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( ´_ゝメ)パラドックスが笑うようです

1 : ◆UhBgk6GRAs :2009/10/21(水) 01:01:10.36 ID:RLnFRv740
URLが張れない…

今日で山編終わり。書き溜めも尽きます

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:02:23.84 ID:xbdkdH8kO
支援

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:02:30.17 ID:wSfyVJ4Y0
__
    ̄ ̄ ̄二二ニ=-
'''''""" ̄ ̄
           -=ニニニニ=-


                          /⌒ヽ   _,,-''"
                       _  ,( ^ω^ ) ,-''";  ;,
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                     (.゙ー'''", ;,; ' ; ;;  ':  ,' ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                   _,,-','", ;: ' ; :, ': ,:    :' d⌒) ./| _ノ  __ノ            _,,-','", ;: ' ; :, ': ,:    :'     


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:02:42.50 ID:2msKN7vgO
こいつは支援だああ

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:02:54.82 ID:9K/cX2n90
し!

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:03:26.81 ID:F+0mADwy0
.

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:05:25.67 ID:13mFy2ghO
夜型人間すか眠いっす

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:06:27.47 ID:RLnFRv740

 月が出ていない限り、夜の暗闇は街のそれとは比べものにならないほど濃いものとなる。
足下さえおぼつかない山の闇夜で移動するのは至難の業だ。
ただしそれは一般常識の話で、光の加護を受けている俺は星の明かりさえあれば充分に見ることが出来る。

 ツンは加護こそ受けているが、聖なる加護のみなので目に関する特殊な能力を持っていない。
なので夜営するのに適した場所が見つからないときは、俺がツンを背負って移動することにしていた。
最初は大反対された(騎士が子供の真似なんか出来るか、という理由だ)が、近頃は抵抗なく背負わせてくれる。

 この日の夜も、目が見えないツンを背負って夜の闇を駆けていた。細いクヌの木を避けて進む。
湿った枯れ葉が積もっている山の斜面を下りながら適当な休憩地を探すが、なかなか見つからない。

( ´_ゝメ)「え?」

ξ゚听)ξ「どうした?」

 ひょっとすると一晩中走り回らないといけないんじゃないかと思ってきた頃に、それは聞こえた。
泣きじゃくる幼い子供の声だった。気のせいかと思って立ち止まってみるが、声は止まらない。
聞こえてくる方角がわかるくらいはっきりした泣き声だった。

ξ;゚听)ξ「どうしたんだ。モンスターか?」

( ´_ゝメ)「いや……」

 ツンには聞こえていないらしい。ということは、お化けか妖術の類か……。
俺の一番苦手な分野だな。ツンと一緒じゃなかったら泣いていたかもしれない。


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:07:18.88 ID:RLnFRv740













#29

*――最果ての村――*




10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:09:07.42 ID:RLnFRv740

 ツンに事情を説明すると、肩に置かれている手が途端に震えだした。
彼女は俺以上に幽霊などの類に弱いらしい。いくら騎士でも剣で斬れなければ闘えないしな。

ξ;゚听)ξ「どうする。子供の泣き声であれば、すぐに駆けつけたいが」

( ´_ゝメ)「問題は生きている子供かどうかってところだな」

ξ;゚听)ξ「冗談でもそういうことを言うのはやめろ!」

( ´_ゝメ)「すまん。しかし本当に聞こえないのか?」

ξ;゚听)ξ「聞こえないものは仕方が無い。私は霊感が無い方でな」

 ツンの口から霊感という言葉が出て、吹き出しそうになった。
どうやら彼女は幽霊肯定派らしい。現実主義だと思っていたから妙な親近感が沸いた。
そしてこういう得体の知れない恐怖を感じたとき、自分より怖がっている者が身近にいると、逆に安心するのだということもわかった。

( ´_ゝメ)「俺は行ってみようと思う。本当に子供が泣いていれば、見過ごす訳にはいかん」

ξ;゚听)ξ「そうか。まあ、そうだな。しかし本当に聞こえないぞ。
       実際は聞こえないけど聞こえているふりをして、私を怖がらそうとしているんじゃないのか?」

( ´_ゝメ)「そうだったら話は簡単なんだが」

 声のする方角を探りながら、斜面を斜めに突っ切っていった。
肩に置かれていた手は徐々に前に伸びてきて、いつの間にか抱きつかれている体勢になった。
闇鴉にけんかを売ろうとしている人間が、こんなことで大丈夫なのだろうか。


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:12:51.30 ID:6zkak2ZZO
来た支援

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:12:55.13 ID:9K/cX2n90
しえ!

