわね」
喜緑「あまりそういうことを考えた事はありませんね」

古泉「小さい女子を見た時の気持ちも気になりますが」
ハルヒ「わからない…」
鶴屋「触りたいねぇ」
朝倉「イタズラしたくなるわね」
みくる「哀れ…じゃなくて楽そうでいいなぁって」
喜緑「可愛いなって思いますね」

会長「…なんかごめん」
キョン「ああ、また荒れそうな気がするぞ」
古泉「いつもの流れですから」

267 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 22:48:00.87 ID:vyzRhfjM0
長門「大きいと言うのが朝倉涼子、涼宮ハルヒのサイズを言うなら羨ましい」
長門「ただし朝比奈みくるのは家畜みたいで嫌」
みくる「喜緑さん位はちょうど良いなって思います」
みくる「でも長門さんのは可哀想です…男の子みたいで」

長門「この牛女が」
みくる「妬みですか?哀れですね」
ハルヒ「ちょ、ちょっと二人とも落ち着きなさい」
長みく「「黙れ!」」
ハルヒ「ふぇ…」
朝倉「大丈夫よ涼宮さん」フニフニ
ハルヒ「どさくさに紛れて胸を揉まないでくれる?」

会長「男の子…男の娘か!」
古泉「少女のような容姿に男の良い身体…なんという良い所取り、すばらしい!」
キョン「男装女子ってなんて表現するんだ…女の漢?」

鶴屋「さてこの状況どうしようか?」
喜緑「面倒ですし面白そうですからカメラでも回して置きましょう」
ハルヒ「ちょっと朝倉!どこに手を入れて…」
朝倉「はぁはぁ涼宮さん可愛いよ涼宮さん」

なんかごめん

268 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 22:53:03.65 ID:nbkteGso0
みくるんがwww

269 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 23:05:41.33 ID:okNx2Zio0
家畜w

270 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/01(火) 23:54:07.90 ID:HkMXrul80
保守

271 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 00:07:49.16 ID:bdPpZ5GX0
なんか懐かしい作風だなw


272 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 00:32:23.16 ID:RTFjnF6C0
会長「さて喜緑くんにお仕置きでなまこを140kmでぶつけられたわけだが」
古泉「よく生きてましたね…」
会長「ああ、ナマコって以外に頑丈なんだな」
キョン「そっち!?」
会長「それは置いておいてだ。今日の議題は男装した女の子の呼び方だ」

古泉「前回は女の漢って出てましたね」
キョン「自分で言っておいてなんだが、某ガッ○!みたいで怖いよな」
会長「そういえば海に行ったときの写真をコンピ研の奴がそんな風に合成してたな」
古泉「あれは酷かったですね」
キョン「あれ、鶴屋さんに見つかって大変だったな」

会長「また話がズレたな、で他に候補は?」
古泉「正直、思いつきません」
キョン「男の娘で統一でいいんじゃないんすか?」
会長「うーん、女の漢だと怖いしな、統一するか」

国木田「で、なんで僕は女子の制服を着させられてるのかな?」
古泉「ふぅ…お似合いですよ」
会長「これは新しい…惹かれるな」
キョン「佐々木に見えなくもないな」
国木田「言うと思ったよ…ちなみに佐々木さんの服を着てキョンと一日過ごした事あるんだよ?」
キョン「なん…だと…?」
国木田「ちょっとした実験だったんだけどね。いやぁキョンに色仕掛けは効かないもんだね」

ハルヒ「佐々木さん…制服着て潜り込んで…ビッチがぁぁぁぁぁ!」
みくる「勘違いしてるみたいですけど?」
長門「面白そうだから放置」

寝ますん

273 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 00:35:27.82 ID:zswu7/VN0
お休み乙w 国木田最強だな

274 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 00:53:41.07 ID:S67fCPpi0
未だに佐々木の正体はクニキダではないかと疑っている



275 :4レスくらい:2010/06/02(水) 00:59:52.97 ID:zswu7/VN0
>>257見て続き書いた。ID変わってるけど一応>>253と同じ人間

「逆転の発想だ」
 その日の帰り道、僕の横を歩いていた「彼」が、不意にそんなことを言った。
「なんの話ですか?」
 話が見えない。ひとまず聞くことにする。
 すると彼はニヤリと、いたずらを思いついたようなとしか言えない顔でこちらを見た。
あまり良い予感がしない。
「なあ、古泉。お前普段は長門から無視されてるだろ」
 ぐさり、と彼の言葉が結構痛いところを突いた。
 長門さんが朝比奈さんに強い関心を抱き始めたのはここ数日の話で、それまで僕も
朝比奈さんも無視――いや、黙認? あるいは視界外……は嫌だな。たまに涼宮さんと
一緒の朝比奈さんに羨まし気な視線を送っていたので、完全に無関心というわけでは
無いと思う。とは言え何れにしても、特に何の興味も抱かれてないと錯覚しそうな程、
長門さんから僕や朝比奈さんへの接触はなかった。
 僕からの接触がやや無視されがちであるのも確かだ。これは朝比奈さんも同様だった。
「……まあ、否定できませんね」
 僕は笑顔を意識して答えた。
 彼は「だろうな」と無感動に言い、それがさらに僕の痛いところを抉る。
 最初に比べれば長門さんとも多少は仲良くなってたつもりだったんだけどな。少なくとも
嫌われてはなかったと思うけど、やはりそれ以前な認識をされていたのか。
「でもな。今は嫌われてるってことで、一応、たぶん注目はあるんだよな」
 どうして副詞を2つも付けるんでしょうか? と聞きたい。聞かないけど。
「ああ、ですね。無視される事よりは関心がある状況だと言えます」
「で、だ。それを上手く利用できるんじゃないか?」
「はい?」
 嫌われているのを利用? というか……
「一体何が狙いなんです?」