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:12:56.26 ID:RLnFRv740

*―――*


 斜面を下りきると、黒い腐葉土の地面になった。
クヌの木は無くなってきたが、今度はトゲのある葉が生えていて行く手を阻んだ。
多少体が傷つく覚悟をして突っ切る。

 声は徐々に大きくなっていった。
相変わらずツンには聞こえないらしいが、確実に声の主には近づいていた。

 冷たく湿った空気が肌寒い。
凍えるというほどではないが、早く火をおこして暖を取りたかった。
背負っているツンがいい具合に暖かいのが救いだ。

ξ゚听)ξ「なんか、寒いな」

 今夜は確かにいつもより気温が低い感じがする。
肌に突き刺さるような寒さではなく、芯から凍らしていく冷気を浴びているような、不思議な感覚だ。
ひょっとすると冷気ではなく、霊気なのかもしれない。ツンの手前、口に出すのはやめておこう。

 お互い無言のまま、声に向かってひたすら歩いた。
すでに声が聞こえてから1時間近く経っている。それでもまだ声の主の気配は無い。

 何度かツンに「引き返そう」と遠回しに言われたが、ここまで来たら行けるところまで行きたくなるのが人の性だ。
ツンの提案をやんわり否定しながら、ただ歩き続けた。


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:13:02.53 ID:yNHx4SBTO
起きててよかった支援

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:15:47.31 ID:RLnFRv740

 それからさらに1時間が経ったとき、空にどっしりと構えていた雲が移動したことで、隠れていた月が姿を現した。
木々の間を縫って差し込む月明かりが、まるで道を示すようにおぼろげに森を照らした。
ツンを背中から降ろし、二人でその道を歩いた。先になにがあるかわからないのに、俺たちの足取りには一種の確信があった。

 導かれた先に、木々の無い開けた空間があるのを見つける。
雑草が少なく、誰かが整備した跡のようなものが伺える。畑の名残も見つけた。
加工した木の板や、なにかの材料らしき石も転がっている。

ξ゚听)ξ「村だったんだ。ここ」

 いつの間にか、泣き声が聞こえなくなっていた。


*―――*


 平らな場所を少し掃除してから、そこにテントを張った。
周りに視界を遮るものが無いので、モンスターからふいに襲撃されるようなことは無いだろう。
木の板を集めて、たき火をおこした。火を囲んで暖かいスープを飲みながら、ツンとこの場所について話した。

 誰が住んでいたのか。どうして廃墟になったのか。
そもそもこんな場所にどうして村を作ろうと思ったのか。

ξ゚听)ξ「サイゼリアのような魔女の村があったのかもしれない」

( ´_ゝメ)「一応聞いた話では、パダ山脈にある人の集落というのはサイゼリアだけらしい。
      デルタのような者が他にもいる可能性はあるが、こんなに大きい村はあり得ないだろう。
      それも道から外れたこんなへんぴな場所に」


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:16:58.47 ID:2msKN7vgO
こえええ支援

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:18:27.56 ID:RLnFRv740

 考えれば考えるほどおかしな村だ。
もしも村が生きたまま残っていたら、今までの旅の中で一番奇妙な思い出が作れたかもしれない。

( ´_ゝメ)「おかしなことはもっとある。この村は割と最近廃墟になったはずだ」

ξ゚听)ξ「そうだな。整備されていないにも関わらず、雑草があまり伸びていない」

( ´_ゝメ)「それなのに家の跡が残っていないというのはどういうことだ」

ξ゚听)ξ「誰かが跡形もなく取り壊したんだろう」

( ´_ゝメ)「何の為に?」

ξ゚听)ξ「……見つけて欲しくないから、かな。この村の存在を知られたくなかった誰かがいるんだろう。
      村の住人自体がそうやって、自分たちの村を壊していったのかも」

( ´_ゝメ)「それはどうかな。これを見ろ」

 さっき拾った木の板の一枚をツンに渡した。
彼女はたき火の明かりに板を照らしながら、まんべんなく板を眺め、やがて険しい表情になった。

ξ゚听)ξ「掻きむしった跡か?」

( ´_ゝメ)「ああ」

 木の板はおそらく家の一部だろう。壁か、床かわからないが、板には爪で引っ掻いた跡があった。
誰かが木の板が削れるほど強く引っ掻いたのだ。この村の終焉について不穏な気配を感じる。


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:19:43.20 ID:F4p0lCVeO
しえん

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:19:48.76 ID:9K/cX2n90
うわわわわ
支援

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:20:51.73 ID:RLnFRv740

ξ゚听)ξ「この村は神官連で調べてみることにしよう。
      私たちの情報網があれば、なにかわかるかもしれない」

( ´_ゝメ)「そうしてくれ。どうも嫌な予感がするんだ」

 消滅した村には、空虚な感情と、もう一つ、高密度で充満している感情があった。
ツンを心配させないように黙っていたが、左目が痛いくらいにうずいているのだ。

 村に渦巻いていたのは憎しみ。
どす黒い負の感情が描き出す烈火の憤怒だ。

ξ゚听)ξ「この村に住んでいた者は、こんなに大きな月を見ていたのだな」

 ツンの瞳の中で、月が邪悪に揺らいだ。
地面に置いたカップから立ち上るスープの湯気が、宙で滲んでは消えていく。
風のない夜は、久しぶりだった。


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:22:43.63 ID:RjpzHg2JO
リリエンも怖いがこれも怖い…
支援

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:22:51.96 ID:RLnFRv740


#最果ての村

終わり



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:24:35.12 ID:RLnFRv740

 子供の頃、意味もわからず憧れていたものなど誰にでもあるだろう。
俺の妹は魔法使いに憧れていて、よくほうきにまたがって空を飛ぶ練習をしていた。
弟は剣士。やつがまだ幼かったとき、ほうきを持って素振りをする姿をよく見ていた。
姉さんはたしか、理容師だったか。ほうきの毛先をはさみで切っていたのは、理容師の練習をしていたのだろう。
俺の家族はほうきが好きらしい。

 ただし理想と現実は異なる。
魔法使いというのは才能と努力と環境が必要であり、一般人がなろうと思ってなれるもんじゃない。
剣士はなろうと思えば誰でもなれるが、せいぜい僻地の警備兵になるのが関の山だ。憧れとはほど遠い。
理容師は一番現実的といえる職業だが、姉さんは大人になるにつれて他のものに目がいくようになり、
いつの間にか理容師のことは口にも出さなくなっていた。
子供の頃にだけ見られる夢というものを、人それぞれが持ち、それを捨てることで大人になっていくのかもしれない。

 夢を持ち続ける大人というのも、俺はいいと思うけどな。


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:26:15.45 ID:fF3pPkAV0
最近はストーリーを追ってるだけで、パラドックスが分かりにくい。
どの辺が今日はパラドックスなんだ。
荒廃して憎悪に満ち溢れた場所の月が美しいこと?
憎しみの中に見出す美?

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:26:26.06 ID:RLnFRv740













#30

*――ダムドジャスティス――*




26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:29:27.08 ID:6zkak2ZZO
パラドックスはスケールも色々だろ支援

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:30:33.50 ID:F+0mADwy0
.

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:30:47.66 ID:9K/cX2n90
しえん

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:30:52.85 ID:RLnFRv740

 残り数日で山のふもとまで出られるというところまで来ていた俺たちは、岩だなの上で休憩を取っていた。
快晴の空の下、遠くまで見渡せることが出来る切り立った崖の上で、他愛もない雑談をしていたとき、
俺の不用意な一言がツンの心の奥底にしまわれていた夢をすくい上げてしまった。

 『魔法みたいな技を使えれば戦いが楽なんだがな。一撃で仕留められるような必殺技とか』
言葉に深い意味など無かった。そういう技を持っていればいいな、という淡い願望である。

ξ*゚听)ξ「必殺技か。確かにそういうのがあると格好いいよな」

 別に格好いいから使いたいなどと言った訳では無い。
しかしツンのきらきらした瞳が訂正する余裕を与えてくれなかった。

ξ*゚听)ξ「私もな、一時そういうものを使いたいと思っていた頃があって、色々と考えたんだ」

( ´_ゝメ)「そうか。どんなやつだ?」

ξ*゚听)ξ「見せてやろう」

 鞘から剣を引き抜いたツンは、今まで見せたことのない活き活きした表情をしていた。

ξ゚听)ξ「まずはこれ」

 両手で持った剣を斜め上に構えて、片方の握り手を素早く逆手にする。
そこから振り下ろすのではなく、逆方向、自分の背中の方へ剣を回し一回転させて、下方から振り抜いた。


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:30:52.85 ID:G+1yJboE0
こええええええええええ