276 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 01:01:29.71 ID:zswu7/VN0
 基本、「彼」は僕に対し無関心だ。正確には僕の「動き」と言ったところには。
 それについては彼に変に気遣われると涼宮さんの注目を貰う恐れがあるという点で、
動きにくくなっては困る僕としては助かっている。なので享受させて貰っているのだが、
だからこそ今のこの気の回し方は居心地が悪い。 
 最初の笑みといい、裏があるとしか思えない。
 僕が疑念も笑みに含ませて見ると、彼は面倒くさそうに手を振った。
「長門のために決まってるだろう」
「なるほど。そういうことですか」
 正確には僕に回した気ではないらしい。
 僕は納得して「残念です」と言い肩をすくめて見せた。
 しかし、先程の涼宮さんと彼とのやりとりでも思わず笑ってしまったけれど、「彼」と
涼宮さんの長門さんへの気の遣い様は、まるで彼女が2人の娘だと言わんばかりだ。
少し大人し過ぎて、友達がなかなか出来ない娘といったところだろうか。
 僕がそう考えながらニヤつくと、彼はむっとした顔で吐き捨てるように息をつき僕から
目を逸らした。前を見てこう続ける。
「長門は朝比奈さんと仲良くなりたい。で、お前はその邪魔をしたから嫌われてるわけだ」
「不本意ですがね」
「言い換えると朝比奈さんを巡るライバル、という立場ってわけだ」 
「なるほど好敵手ですか。有りかもしれませんね」
 ライバルとの友情関係なんてベタだと思うけどよく聞く話ではある。長門さんにとっての
一石二鳥を狙う心算の提案か。
 くすくすと笑い声を漏らしながら応じていると、突然、いつも通り僕らの前を歩いていた
3つの影のうちのひとつが立ち止まる。そして振り返った。
 長門さんだ。

277 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 01:03:44.71 ID:zswu7/VN0
 彼女はまっすぐと僕を見上げる。
 自然と僕の足が止まり、横の「彼」もそれに習ったようだ。
 一体なんなんだろう、と考え長門さんを見守っていると、強い意志を感じるまなざしの
彼女が口を開いた。
「そう。あなたは敵」
「えっ」
 乗るんですか?
 思わず出したほうの声を、彼女は自分の言葉を聞き逃されたととったらしい。
「古泉一樹。わたしが朝比奈みくるとの友好関係を構築するにあたって、あなたは敵性
 であると判定した」
 もう一度、今度は丁寧に言う。
 長門さん、本気で朝比奈さんと仲良くなりたいんですね……って待って欲しい。
「一度きりの、意図していなかった介入で敵性なんですか?」
 一応弁解させて欲しい。偶々3番目に部室に入室したら涙目の朝比奈さんが僕の
後ろをとった。その直後から長門さんの気迫と背広を掴む朝比奈さんに挟まれて、
僕は軽く混乱しながらも場を収めようと頑張っただけなんだ。
 流石に涼宮さんの対朝比奈みくるスキンシップを、そのまま流用しては駄目だと思う。
 それに無表情で迫ったら朝比奈さんじゃなくても逃げたくなるよ!
 なんとか長門さんをなだめ、朝比奈さんを落ち着かせたのにその礼として敵扱いになる
のは遠慮願いたいところだ。
 僕はその介入に悪意は無かった事をもう一度説明したが、しかし長門さんは首を横に
振る。
「何故ですか」
「今、あなたと『彼』がしていた会話にて、その意思があると判明した」
「無いですよ!」
「それは嘘。乗り気だった」
「確かに楽しんでましたけど、それはウィットに富んだジョークと言いますか」
 そう慌てて言うと、横から彼が要らない口を挟む。

278 :これでおしまい。:2010/06/02(水) 01:05:34.37 ID:zswu7/VN0
「お前の冗談は冗談に聞こえんからな。誤解されるのも当然だ。諦めろ」
「そう。男に二言は無い」
 「彼」は長門さんの味方に付くらしい。そうだな、あなたは父親でしたね!
 僕が皮肉を込めて笑顔を送ると、彼は笑って十字を切り、ついで「南無三」と左手
だけで拝んで見せた。
 どうでもいいけど十字を切る方向が逆だ。
「わたしは強引な手を使っても、朝比奈みくるを手に入れるだろう」
「おお。ユキの逆襲だな」
「長門さん、ここで茶目っ気を出さなくて良いですから。あなたも感心しないでください。
 あと、朝比奈さんにはくれぐれも優しくしてくださいよ?」
 強引な手というのを本当にやるとは思わないけど一応言っておく。
 すると長門さんの目つきがまた険しくなったような……。
「余裕の見せつけ……」
「違います」
「強敵。不足無し」
「もっと穏便に友好関係を築くことは出来ないんでしょうか……」
 呟いてみたものの、長門さんは聞いてくれないらしい。
 長門さんは僕を無視して、「彼」に決意の篭るまなざしを投げかけた。
「長門、頑張れよ」
 そう「彼」が応えて長門さんは「彼」に力強く頷いて。
 僕は現実逃避として、いい光景だな、と思うことにした。


279 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 01:52:25.97 ID:zswu7/VN0
ほしゅ

280 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 02:23:47.26 ID:S67fCPpi0
257だがまさかの展開で、やばいちょっと嬉しい
おやすみ

281 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 02:52:02.31 ID:bdPpZ5GX0
ぶへぁwwwwwwww

282 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 04:38:14.63 ID:VfCndzO6P
おはよう

283 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 06:30:23.12 ID:bdPpZ5GX0
おう

284 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 07:04:26.28 ID:VfCndzO6P
今日で三日だっけ?