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:34:13.00 ID:RLnFRv740

ξ*゚听)ξ「どうだ? 振り下ろすと見せかけて下から斬り上げる技だ」

( ´_ゝメ)「ほう。なるほど」

 フェイントの効果を狙っているようだが、動作に無駄がありすぎる。
これならいっそのこと剣を止めたまま足で蹴った方がいい。

ξ*゚听)ξ「今の技は昇天霞返し(しょうてんかすみがえし)という名前だ」

( ´_ゝメ)「おまえが考えた技なんだよな?」

ξ゚听)ξ「もちろん。次にこれ」

 次に見せてきたのは、横一文字に軽く剣を振るってから、振り切るよりもまえに体を剣の軌道の逆方向によじり、
同じ軌道を今度は逆戻りにもう一度斬るという技だった。
馬鹿力と体の柔らかさ、瞬発力が必要になる高等テクニックだが、剣のプロ相手には通用しそうにない技だ。
一撃目と二撃目の間にどうしても隙が生じてしまう。
戦闘では零コンマの先にある時間で生死が決まるのだ。この技を実践で使う勇気は無い。

ξ*゚听)ξ「今のは鶺鴒双斬(せきれいそうざん)と名付けた。鶺鴒はわかるか?」

( ´_ゝメ)「鳥だろ。鳥のように俊敏に斬る、という感じか?」

ξ*゚听)ξ「まあそういう感じだ」


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:34:59.19 ID:vU96OZHLO
支援

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:36:40.61 ID:6zkak2ZZO
え? るろ(ry とか?

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:37:16.47 ID:RLnFRv740

( ´_ゝメ)「名前を付けるのが好きらしいな」

ξ゚听)ξ「名前が無いと、斬るとき叫べないじゃないか」

( ´_ゝメ)「叫ぶ? 必殺技の名前を叫ぶつもりなのか?」

ξ゚听)ξ「当たり前だろう。必殺技なんだから」

( ´_ゝメ)「しかし、戦闘中だぞ。余計なことを喋る暇があるのか」

ξ゚听)ξ「名前を言わないと敵が必殺技かどうかわかってくれないだろう。
      それに名前を言う方が格好いいじゃないか。だから言うものなんだよ」

 顔は真剣そのものだ。冗談で言っている訳では無いらしい。
敵に必殺技の名前を教えてどうするんだとか、格好良さがどういう風に戦闘に関わってくるんだとか、
考えるだけ無駄だろう。教えたいから教えるんだし、格好いいから格好いいんだ。それ以上の理由は無さそうだ。

 岩だなに座り直し、組んだ足の上に肘と顎を乗せて、次々に技を繰り出す彼女を見守り続けた。
たまに褒めてやったり、動作の意味を尋ねたり、名前の由来を聞いてやるだけで彼女はとても嬉しそうにする。

 昔はよくチャンバラごっこをしていたとツンは言っていたが、その頃に編み出した技なのだろうか。
剣技というにはあまりにも稚拙で、見た目だけしか考えていないような技も数多くあった。
これらの中で実践で使えた技はいくつあるのだろう。1つも無いかもしれない。
少なくとも俺といたとき、戦闘で彼女が必殺技の名前を叫んだことは無い。


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:42:19.85 ID:RLnFRv740

ξ*゚听)ξ「どうだ。覚えたい技があったら教えるが」

( ´_ゝメ)「俺は我流でしか剣を振るえないんだ。悪いな」

ξ゚听)ξ「残念だ」

 教えられなかったことが少し不満そうだが、思う存分剣を振ったことで旅のストレスが抜けたらしく、頬が緩んでいた。
鞘の口を握り、剣をしまおうとした直後、ツンは思い出したようにもう一度剣を構えた。

ξ゚听)ξ「聖騎士団の中だけに伝わる技があるんだ。一応それも見せておこう」

( ´_ゝメ)「俺なんかに見せていいのか?」

ξ゚听)ξ「大丈夫だ。この技は別に秘密にしているものではない。
      演武などで公開している技だ。秘伝ではないのは、加護を受けた者しか使えない技だからだ」

 辺りを一瞥し、人の大きさくらいに突きだした岩に目を留めると、ツンは岩の前に移動した。
剣身を岩に当てたまま、腰を落として構える。最初から剣が相手に触れている状態から斬る技なのだろうか。