285 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 09:03:39.52 ID:y0ZqIujUO
おう

286 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 09:15:26.27 ID:VfCndzO6P
三日ルールがまだあるのか知らないけど完走できそうな気がしてきた

287 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 09:59:00.08 ID:VfCndzO6P
早め

288 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 10:06:51.65 ID:S67fCPpi0
うい

289 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 10:24:55.34 ID:+8XbD/KQ0
おでかけ

290 :ハルヒ「この眼鏡?なんか、急に目がわるくなって…」:2010/06/02(水) 10:48:31.93 ID:UPVDhARZ0
書くたびに何故かスレが落下するSSをスピード投下。
しかし何でだ…

291 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 10:48:54.07 ID:EjUZwX3xP
ハルヒ「有希、一日眼鏡をかけていなさい。団長命令よっ!」

一月。まだまだ寒い冷え切った夜。

これから話すのは、もう何回目か忘れたが、
 不思議探索で遊びきった後から始まる、世界にとっては本当に些細なことだ。

292 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 10:49:56.56 ID:UPVDhARZ0
踏切近く。
帰路につこうとする、俺と古泉。

古泉「涼宮さんには内緒で、少し話しておきたいことがあります」

古泉が一緒にいるとたいていこれだ。あれだ、あれ。また機関とやらのやっかいごとだろう。
こうだからこのにやけ面とは近づきたくないんだ。めんどくさいったらありゃしないね。

で、こんどは何に巻き込まれるんだ。

古泉「いや、個人的なことですよ。友人として話しておきたいことがあるんです」

そうかい。で、なんだいそりゃ。

「…涼宮さんのコンプレックスを感じるのです」



293 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 10:50:51.08 ID:EjUZwX3xP
は……?あいつのコンプレックス、だって?
Complex…複雑って意味なら、あいつが理解不能だって、今更いうことか?

「Komplexです。精神分析の用語で、要求阻止が原因となって抑圧、無意識のうちに形成され情緒的に強く色づけられた観念の複合ですよ。
 簡単にいえば心の中のしこりです」

ハルヒのこころにしこり、だと?
今日のハルヒを見てみろ。あんなにハレハレしてたじゃないか。

「あなたは今日、長門さんばかり見ていませんでしたか。
 今回も、涼宮さんや朝比奈さんに各種眼鏡をかけられるがままにされてましたが、
  最終的に涼宮さんの命令で一日眼鏡をかけていましたね」

…去年の冬の出来事が忘れられなくてな。
 情報統合思念体を呪いつつ、決意を新たにしていたところだ。

「そんなメッセージをこめた視線を、涼宮さんが気づかないわけがない。
 彼女からしてみると、眼鏡をかけたとたんにあなたの見る目が変わってしまったんですからね」

294 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 10:51:42.22 ID:UPVDhARZ0
いや、それをいうなら俺のほうがコンプレックスだ。トラウマ、というべき事象かもしれない。
強烈な痛みを伴ったからな。

それだけ怒りも決意も大きいんだ。
 ある程度はしょうがないと思ってくれ。

「くれぐれも、よろしく頼みますよ」

そういうと、古泉は去っていった。
溜息をつく。その日はすぐに帰路についた。

これが、この騒動の始まりだった。

295 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 10:52:14.57 ID:EjUZwX3xP
次の日。

何かがおかしい。
なにがおかしいって、原因ははっきりしている。後ろのしかめっ面だ。

キョン「なあ、涼宮」
ハルヒ、とすぐに続かなかったのは、その涼宮ハルヒの顔面に

キョン「…ハルヒ、お前いつから眼鏡かけるようになったんだ?」
ハルヒ「今日からよ。悪い?急に目がわるくなって、おか…母親のを借りたの」

大きな変化を見いだしたからだ。

キョン「…」

296 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 10:53:09.67 ID:UPVDhARZ0
う〜ん、だめだ。
俺には眼鏡属性はない。だいたいなんだ。

長門ならともかく、ハルヒが眼鏡を付けると違和感が出る。
わかりやすく言えば、魅力30%減、ってとこだ。

ハルヒ「…」

大きな目が小さく見えるし、かがやいた目がくすむ。
長門の眼鏡と比べると……魅力ダウン率はさらに高い…ますますダメだな。

キョン「…眼鏡かけるとますますダメだな…」

やばい、つい声にでちまった。…しかも取りようによれば結構ひどい言葉だ。
ハルヒのげんこつを待っていると…

ハルヒ「…」

期待に反して、妙に静かになっちまった。
…このとき一言謝っておけば良かったのかもしれないが、ホームルームが始まった。

そして、そのままその話しは流れた。 そのはずだった。

297 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 10:54:02.15 ID:EjUZwX3xP
その日の夕方。

ハルヒは先に帰ってしまった。SOSの団活は今日はないようだ。
ベッドの上でシャミセンの舌の感触を味わっていると、急に携帯に電話がかかってきた。

長門「…聞こえる?」
キョン「そりゃ、携帯だからな。聞こえるようにできている。で、要件はなんだ」
長門「…叱責」

え…?叱責?俺、長門に怒られるようなことしたっけか。

長門「…踏切前まで、10分以内に来て」
何故だ?もう結構遅いぞ?

長門「要求する」
…分かったよ。お前がそう言うなら、行ってやる。

長門の電話は、俺の返答を聞くとすぐに切れた。

298 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 10:54:34.12 ID:UPVDhARZ0
もう一年近くになるか、俺はちょうどこの辺で、ハルヒから長々とした独白を聞いた。
その踏切のむこうに、長門が立っていた。

突風を舞い散らしてやってきた電車の列が、長門の姿を覆い尽くした。
その瞬間、見えた…長門は、その無表情の中に…怒りを見せていた。

ただ、俺は固まるしかない。
何をそんなに怒っているのか、分からないからだ。

電車が去り、バーが上がる。いや、まさしく錯覚でしかないかもしれない。
味方であるはずの長門が、敵を見るような視線でこちらにやってくる。

長門「あなたと涼宮ハルヒには手出しをさせない、ただ」
キョン「ただ…なんだ」

長門が間合いを詰める。その目が俺に固定される。

長門「あなたは涼宮ハルヒに、わたしたちの概念で言う情報攻撃を行った。
 その結果、彼女の思考内部で感情的な思考のポジティブ・リフレクトが発生、負荷がかかり、停止している。
   よってあなたを敵性分子と判定し、情報操作を行うことの許可を取るに至る」
…え?