 空気がぴんと張り詰めた。
ツンの扱うロングソードが、辺りの空間を巻き込んでぎゅっと凝縮したような感覚を覚えた。
彼女の体躯の割に大きめの剣が、このとき彼女の体の一部になったような錯覚さえ見えた。
彼女との距離は近くないのに、剣を鼻先に突きつけられているような圧迫感が立ちこめる。

 精神集中の為の時間はもう少しだけ続いた。
右目の力を発動させて、なにも見逃すまいと気合いを入れた。


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:45:14.97 ID:pHVFfEcT0
しえ

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:45:45.23 ID:RLnFRv740

 ところが意外なほど必殺技はあっさりとしていた。
剣身を岩に当てた状態から、ただ振り切ったようにしか見えなかった。

( ´_ゝメ)「……おお!」

 ただし威力は凄まじかった。岩は大小のかけらを散らし、上半分が完全に粉砕された。
ツンは振り切った体勢のまま肩で呼吸をしている。今のたった一撃にかなりの体力を消費したらしい。

( ´_ゝメ)「ツン、凄いな。今のはどうやってやったんだ?
      全力でたたき割っても今のような壊れ方はしない。
      まるで爆発したみたいだった。今のは本物の必殺技だ」

ξ;゚听)ξ「ありがとう。理論は簡単だ。加護の力を体から剣に移して斬るだけだ」

( ´_ゝメ)「それだけでいいのか。だったら俺にも使えそうだ」

ξ;゚听)ξ「馬鹿を言え。肉体の中ではなく、物質に力を移動させるんだ。
       それだけで1年の鍛錬が必要になる。
       さらにインパクトの瞬間に力を移さなければいけないから、タイミングが死ぬほど難しい。
       今のように最初から剣を当てていれば別だが、実践では難度が高すぎて使い物にならない。
       これを実践で使える者は、私の知る限りでは3人しかいない。500人以上いる聖騎士団の中でたったの3人だ」

 腰に差している鞘からコテツを引き抜いた。
片手で握って意識を集中してみる。しかし力の移動というのがまずイメージ出来ず、すぐに諦めた。


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:45:45.87 ID:9K/cX2n90
支援

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:49:16.45 ID:RLnFRv740

( ´_ゝメ)「この技の名前は?」

ξ゚听)ξ「聖交差法・二の太刀というのが正式な名前だ。かっこ悪いだろ?」

 ツンは続けて「もっと格好いい名前にすればいいのに」とぼやいた。

( ´_ゝメ)「いつか俺にも使えるようになるかな」

 自分で言った何気ない言葉に、ぞっとした。
この技を使わなくてはいけない敵というのは、どういうやつなんだろう。
もしも人間相手に使えば、体がバラバラに吹き飛んでしまう威力だ。

ξ゚听)ξ「さあ……わからない。使わなくていいなら、使わないにこしたことは無い気がするよ。
      大いなる力には、相応の覚悟と責任が伴うものだからな」

 俺が持っているのはほうきではなく、殺傷する為に作られた武器だ。
必殺技とは、当たれば確実に死ぬ技という意味。命を奪うやりとりに、感覚が鈍くなっているのだろうか。

( ´_ゝメ)「俺は、ツンの考えた技の方が好きだな」

ξ*゚听)ξ「そ、そうか? ありがとうな。考えたかいがある」

 必殺技の名前を叫びながら、ほうきで叩き合うくらいが俺には似合ってる。
子供の頃は、剣を持って旅をするなんて考えてもいなかったのに。
いつの間にか戦いが当たり前になり、命の瀬戸際が日常になっていた。


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:54:59.55 ID:RLnFRv740

 過去に戻りたいとは思わない。しかし、未来に望むものがあるとも思えない。
今俺が置かれている立場が、急に際どいものに思えてきて、不安に動悸が速くなった。

 コテツを鞘にしまった。
近くの岩山を駆け上り、360度見渡せる岩山のてっぺんから、ぐるりと山を見渡した。

 この山で、ツンにウサギの美味しさを教えた。クーの過去を知った。不思議な男と出会った。
若い魔女たちと一夜を過ごした。襲撃者と闘った。凶悪なモンスターと闘った。ツンの裸を見た。この世で一番大切なものを失った。

 もうすぐ山を下りる。
また人間社会に戻るのだ。

 両手を広げて空を抱き留めた。
太陽が光と熱で抱き締め返してくれた。
風が踊っている。
草原が波打ち、草木が宙を掻いている。
雲を塗りつけた空を、鳥たちが泳ぐ。

( ´_ゝメ)「ツン。俺は生きている。問題はあるか」

ξ゚听)ξ「無いな。安心しろ。全てがうまくいっている」

 途端にわくわくしてきた。
地平線の向こうでなにが待ち構えていようと、ほうきで返り討ちにしてやる。

 俺は、勇者じゃない。

 俺は兄者だ。


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:56:07.73 ID:RLnFRv740


#ダムドジャスティス

終わり



42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:56:49.75 ID:KPFp4BI20
相変わらずかっけぇな