299 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 10:55:28.37 ID:EjUZwX3xP
『敵性分子』、『情報操作…?』

長門が俺に敵として情報操作?なんかの間違いだよな、これは。
長門「わたしの意志」

長門が俺の手を取る。
キョン「長門、待ってくれ」

長門の動きが止まる。このまま噛まれたらやばい。
ナノマシンでなにをされるか分からない。

キョン「なんで、俺がお前の敵になるんだ。分かるように理由をおしえてくれ」
長門 「つまり…」

長門は大きく息を吸った。急に人間味を帯びた長門は、微かに感情が入った声で
長門「友人を侮辱されたら、よい気持ちはしない。共感できるなら、なおさら」



300 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 10:59:40.10 ID:bdPpZ5GX0
紫煙

301 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 11:00:20.99 ID:UPVDhARZ0
キョン「俺が誰を侮辱したって?」
長門 「涼宮ハルヒ」

朝の一件か。ハルヒなら分かるが、何で長門がこんなに怒るんだろうか。
長門 「顔は女の命だから」

無表情に際だつ、挑戦的な目つき。やはり、長門は俺を敵として見ている。
にわかに饒舌になった長門は、やはり視線を固定したまま、口を開く。

長門 「あなたにそれを否定された、と涼宮ハルヒから電話があった。
 その口調から思考のランナウェイを感じ、原因の排除行動に出ている段階」

まてまてまて、だからって俺を排除するって。
…やめてくれ、俺だって命は惜しいんだ。

お願いだ、ナノマシン注入でなんとかするという解決策、それだけはやめて欲しい。

長門「ならば、代替案として、事態の12時間以内の解決を要求する」
長門は俺の手を離した。敵を見る挑戦的な目つきは変わらない。

長門「わたしという個体も、このような姑息な手段はとりたいとは思わない。それは、あなた自身が見つけるべき問題だから」

長門はそういうと、きびすを返す。

302 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 11:01:35.83 ID:EjUZwX3xP
古泉「それが本当だとしたら、興味深いとしか言いようがありませんね」

何をしたらいいか分からなくなり、とりあえず長門以外で頼りになりそうなヤツに電話をかけてみたらこれだ。
とりあえず古泉、いつも通り時候の挨拶はいいから、早くこの事件についてお前の意見が聞きたいのだが。

「意見ですか?長門さんもだいぶ少女らしくなってきた、ということぐらいでしょうか」

おいおい。エイリアンらしい、の間違いじゃないのか?
いきなり敵にされた揚句、情報操作しようとすることのどこが少女らしいか、小一時間じっくり問い詰めたい。

「いや、涼宮さんや長門さんに限らず、元来女性は恐ろしいものですよ」


303 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 11:02:31.30 ID:UPVDhARZ0
だいたい、なんでハルヒのそれもこんな些細なことで、長門に敵視されなきゃならん。所詮他人だろう。

「脳の共感をつかさどる部分は女性特有に特に発達している部分です。あなたと同じ価値基準で判断してはいけませんよ」
いや、共感とかなんとかはどうでもいい。問題はこれからどうすればいいか、ということだ。

12時間以内に何とかしなければ、俺は長門にナノマシンを入れられて、そうだな…操り人形か何かにされてしまうのかもしれない。
 エイリアンに操られるというのは映画のパニックものの定番だろうが、現実世界でそれも対象が俺となると史上最悪のホラーと化してしまう。
   
とりあえず古泉、何とかしろ。

「巻き添えで僕まで操り人形にされると困りますからね。なんともなりませんよ」
どうしてもかよ。頼れるのはお前ぐらいしかいないんだ。頼むから、何とかしてくれ。

304 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 11:03:33.65 ID:EjUZwX3xP
「なんとか涼宮さんの無意識は自制してくれたようで、閉鎖空間はどこにも出ていません。
長門さんに話して気が紛れた、とまあ、そんなところでしょうが、これで当然、超能力者の出番はありません」

俺を無視するように、古泉は話し続ける。
「そういうわけで、僕から個人的にお願いです、明日にはお二人さんと仲直りしてくださいよ。では。ふふっ」

どう考えても面白がっているとしか思えない、気持ち悪い笑い声が最後に聞こえて電話は切れた。
…おのれ古泉、もしも明日を無事に迎えられたなら、ゲームの掛け金レートを五倍にしてやる。

305 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 11:04:31.26 ID:UPVDhARZ0
みくる「それはキョンくんが悪いです」


 これはほかでもない、俺の最後の光であり希望だった、朝比奈さんのお言葉である。
  朝比奈さん、あなたもか。まだ日は暮れてないのに、目の前真っ暗だ。

「長門さんが怒るのも無理ないです」
 無理大アリです。眼鏡ごときで情報操作ですよ、朝比奈さん。

朝比奈さんは諭すような口調で、
「あのね、キョンくん?キョンくんは眼鏡ごときと言いますけど…少し気持ちを考えてあげて。
 涼宮さんはわざわざ自分の目を悪くしてまで、眼鏡をかけてきたんですよ。
  そこまでして、キョンくんに…なんというか…見てほしかった…ほめてもらいたかったんだと思うんです。それをキョンくんは…」

そうですか?全然似合ってなかったんですが。
 それにあの、傍若無人で人のことを考えないハルヒが、まさかそんなふうに思うわけがないです。

「…もういいです」
こちらはすぐに電話が切れてしまった。

306 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 11:05:16.72 ID:EjUZwX3xP
川沿いに長々と続く、裸の桜並木の下を一人で歩く。
 そのうち私鉄の駅をくぐり抜けたあたりで日が暮れ、寒くなってきた。

こういう場合、たいてい地球人が正義で宇宙人が悪のはずなのに、
 未来からやってきた正義の味方である朝比奈さんによれば、悪役は俺らしい。

薄暗い道を眺めて、考える。
 歩いていれば何か思いつくと思ったのだが…生憎、何をすればいいか、まったく思いつかない。

大体なんだ。みな大げさすぎる。
何で眼鏡ごときでこんなことになってるんだよ。

長門「眼鏡の存在は、人生まで変えてしまうから」
横から声がした。驚いて振り返る。

307 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 11:06:22.76 ID:UPVDhARZ0
そこにあったのは横断歩道と、中央図書館と、長門だった。

…って、お前さっき踏切に居たよな。
 「借りたい本があったのでここに来た」

お前の家からこの図書館までの一番の近道は、俺が通ったこの川沿いの道だったはずだ。
 なんでここにいるんだ。
 「ステルスモード」

そう言いつつ間合いを詰める長門。
…来るな。頼むから、早まるんじゃない。

 「心配ない。あなたが言う【早まる】行動をするつもりであるなら、わたしがステルスモードであなたに追従した期間に既に実行済みであろう」



308 :ここから:2010/06/02(水) 11:07:40.83 ID:EjUZwX3xP
…そら恐ろしい事を聞いた。
この恐ろしさを例えるなら、今まで虎に後を付けられていることに気づかなかった冒険家が、後ろを振り向いて危険を認めた瞬間の恐怖に近い。

長門は俺の恐怖の表情を悟ったのか
「本を借りに来ただけ」

先ほど言ったことを繰り返す。

沈黙。

俺と長門の横を、自動車が走り過ぎた。冷えた風が、俺と長門に当たる。
長門の視線は、俺に固定されたままだ。

ええと、ところでだな、長門。もうそろそろこの図書館も閉館時間が近い。早く本を借りないと閉まるぞ。

「…」

長門はそれを聞いてきびすを返し、ゆっくりと図書館のほうに歩いていく。

309 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 11:12:10.92 ID:UPVDhARZ0
長門が確かに入館した光景を見届けたところで、俺はどっ、と息をついた。
すぐにでもこの場所から離れなければならない。

俺は図書館の反対方向を向いた。と、背中に小さな軽い衝撃。
後ろを向いたが、何もなかったし、だれもいなかった。

少なくとも、俺にはそう見えた。

後で考えると、もう少し背中を確認するべきだったと思う。
だが、そのときの俺は逃げるのに精一杯だった。

310 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 11:14:02.43 ID:UPVDhARZ0
今、北向き…つまり、元いた踏切のほうに逃げると、当然長門の家にぶち当たる。
本を借り終わったステルスモードの長門が、帰りのついでに追いついてくるともかぎらない。

そう言うわけで川岸を南に歩くと、祝川を下流に歩くことになり当然、海岸に突き当たる。
ゼエゼエ言いながら、後ろを確かめ、そして俺は砂浜に立った。

夜の大阪湾。
空も暗くなってきて、神戸と淡路をつなぐ橋に、光が遠く点々と見える。


311 :さるさんに引っかかった。…ってことでここまで:2010/06/02(水) 11:19:17.93 ID:deF6DB/v0
これから海沿いを逃げるのか。いや、もう動ける気がしない。
だからって助けを呼ぼうにも、俺の味方はだれもいないんだ。
…元凶である長門はともかく、古泉も、よりにもよって朝比奈さんまで俺に味方してくれなかった。

このまま長門に操られる運命なのか…
冷たい風が、恐怖を引き立てる。

…いやまて、助けを呼べそうな人が、一人いる。

長門に対抗できそうな人物で、俺の味方になってもいいであろう人物。
悪役にちょうどいい、傍若無人な団員想いの団長の顔がこんなところで浮かんできた。

どうして今まで思いつかなかったんだろう、思い立つやいなや、俺は携帯を取り出し素早く番号をプッシュ
「ハルヒ、大至急、祝川の河口、砂浜があるあたりに来てくれ。ああすまん、説明しているヒマはないんだ。なるべく早く来てほしい」

早口でまくしたてると、電話を切った。


312 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 11:29:10.33 ID:deF6DB/v0
場所大丈夫だよな…
半年前のうろ覚えだから心配になってきたgoogleマップで調べてくる。

313 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 11:38:23.78 ID:zswu7/VN0
しえん
>>1みると8日ルールらしいけど、3日が正しいのか

314 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 11:48:41.08 ID:ZuC1+5NL0
スレ一覧見ると、26日立てのスレがいくつかあるから、まだ8日ルールじゃないかな

315 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 11:56:23.69 ID:VfCndzO6P
続き期待

316 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 12:01:12.51 ID:oUVLztLm0
会長「せやな」
長門「…」ピキピキ
ハルヒ「せきゃらけやな?」
会長「せきゃらけやね」
キョン「せきゃらけやな」

ハルヒ「うーん、せきゃらけやな」
鶴屋「せきゃらけやな、にょろーん」
朝倉「大きいせきゃらけやな」
喜緑「せきゃらけですね」

古泉「せきゃらけやな!!!!!!!」
ハルヒ「せきゃらけ…」
鶴屋「せきゃらけやねぇ」
みくる「せきゃらけ?」
喜緑「せきゃらけっす」

会長「…せきゃらけ!!!」
キョン「せきゃらけやなあああああああああ」
古泉「せきゃらけぇええええええええええええ」



317 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 12:18:58.81 ID:zswu7/VN0
じゃあ完走できるかもしれんね
せきゃらってなんだwwwwww

318 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 12:34:39.23 ID:0xZmeFy10
珍しく長く続いている
いいことだ

319 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 13:15:56.74 ID:y0ZqIujUO
長門vs古泉も長門vsキョンもなんかいいな、たまには

320 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 13:23:16.64 ID:VfCndzO6P
>>293
読みなおしてたら
ハルヒのこころにしこり

ハルヒのこころ にしこり と読んでしまった・・
色々ともう駄目だ

321 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 14:16:06.56 ID:VfCndzO6P


322 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 14:53:32.98 ID:xtRvceN40
早めでわるいことはない

323 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 14:55:15.95 ID:bwisAsTB0
安心しろ俺もだ

324 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 14:57:10.42 ID:RTFjnF6C0
ハルヒ「明日キョンとデートなんだけどどうしたら良いかしら…」
みくる「知りませんよそんなの」
長門「ノーパンノーブラでワンピース、下は絆創膏で前張り」
ハルヒ「ごめん、聞く相手が間違ってたわ」

橘「明日は佐々木さんとデートなのです!」
藤原「はいはい良かった良かった」

佐々木「と言う事で代理頼めるかな?」
国木田「また?まぁ女装は嫌いじゃないから別に良いけどね」
佐々木「上手く凹ませてあげてね、なんなら食べても良いから」
国木田「ははは、好みじゃないからそれは無いなぁ」

谷口「女って怖いなぁ…」
朝倉「ねぇねぇ、このナイフってどう思う?」
谷口「凄く…切れそうです」
朝倉「切れ味より刺し味の方が重要だと思うの」
谷口「知らんがな」

古泉「今日も平和ですね」
キョン「こんな平和嫌だ」
お昼ごはん食べ損ねた…

325 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 15:31:01.28 ID:xtRvceN40
九曜「問題ない―食べるの――残るは…わたし――?」

326 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 16:25:46.14 ID:y0ZqIujUO
ホハっ!