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 01:58:29.37 ID:vZC6aUW80


書きためがないってことは、
しばらく間が空くのか・・・

まあ、楽しみにしてるんで頑張ってくれ

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:03:13.72 ID:RjpzHg2JO
乙でした

45 : ◆UhBgk6GRAs :2009/10/21(水) 02:03:23.27 ID:RLnFRv740
お疲れ様でした!

>>24
ストーリー追わないと終われない!


やっと山編終わった−。20話からずっと山なんでめんどかったです
質問あったらどぞ。30分まで起きてます

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:04:38.46 ID:9K/cX2n90
乙です
続きだ楽しみだ

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:07:37.79 ID:yNHx4SBTO
乙!

怖面白くてドキドキした!

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:09:48.76 ID:i3vhqdMW0
乙です
続き楽しみにしてる

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:10:46.95 ID:oKteVfUlO
途中で投げ出さないでね

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:13:13.66 ID:4f6UkvsQO
>>24
ストーリー追わないと終われない!

その通りだけどなんかわらった

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:13:14.86 ID:fF3pPkAV0
DAMDはなんの略?
まさか、Dark ArMeD?

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:15:08.15 ID:/rVkAK1v0
乙!

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:17:34.45 ID:RLnFRv740
投げ出さんよ。信じてみそづけ

>>51
Damned justice なんだ。なんかごめぽ

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:19:07.40 ID:q/q21ffc0
質問。
この山にしても街にしても風景を描写する時は写真とか見たりする?
そこで呼吸してるような気にさせてくれる作者の描写が大好きなんだ


55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:19:16.88 ID:6zkak2ZZO
乙でした。
まとめも追いつきました。泣けた。
急かす気はありませんが、続き早く読みたいです人体実験も読みたいですが、急かしたりはしないようにします。

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:29:03.90 ID:fF3pPkAV0
>>53
あぁ、素直にDamnか。ありがとう。なんか浮かば中なったorz
最初は dark harmedで闇に汚されたって意味だと思ったんだ。内容的にも

とりあえず。乙、現行で一番好きです。

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:29:14.24 ID:RLnFRv740
>>54
外国の写真とかはよく見ます
自然の場合は実際に海行ったり山行ったりして体感するようにしてます。今日も山を見に行きました
愛車のCB400が火を噴くぜ!

そろそろ寝ます。こんな遅い時間に支援ありがとうございました

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:30:03.24 ID:ucZTJXZB0
VIP用語検定試験


http://www20.atwiki.jp/2chtest3/

点数おしえろおまえらw

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:30:43.76 ID:ucZTJXZB0
>>58
俺は72点だったwwww

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:31:23.70 ID:ucZTJXZB0
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58
>>58

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:35:25.22 ID:q/q21ffc0
質問に答えてくれてありがとう
お疲れさま

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:36:22.36 ID:KPFp4BI20
おつおつ
そうそう聞きたかったっつってもオサムなんだけどさ

こないだモララーがクロスで出てたみたいだけど何のスレ?

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:38:42.22 ID:q/q21ffc0
質問に答えてくれてありがとう
お疲れさま

64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:41:11.36 ID:1zVF5JPjO
今読み終わった乙!
大好きです。これからもずっと追っかけるぜ!

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:41:17.88 ID:RLnFRv740
>>62
格好良く去ったあとにおまえはもうw
これこれ。ttp://matomebuki.com/article/125014243.html
力作ですよ。この作品にはモララーは名前だけ出てる

んではんではおやすみなさい

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:41:21.31 ID:q/q21ffc0
あら…なんで二回w

67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:49:23.48 ID:KPFp4BI20
>>65
蝶さんくす。お疲れぃ。

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:50:50.28 ID:1yKMdYBG0
クーがお亡くなりになったとこまでしか読んでないんだけどあれ何話だっけ

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:56:35.67 ID:6zkak2ZZO
>>68

26話でしたよ
http://vipmain.sakura.ne.jp/574-top.html

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/21(水) 02:57:50.15 ID:1yKMdYBG0
>>69
thx
まとめ行ってくる

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