327 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 16:51:58.18 ID:0qPMPO870
sien

328 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 17:32:19.84 ID:0qPMPO870
保守

329 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 18:07:56.83 ID:VfCndzO6P
間隔解らん

330 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 18:52:42.00 ID:VfCndzO6P
夕食終わり

331 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 19:12:03.88 ID:xtRvceN40
ひとまず30分くらい?

332 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 19:13:01.44 ID:/QrI6Owc0
携帯解除か

333 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 19:44:51.18 ID:zswu7/VN0
ほす

334 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 20:27:24.90 ID:y0ZqIujUO
さて

335 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 20:47:18.16 ID:RlfMUNvLO
携帯規制解除?

336 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 21:04:09.02 ID:y0ZqIujUO
もしもし復活か
保守間隔を短めにした方がいいな

337 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 21:25:38.39 ID:zswu7/VN0
どのくらいでやったほうがいいのかな

338 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 21:31:16.29 ID:xtRvceN40
とりあえず20分くらい?

339 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 22:06:20.48 ID:y0ZqIujUO
どうだろ

340 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 22:36:04.30 ID:zswu7/VN0


341 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 22:37:58.61 ID:bwisAsTB0
30分くらいでイケそうかもしらんね

342 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 23:04:46.65 ID:8Kpn5bHJO
●<

343 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 23:05:34.24 ID:bwisAsTB0
風呂だぜ!

344 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 23:30:44.77 ID:VfCndzO6P
寝れない

345 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 23:37:29.88 ID:xZhESmf60
☆<おくしゅ(ry

346 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/02(水) 23:51:00.10 ID:ohYuMXzz0
海賊王に、俺アナル

と言う言葉をふと思い出した。

347 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:20:31.41 ID:4xONT3bEO
携帯から保守ってすばらしいね

348 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:33:46.23 ID:1YU9rXbh0

       。 ◇◎。o.03 ☆οo.
       。:゜ ◎:  , ^   `ヽ
        /   イ fノノリ)ハ。∂03 ゜
       /。 ○◎リ(l|゚ -゚ノlリ ◇。☆
     /  ◎| ̄ ̄∪ ̄∪ ̄ ̄|:◎:
    /    ☆。| . 携帯解除おめ.|☆
  ▼       。○..io.。◇.☆.____| 。.:
∠▲―――――☆ :∂io☆ ゜◎∂:.

349 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 00:55:45.67 ID:Cld4Vmj4O
保守

350 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:05:52.60 ID:bNXH/q/+0
おやすみぃいい

351 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:33:16.48 ID:1YU9rXbh0
寝るのか…おまいら、寝るのか…?

352 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 01:58:34.35 ID:fsul6+EA0
ハルヒ「バタフライエフェクトって映画見たんだけど…過去を変えても幸せになるわけじゃないって思ったわ」
キョン「ハルヒが映画に影響されるなんて珍しいな」
ハルヒ「あたしだって多少影響されることはあるわよ」

みくる「…」
古泉「どうかされました?」
みくる「い、いえ別に…」

キョン「例えばタイムマシンを作って過去にいけるとしたらハルヒはどうする?」
ハルヒ「どうもしな…いや、一つだけあるわね、したいこと」
キョン「お?なんだ?」
ハルヒ「会いたい人がいるのよ、四年前に一度だけ会った事のある人に」
キョン「え…?」
ハルヒ「ま、会った所で何か変わるわけじゃないけど、せめて顔くらいは見ておきたいなと思ってね」
キョン「…顔も知らない人に会いたいのか?」
ハルヒ「妙に食いついてくるわね?どうかしたの?」
キョン「いや、なんでもないぞ」

ハルヒ「ふーん…まぁ、タイムマシンがあってもあたしは使わないと思うわ。変えたい過去なんてないから」
キョン「そうなのか?」
ハルヒ「ええ、だって今は過去のあたしが歩んできた延長線にあるんだから。それを変えたら今は無くなっちゃうわ」
キョン「お前らしいな」

タイムトラベルネタって大変だよね

353 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:16:17.16 ID:Cld4Vmj4O
タイムトラベルネタか。書くのは難しいが、読んで楽しいネタだな
おやすみ保守

354 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 02:26:20.99 ID:fsul6+EA0
ハルヒ「バタフライエフェクトが面白かったから2を借りたら…」
キョン「ああ、言わなくて良い」
ハルヒ「どうしてくれるこの行き場の無い何ともいえない感情を!」
キョン「知らんがな」
長門「これでもやって落ち着いて」
ハルヒ「これはThe・ガッツ!ってなにこれ?」
長門「見れば分かる。色々凹む」
キョン「いや、そんなの貸すなよ。というかこれ未成年はみちゃダメだろ」

ハルヒ「なんでアンタこれの中身知ってるのよ?」
キョン「いや、それはだな…」
古泉「僕が圭一さんに借りたのを一緒に見たんですよ…圭一さんの嫌がらせでした…」
キョン「こ、古泉」
古泉「なんだってあんな事の後にこんなものを貸すんでしょうか…傷口に塩を塗るどころか傷口に刃物ですよ」
ハルヒ「ごめん有希、これ返す」
長門「そう…凹む姿が見たかったのに」

みくる「似合いますね、文化祭の衣装を貰っておいて良かったです」
国木田「ウェイトレスもいいなぁ、次はバニーでも着てみようかな」
谷口「それは色々まずいと思うぞ国木田」

会長「今日も相変わらずだな」
喜緑「そうですね」
3が早く見たい

355 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 03:05:13.03 ID:T4tAiQoQP
眠い

356 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 04:26:46.27 ID:T4tAiQoQP
今度こそ寝ないと

357 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 04:28:04.64 ID:9pLW70jWO
タカさんとか知らないからな!

358 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 05:45:07.68 ID:2K/Rc/+JO
長門「タカと言えば」
ハルヒ「お笑い芸人にそんなのがいたような」
みくる「ゴールドフィンガーでしたっけ?」
古泉「ゴッドフィンガーじゃありません?」
キョン「いや、たくましい女性の方だろ」

古泉「思い出させないでください…」
キョン「すまん」
長門「コンピ研のフォルダからこんなのが」
ハルヒ「これって皆で海に行った時の!」
みくる「皆ムキムキになってます〜」
古泉「がはっ…もう僕は駄目かもしれません…女性は恐い」
キョン「古泉、耳を貸せ」
古泉「なんです…?」

キョン「長門に上目遣いでお兄ちゃんと呼ばれてる場面を妄想しろ」
古泉「長門さんが…上目遣いで…!!」
キョン「な、元気が出てくるだろう?」
古泉「長門さん!」
長門「な、なに?」ビクッ

古泉「僕の事をおにぃって呼んでみてください!」
長門「この糞虫野郎」
古泉「うわあぁぁぁぁぁ!」
キョン「古泉ぃぃ!?」

寝ますん

359 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 06:16:09.97 ID:9pLW70jWO
なんともwww

360 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 06:38:16.74 ID:s0yoZYu90
「わたしは統合思念体が作ったヒューマノイドインターフェースである。名前はまだない」

361 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 07:29:56.59 ID:4xONT3bEO
はよっ

362 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 07:34:05.68 ID:NVlB5s8tO
携帯規制解除!?

363 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 09:01:57.77 ID:+onCqi6hO
再規制されませんように

364 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 09:04:15.69 ID:aUzPWg9iO
ハルヒ「キョン、なんでいつもアナルしか触らないのよ」

365 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 09:46:29.42 ID:IU4FYh1z0
アッー

366 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 10:46:41.63 ID:T4tAiQoQP


367 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 11:34:13.97 ID:NkCYULYK0
2は駄目なのか…覚えておこう

368 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 12:17:19.57 ID:tO8TPM9K0
一応保守

369 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 13:17:26.78 ID:efcqTJGTO
しゅっしゅ

370 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 13:59:53.44 ID:jhgVq8tb0
IDssの将来を考える会

371 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 14:37:01.86 ID:ul9xHg070
保守

372 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 15:20:47.01 ID:UfA6YMty0
ほしゅう

373 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 15:52:03.19 ID:CsHvM0+gO
禁書厨じゃないけど、学園都市でハルヒの能力に名前付けるとしたらどうなるかな?
二次創作で見たことあるのは、

幻想創造(アクセスワールド)
現実殺し(リアルブレイカー)
高度干渉(インターセプタ)
時空超越(スーパードライバー)


でもベクトルとか原子とか電気、熱量、重力みたいに理科っぽい名前じゃないと駄目だよな

374 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 16:07:45.70 ID:T4tAiQoQP
●<この場所を、我々は男食空間(ゲイサクウカン)、そう呼んでいます。ちょっとしたスペクタクルですよ?

375 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 16:48:08.83 ID:+onCqi6hO
どんなだよw

376 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 17:06:08.94 ID:T4tAiQoQP
○<違うのです!この場所は、我々の組織では女食空間(ササキサン、タベチャイタイデス)と呼んでいるです!
●<……貴女だけですよね?それ
○<そうとも言うです!

377 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 17:39:26.52 ID:X2z7VUIU0
>>373
学園都市は基本的に科学だからなw
どうしても理科っぽい名前になる

378 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 17:59:53.97 ID:2K/Rc/+JO
ハルヒ「閉鎖空間へようこそ、これが真の姿よ」
●<そ、そんな…神人と涼宮さんが…

佐々木「ついに私たちは一つになった」
○<佐々木が神なったんですね!嬉しいです!
佐々ハル「「もう…誰にもキョンとの恋路を邪魔させない」」
○●<え…?
佐々ハル「「全ては理想の為…消えろガチホモ(レズ)!」」
○●<いやぁぁぁぁぁ!

379 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 18:01:07.40 ID:UfA6YMty0
>>373
幻想結実(フィジカルチェンジャー)とかどうかな
物理変化者

380 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 18:13:21.11 ID:ul9xHg070
>>373
禁書はよくしらんがその中だと幻想創造が一番ピンとくるな

381 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 18:30:35.08 ID:iERGdnFg0


382 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 19:05:21.81 ID:Cld4Vmj4O
保守

383 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 19:18:42.98 ID:XpfHhhxt0
>>378
ちょwwww

384 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 19:48:39.78 ID:+onCqi6hO
あくまがったい

385 :チャック「久しぶりの男祭り」:2010/06/03(木) 20:11:00.72 ID:XpfHhhxt0
IDの数字数とIDの最後の文字(携帯やPCを識別する0やOではなく)が
数字数(数字合計(和(10を超えた場合は一の位)最後の文字

0 キョン+適当な接続詞    英語大文字(A〜L)・弁当を作って貰える
1 多丸圭一+〃        英語小文字(A〜L)・禁則事項できる
2 谷口+〃          英語大文字(M〜Z)・結婚できる
3 新川+〃          英語小文字(M〜Z)・一緒にお風呂に入れる
4 藤原+〃          数字奇数・毒を盛られる
5 佐々木+〃         数字偶数・キスして貰える
6 古泉一樹+〃        記号・一緒に寝られる
7 コンピ研部長+〃                   
8 国木田+〃                    
9 会長+〃  

386 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 20:15:24.21 ID:XpfHhhxt0
※2009/10/13のチャックのコピー

>47 名前:チャック ◆5tbjCXE1ck 投稿日:2009/10 /13(火) 00:46:00.08
>
>佐々木「何で私が入ってるのか説明してもらおうか」
>チャック「その方がおもしろいからと、多分女装した国木田と見分けがつかないんじゃないかと思って」
>
>ちなみにわざとです

佐々木「…ひどいよ、ぅぅぅ…」
上のチャックの人じゃないけど、idチャックって面白いと思う。

387 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 20:41:57.83 ID:DUJ7SwUz0
国木田の代わりに佐々木が居たら完璧だったわけかw

388 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 20:59:21.34 ID:UfA6YMty0
>>385 古泉一樹 が 一緒にお風呂に入れる

キ「と、いうことで教えてもらおうか」
古「はあ、何をですか」
キ「一緒にお風呂に入れるもの、だな」
古「一緒に、ですか」
キ「一緒にだ」
古「それは2つ入れるものがあるということですよね?」
キ「当然だ」
古「ええと……すみませんが、思いつきませんね」
キ「なに? じゃあお前はしないのかよ」
古「何かは知りませんが、しませんよ」
キ「貴様にドリンクバーで練成する資格はねぇ!」
古「えっ待ってくださいまさかあなた」
キ「ツ○ラの登別カルルス×花○バブが俺のジャスティス」

実際にしたらどうなるんだろうね

389 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 21:25:03.96 ID:T4tAiQoQP
そろそろか

390 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 21:45:38.40 ID:4xONT3bEO
ふう

391 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 21:54:23.16 ID:9pLW70jWO
んあー

392 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 21:58:13.73 ID:z0JjhYXN0
つるやゴルフで三年落ちのドライバー買ってきた

393 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 22:02:59.21 ID:UfA6YMty0
あげ

394 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 22:19:02.63 ID:DUJ7SwUz0
チャック!

395 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 22:28:23.24 ID:w3CmoEP20
チャック2

396 :ktkr!!!:2010/06/03(木) 22:37:29.25 ID:w3CmoEP20
佐々木 と キスして貰える

佐「と、いうわけでキスしてもらおうか」
キ「落ち着け佐々木。とりあえず手を後ろに回すのをやめろ」
佐「くっく…それは無理な相談だね。僕とキミとの間には手錠が存在し、位置関係的にこうせざるを得ないのだ。これはしかたないこと、なのだよ」
キ「お前がつけたんじゃなければな!」
佐「さあキョン、さっさとキスしようじゃないか」

○<違います、佐々木さんのファーストキスを奪うのはあたしなのです!
キ「おい、橘寄ってくるな、やめろっ!アッー」

佐々木さんおいしいです。




397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 23:02:22.02 ID:w3CmoEP20
早めで悪いことはない

398 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 23:22:07.73 ID:KekQOJ1K0
ほいほい

399 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/03(木) 23:54:15.38 ID:h2O+Hw6aO
●<尻

400 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 00:26:08.67 ID:XlrrH/bS0
ほっと

401 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 00:52:21.39 ID:qn3ZOkRQP
もっと

402 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 01:51:40.52 ID:4Cm6WJYZO
>>385
どれどれ

403 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 01:52:38.34 ID:4Cm6WJYZO
キョン+結構できる

404 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 01:54:02.59 ID:4Cm6WJYZO
キョン+結婚できる

405 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 01:55:59.33 ID:4Cm6WJYZO
なんかやらかしたので俺は逃走する
後は任せた

406 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 03:20:40.87 ID:2aSHLvBvO
●<寝かせませんよ

407 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 03:55:19.40 ID:4VO6v9jR0
会長「最近、生徒の目が冷たいな…」
喜緑「それは会長が生徒から信頼されていないからでは?」
会長「そう…なのか?」
喜緑「会長、生徒の間でなんと呼ばれているかご存知ですか?」
喜緑「ルーピーとか駄メガネとか呼ばれてるんですよ」
会長「なん…だと…?」
喜緑「正直、私ももう付いていけないので辞任させていただきます」
会長「ま、待ってくれ」
喜緑「さようなら、会長」

会長「待ってくれ喜緑くん」ガバッ
喜緑「ひゃぁっ!」ガシャン
会長「ん…?夢か」
喜緑「い、いきなりなんですか?びっくりしたじゃないですか」
会長「すまん、立てるか?」
喜緑「恥ずかしながら腰が抜けて立てないので手を貸してください…」

喜緑「そんな夢を見たんですか」
会長「ああやっぱり言うんじゃなかった恥ずかしいぞ」
喜緑「会長にとって私は重要な存在なのですね」
会長「…そうだな、ずっと手放したくない存在だ」


長門「こんなはずじゃ」
ハルヒ「またイタズラしたわね有希」
キョン「またお仕置きが必要だな」
長門「待って、これにはちゃんとした理由が…」
ハルキョン「「黙りなさい」」
長門「いやぁぁぁぁ!眉毛の所だけは!眉毛のところだけはぁぁぁぁ!!」
おはようございます

408 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 04:38:28.57 ID:qn3ZOkRQP
眠い

409 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 06:00:01.06 ID:4Cm6WJYZO
どっこいおむすび君

410 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 06:40:49.14 ID:QPYGXzzj0
おはー

411 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 07:14:27.43 ID:qn3ZOkRQP
久しぶりのアナルは長持ちだな
投下も多くてうれしい

412 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 07:36:30.91 ID:r5cxhu8dO
おはようございます

413 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 08:19:43.59 ID:4Cm6WJYZO
起きたか

414 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 09:34:04.81 ID:OmOvCUN6O
携帯があると保守が楽

415 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 10:42:19.02 ID:QPYGXzzj0
頑張りましょう^-^

416 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 11:28:02.13 ID:IpiVdwzcO
古泉「佐々木さんと付き合うことになりました」
キョン「古泉、それ佐々木やない、国木田や」
国木田「流石キョンだね、突きあ…じゃなくて付き合いが長いだけあるね」

ハルヒ「わかんなかった…というか突き合いってどういう意味よ」
国木田「突いてる僕をキョンが突くという意味さ」
ハルヒ「???」
キョン「国木田、純粋なハルヒにはわからんぞ」


古泉「長門さん解説を」
長門「彼と佐々木、国木田は知り合いで付き合いがあるということ」
みくる「わかりません」

もうすぐお昼です

417 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 12:05:31.41 ID:Zuc4dK1x0
ごちそうさまでした

418 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 12:18:37.47 ID:KHbw9imp0
をっと

419 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 12:57:24.70 ID:GGdo/8UjO
お粗末さまでした

420 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 13:22:54.47 ID:QPYGXzzj0
昔に私が書いたSS読んだら色々な意味で笑えました…

421 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 14:25:32.36 ID:zy03ZAsUP
>>420
おう、俺たちにもその笑いを共有させてくれよ

422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 15:20:28.18 ID:GGdo/8UjO
wktk

423 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/04(金) 16:10:22.68 ID:6I/cVNyN0
wktk

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